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67話 百合ハーレムマスターサクヤ

 ――ーお兄ちゃん、大当たりだよ。まったく正に鬼畜軍師だね。 


 『ユクハは一番簡単だ。あいつは地元愛がかなり強い。いま襲っているペギラヴァって精霊獣から王都を守るため、ホノウと別れて自分の女になれって言や、了承するだろ』


 ユクハちゃん、本当にゴメン。

 償いにもならないけど。でも今この瞬間だけは、君を本気で愛し抜く。

 私はユクハちゃんの衣服を脱がせ、またキスをしてベッドに倒れこみ……



 「ぶべっ!?」と鳴く生暖かい物にぶつかった。


 「ひゃああああああっ!? ちょっと誰? 今ここはウチが寝ているん……って、えええっ!!!? ユクハにサクヤさん!? ユクハはどうして裸なん!!?」


 「きゃあああっ!? モ、モミジちゃん!?」

 「どどどどうしてモミジがベッドの中に!? ……あ、忘れてた」


 元々この部屋は、戦いで限界になったモミジを休ませる為のもの。

 このベッドもモミジを休ませる為のものであって、私とユクハちゃんが悲しみのえっちをする為のものではなかったのだ!


 「いったい二人とも何をして……ハッまさか!? ユクハまでサクヤさんとそういう関係になったん!? ユクハ、ホノウはどうするつもりや!」


 「うっ、うううーっ(泣)」


 ああっ、ユクハちゃん泣いちゃった!

 そりゃそうだよね。

 親友にこんなあられもない姿を晒した上、不貞の現場まで見られたら、泣きたくもなるよね。

 反射的に脱がしたユクハちゃんの服を掛けてあげようとしたけれど。

 ペギラヴァは今夜にも王都に侵入するし、女の子ハントもまだ強敵二人が控えている。

 今さら、日を改めてやり直しなんて出来るかあああっ!!!


 バサアッ

 私は強敵を前にした世紀末聖帝が如く服を全て脱ぎ捨て、マッパとなる。

 路線変更。男らしさで勝負だ! 女だけど。


 「サ、サクヤさん!? 何を!?」

 「ちょっと目が怖い?」


 これも百合ハーレムマスターの運命さだめ

 裸な女の子を前に退かぬ! 媚びぬ! 顧みぬ!


 「ユクハちゃん、君のホノウへの決別えっちは、親友に見られながら悶える羞恥プレイだあっ!」


 酷い。本当に酷いよ。自分でも泣きたくなるほどの鬼畜ぶりだ。

 ユクハちゃんの大切な恋心を奪うこの時だけは、こんな形にはしたくなかった。

 数分前のあの切ない気持ちを返して。 


 「そ、そんなのイヤアアアアッ!!!」


 「こらサクヤさん、ユクハにひどい事すんな! そんなモン、ウチは見とうない!」


 「だったらモミジも参加だあっ! 二人とも光になれえええっ!!!」 


 ドッギャーーンッ ギャリギャリギャギャーーンッ

 キュリキュリギュギュギュオオーーンッ

 ギャ--ンッギョギョギョギョリーーンッ ギュオオオオオンッ

 キュララララッキュオオオーーーンッ

 キャリーーンッ キュオオオーーン ヴィーーン……





 「こんなえっちでも結果は出るもんだね。私に彼氏ができたとして、彼のものになる時がきても、友達と二人まとめてやられるなんて御免だけど」


 スマホのクエスト欄にあるユクハちゃんの名前の後ろには”クリア”の文字がついていた。

 さて私はベッドから離れて休んでいるが、ユクハちゃんとモミジはというと、まだベッドの上だ。


 チュッチュ……チュッチュ……


 「ユクハ、可愛えな。前々からそう思っていたけど、なんか今すごく愛おしい」


 「うんモミジちゃん。わたしも。こうやってると、すごく近くになったみたい」


 ああやってベッドで裸で絡み合い、キスしまくっているのだ。

 すっごいラヴ臭。

 まぁ友情がより深まって何より。二人の未来に祝福あれ。

 それからホノウ、本当にゴメン。

 と、ぼんやり窓の外を見ている時だ。



 ビョオオオオオウゥッ


 突然に窓の外で吹き荒れている風が、より一層強くなった。

 まずい、これは……ッ!


 「二人とも、友情タイムはここまでだ。吹雪が格段に強くなった。どうやらペギラヴァは完全に奈落の結界から抜けたみたいだ。王都侵入まで時間はないよ」


 「ええっ!? これからどうするの?」


 「【栄光の剣王】は王都城壁前でペギラヴァを迎え討つ。あそこなら城壁を利用した戦いが出来るからね。これからみんなで行くよ」


 「ええっ!? 正気かいな。たかが冒険者パーティーがあんな特級の災害に挑むなんて」


 「正気だよ。まぁとにかく準備して」


 という訳で、私達は脱ぎ散らかした服を拾って身にまとう。

 しかし付き合いの短い私と違って、一線越えてしまって賢者タイムに入った親友二人は微妙な雰囲気。


 「モミジちゃん。その……わたし達までこんな関係になっちゃったね。ええっと……これからよろしく……って言えばいいのかな?」


 「サクヤさんの女仲間として? まさかユクハといっしょにサクヤさんハーレムのメンバーになるなんてなぁ。ウチら、他の子と仲良くできるかいなぁ。それにホノウに何て言えばええんや」 


 「ううっ……ホノウくんの事は言わないで……」


 「ま、それはともかくサクヤさんから預かったこの石」


 「あ、それは」


 モミジちゃんが出したその大きめの魔石。

 それは私が預けて調査を依頼したものだ。

 元はザルバドネグザルが持っていたもので、奴は【聖者の石】と呼んでいたけど。


 「今のウチになら簡単にわかったわ。これは人間より上位の存在に自分の意思を送り操ることの出来るアイテムや。もっともその効果を発揮させるには、いくつか条件を満たさなあかんけどな」


 「じゃあ、それを使えば、あのペギラヴァも精霊界に送り返せる?」


 「その条件の一つが高い精霊術レベルを持つことや。ユクハとホノウも精霊召喚タイプの召喚士やけど、レベルが足らんから条件満たせん」


 「いいや、ちゃんと条件は満たせているよ。私のハーレムメンバーになったんだからね」


 私はスマホを取り出し、カメラ機能でユクハちゃんを通してみる。

 そして精霊術レベル、召喚術レベルを上げた。



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― 新着の感想 ―
[一言] >二人とも光になれえええっ!!! 元ネタはガオガイ… かな? >条件は満たせている つまりはペギラヴァを操れる条件が整った。ちゃんと伏線は張ってありますね。
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