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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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第54話 まさかの遭遇


「いってらっしゃ~い」


 相変わらず気だるげで、ふにゃふにゃした瞳さんに見送られて家を出る。

 ちなみに一人ではなく“四人で”だ。

 なぜかというと、あれ以上部屋にいられると危ないと思ったから。

 まさか女の子が部屋に来て、身の危険を感じる日が来るとは思ってなかったけど。


「結局えっちな本は見つからなかったわね……」


「でも男の子はみんな持ってるんだよね?」


「ってことはやっぱり電子派ってことか~」


 残念そうに言う三人。

 この件に関して、俺は何も言わない方がいいだろう。

 それが一番安全だ。


「まったく、良介は恥ずかしがり屋ね。別に私たちは言いふらしたり、引いたりしないのに。むしろ知りたいのよ。良介がどんな性的嗜好をしてるのか」


「あんまり女の子が性的嗜好とか言わないだろ」


「女の子だって男の子と同じよ。人並みにえっちなこと考えるわ」


「そ、そうか」


 まさかここまで包み隠さず返されるとは思っておらず困惑する。

 恥ずかしいとは思わないんだろうか。

 そんなことを考えていると、一ノ瀬が俺の腕に抱き着いてきた。

 胸がむにゅっと押し付けられる。


「い、一ノ瀬?」


 俺が言うと、悪魔的な笑みを浮かべながら一ノ瀬が言う。





「それとも……知りたい? 私がどういうのが好きなのか」





「えっ⁉」


 魅惑的な誘うような笑みで俺を見つめる一ノ瀬。

 何度も感じたことのある“危険な香り”。


「私はいいのよ? 良介が望むなら、いつだって……」


 一ノ瀬が俺の胸を細くて白い指でさする。 

 

「ちょっと、何して……」



「ダメだよ!!!」



 俺が抵抗する前に、花野井が俺の腕を引っ張る。

 そして自分の方に手繰り寄せると、そのまま胸で俺の体をぽわんと受け止めた。

 

「良介くんを誘惑しないでくれる⁉ 私だから! 私!!!」


「わ、私?」


「大丈夫? 変な感じだったよね。でももう大丈夫だから、ね?」


「う、うん」


 俺が頷くと、花野井が嬉しそうに微笑む。

 それでも俺の腕はがっちりホールドしたままで、むしろぎゅーっとさらに締め付けてきた。


「ちょっと乳牛。良介から離れなさい。良介は“私”のものだから」


「何言ってるの? 良介くんは“私”のものだからっ!!!」


「二人とも……」


 お願いだから俺を間にして争わないでくれ……。

 困惑していると、花野井が上目づかいで俺に訊ねる。


「良介くんは私がいいよね? むしろ私じゃないと嫌だよね? ね、ね?」


「えっと……」


「惑わされないで。良介は私だけ見てればいいの。というか私だけを見て? じゃないと……ふふっ、嫌だから♡」


 すると今度は一ノ瀬も、同じように上目遣いで首を傾げる。

 道のど真ん中で、俺は一体何を迫られているのだろうか。

 

「九条くん~」


「うおっ」


 一ノ瀬でも花野井でもなく、葉月が俺の手を引く。

 そして強引に二人から引きはがすと、むぎゅっと俺に抱き着いてきた。


「葉月⁉」


「こうやって抱きしめるとね、幸せな気持ちになるんだよ~。九条くんもそう思わない~?」


「唐突すぎるっていうか……」


「大丈夫だよ~。私は九条くんが一番幸せだと思うことだけするからさ~。だから、私だけ見てた方がいいと思うな~?♡」


 葉月が目にハートを浮かばせて俺を見つめてくる。

 すると一ノ瀬と花野井が、負けじと俺に抱き着いてきた。


 

「良介、私だけ見て?♡」

「ダメだよ、私しかいないんだから♡」

「私だけに幸せちょうだ~い♡」



 身動きが取れなくなる。

 通りすがる人からは視線をめちゃくちゃ集めていて、人だかりすらできていた。

 

「なんかとんでもないくらい可愛い子たちに抱き着かれてない?」

「やばっ! めっちゃイケメン!」

「なにあの幸せすぎる空間は……」

「いいなぁ! 羨ましいなぁ!」

「これがハーレムってやつか……」


 ……こんな感じになるなら、俺の部屋にいた方がマシだったかもしれない。










 何とか拘束から逃れ。

 

 公園の前を通りかかると、ふと一人で泣いている少女の姿が目に入った。

 一ノ瀬たちも気が付いたようで、お互いに目配せをして公園に入る。

 しゃがんで目線を合わせ、できる限り優しい表情で声をかけた。


「君、一人? どうしたの?」


「うぇーーーん! お姉ちゃんが、お姉ちゃんがぁ!」


「お姉ちゃんとはぐれちゃったのか。どこではぐれたの?」


「ひっく、ひっく……わかんない」


「そっか」


 見る限り“お姉ちゃん”らしき人はいない。

 こうなったら、さすがに見捨てるわけにはいかないよな。


「じゃあ一緒にお姉ちゃん待とうか。公園に来るかもしれないしね」


 俺が言うと、少女が泣くのをやめて俺を見る。


「……いいの?」


「いいよ」


 頷くと、ぱちりと瞬きをする少女。

 少しして、顔をパーッと明るくさせると俺の胸に飛び込んできた。


「わ~い! ありがとう“カッコいい”お兄ちゃん!!!」


「あはは……」


 少女を受け止め、抱きかかえる。

 どうやらこの一瞬で懐かれたみたいだ。


「少女すらも射止めちゃうのね……」


「恐ろしい人だね……!」


「やっぱり九条くんは罪深いな~」


「罪深いって……」


「えへへ、あそぼー!」


「うん、わかった」


 それから少女も交え、四人(五人?)で公園で遊ぶ。

 ちょうどやることを決めかねていたのでよかった。

 あとはその“お姉ちゃん”が来ればいいんだが……。



「萌子!!!」



 公園の外から声が聞こえてくる。


「あ、“お姉ちゃん”だ!」


 少女が声に反応し、その方に向かって走り始めた。

 よかった。やっと保護者が来てくれて……。




「え? 九条?」



 

 

「……瀬那?」



 


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