1話
新しい連載です。
3年前までは変わらない日常だった。それが他人から見て普通でないとしても私にとってはそれが普通だった。
「ただいま」と言えば「おかえり」と言ってくれる人はいない。むしろ私が「おかえり」っていう人だった。
たった1人だけの家族。私にとって唯一甘えられる人で、じゃれることができて、そしてなによりも頼れた。それが私の姉であり母であり父である工藤沙那。
けどその日常は崩れた。それは沙那ねぇが恋人を連れてきたからだ。名前は秋庭紗耶香。名前から分かる通り女の人だ。
それから1年の間紗耶香さんが私達の家に来るようになった。一緒に住むことはなかったけどちょくちょく家に来ては泊っていってよく私をかまってくれた。
でもそんな日常も2年前また崩れた。
私にとっての唯一の家族の沙那ねぇが亡くなった。
それから今に至るまで私は紗耶香さんと一緒に住んでいる。
いきなり他人と住めるかなんて分からなかった。沙那ねぇが死んだショックだってあったのに急に一緒に住もうって言われてびっくりした。
でも私はそれを受け入れた。
だから私には今の生活がある。
「ただいま~...........って今日はいないんだった」
防犯設備が整っているマンションが今の私の家だ。といってもここは沙那ねぇと暮らしてたころから同じだけど。
さてさてまずは制服を脱いで着替えますか。このままでいたいけど紗耶香さんが許してくれない。
一緒に住み始めた頃私は家に帰って着替える習慣がなくお風呂に入るまでずっと制服だった。でもある時それが紗耶香さんにバレて怒られた。しわになったらどうするの!?汚れたらどうするの!?って。
それから私は帰ったらすぐ着替えるようになった。だって紗耶香さんを怒らせたくないだもん。
あの人が怒ったらすっっっごい怖いんだから!!沙那ねぇの方がまだ怖くなかった.............。
さてさてとりあえず仕事して帰ってくる紗耶香さんのためにも、お腹が空いてる私のためにもご飯を作りますか。
紗耶香さんがにくーにくーってうるさかったから今日は豚の生姜焼きにする。
肉の下ごしらえをして、キャベツを千切りにして、みそ汁を作って、ご飯を炊いて終了。
あとは紗耶香さんが帰ってくるのを待つだけ。
「陽凪ちゃん聞いて!あのハゲ部長また下心丸出しでご飯行きませんか?だってさ!!あんたなんかと行くかバーカ!!いっつも私を見る時ずっーーーと胸見てるの丸分かりなんだからね!!!そんな奴とご飯なんか一生行きません!」
「あはは............紗耶香さん荒れてますね」
「当たり前よ!!!」
「愚痴ならあとでご飯食べながらたっぷりと聞くからそれよりも何か忘れてない?」
「............あっ!ただいま陽凪ちゃん!」
「はい。おかえりなさい紗耶香さん」
さっきまでの不満顔はどこに行ったのか。満面の笑みで「ただいま」って言ってくれる。
女子力高くて綺麗な女性が紗耶香さん。ザ・女性って感じがする。髪はきれいに伸ばしているし、胸も大きくて背が高い。そのくせ腰回りがほっそりしてて許せない。
反対に女子高生の平均身長で、長いのはめんどくさいし鬱陶しいって理由で肩までしか伸ばしていない。絶壁と言われるほどではないけど大きいとは言えない。どっちかといえば小さくて胸のふくらみが分かる程度しかないのが私。
そんな血のつながりもなくて、見た目も全然似ていない私達義姉妹だけど元気で毎日暮らしています。
普通とは言えない家庭環境かもしれないけどそれでも何とかやっていっています。
まぁ他人には言えない悩み事とか、後悔とかたくさんあるけどね。




