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エロゲ世界でハーレム無双? ふざけんなあっ!  作者: 空也真朋
第七章 クード・ガジェル山賊団
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97話 人身売買取引き【モミジ視点】

 憐れなウチはクード・ガジェル山賊団のアジトという場所に連れてこられたわ。

 そこは【ウトバルト砦】ちゅう場所。放棄された砦を要塞みたいに改修してアジトにしてあるんや。

 クライブはんとリッツくんに引っ張られながら連中に率いられて奥の間にたどり着く。そこには幹部らしき十人くらいの悪党顔の連中がおった。


 「いよう、帰ったぜクード」


 特攻隊長はんは中央の大柄な男に声をかけた。

 それは縦横に傷痕のある顎のがっしりした顔の初老の男。『クード』という名とその貫禄。コイツがクード・ガジェル山賊団の首領かい。


 「ゲィリー。ずいぶんガキどもの人数が減ったようだが、どうした」


 「護衛に斬られたそうだぜ。この二人だけは一応エモノを獲ってきたんで合格だ。戦闘員の端にでも置いてやろうぜ」


 悪党面じいさんはウチと従士コンビをジロリと眺めて、不機嫌そうに体をゆすった。


 「チッ、わざわざ試験までテメェが出場ってそれが結果か。ガキども全員労働奴隷にした方が収支は合ったんじゃねぇのか」


 「クード。今は金勘定してる場合じゃねぇぜ。あのお姫様の取り引きは荒れる。一人でも使える戦闘員は増やしておくべきだと言ってるぜ、このゲィリーの勘はな」


 「たしかに、あの強欲ゴーメッツが『こちらの言い値で取引する』なんて臭ェ話だがな。まぁ明日は用心するさ。取引の現場は戦闘員で固めておく」


 なんやて!? ロミアはんの取り引きは明日? こら、こちらも急ぐ必要があるわな。


 その後、ウチは乱暴に引っ張られ、下着姿にされ、たくさんの女達がつめこまれた檻の中に放り込まれた。手枷ははめられてるけど、細工スキルですでに解錠済。いつで外せるようしといたで。

 そこでクライブはんに、マーセイアはんというロミアはん救出の任についてる元女官に引き合わされた。整った顔の中にもスルドイまなざし。なかなかの女傑っぷりや。

 

 「というわけで、ウチらもロミアはん救出に参加させてもらうで。よろしゅう、マーセイアさん」


 「クライブから話は聞きました。とても心強いですモミジさん」


 女傑はんから、ここでのロミアはんの現状を聞いた。なんでも特別な檻に閉じ込められ厳重に警備されてるとか。さすがロミアはん。ここでもお姫様あつかいやな。


 「いちおう場をかく乱させる煙玉なんかはあるけどな。その程度で強行突破するんは無理そうや。はじめっから期待しとらんかったけど」


 「今は動かないでください。すべては明日の取り引き。奴隷引き渡しの後にチャンスは来るでしょう」


 「せやな。この厳重な要塞からロミアはんが出てからしかチャンスはあらへん。今夜はおとなしく寝ておきましょ」


 その後、マーセイアはんと細かい取り決めをし、明日に備えて出来る限りの準備をしてその夜をすごしたん。

 しっかし、お姉ちゃん達のすすり泣きは耳にクルもんあんな。悪い夢見そうや。



 ◇◇◇


 そして翌朝。

 予定通り、人身売買ギルドの大きな檻のついた馬車が数台アジトへ入ってきた。

 いよいよ、ウチら奴隷の引き渡しがはじまった。

 ウチらは前庭に引っ張り連れ出され、一列にならばされ、ギルドの鑑定屋みたいなやつに順番にジロジロ見られる。上手い具合にマーセイアさんの隣や。


 「さて、と。逃げ出すだけなら簡単やけどな。こっからどないします」


 「とにかく機を待つのです。ロミア様が檻から出されて、人身売買ギルドに引き渡されるまでの間。あるいはその後に、サクヤ様が動いていただければ大きな隙ができます。その時こそお助けする時!」


 「ま、それしかないわな。とにかくロミアはんの位置だけは、しっかり把握しとこ」


 やがてウチら女奴隷は乱暴に引っ張られ、馬車についた檻に放りこまれ、棒でつつかれ奥へ押しやられたわ。完全に家畜扱いや。

 ここでも手枷に続いて檻の鍵も細工スキルで簡単に解除成功。

 ざっと周囲を見ると、何台か檻付馬車の中に、一台だけ見た目違ったモンがあった。大きな頑丈な箱を乗っけたような特別仕様の馬車。あれがロミアはんの入れられるモンに間違いないな。


 「ついていますね。ロミア様が入れられる予定の馬車の近くです。もっとも、あそこからロミア様をお助けするのは難しそうですが」


 「そっちはウチにまかしといてくれんか。鍵開けは得意なんや。あとはサクヤはんが道中襲ってくれれば事は簡単やで」


 「しかしサクヤ様とは細かい段取りをつけているわけではありません。どのような突発的事態があろうとも、慌てず事を進めてくださいませ」


 「はいな。慌てずロミアはんを待ちましょ」


 しかし、なかなかロミアはんは連れてこられんかった。

 それどころか砦の内部が騒がしい。これは反乱か脱走なんかが起こった時の騒ぎに似とる。


 「なーんか様子が妙やで。中に入ったギルド連中も出てこんし」


 「いえ、来ました。クード・ガジェル達が出てきます。……たしかに様子が変ですね。ギルドどもと言い争いをしています。それにロミア様は?」


 ようやっと砦から出てきたクード・ガジェルと人身売買ギルドやったが、明らかに様子がおかしいわ。

 人身売買ギルドの連中は怒りながら叫んでるし。

 クード・ガジェルは罵声を浴びながら当惑しとる。

 肝心のロミアはんは…………いない?


 ―――「どういうことかね! なんなのだ、この不手際は!」


 ―――「クッ、警備は万全のはず。どうやって、あの檻から逃げた? ともかく全戦闘員に知らせろ!」」


 不穏な会話がされとるなぁ。まさか、ありえんはずやけど?

 けどそれは音声拡散魔法で砦中に響き渡った通達で決定的となった。


 「全戦闘員に告げる! 領主ロミア・リーレット伯爵が逃亡した。ただちに砦内部および近辺を一斉捜索せよ。必ず探し出せ!!」


 なんやて!!? ロミアはんが逃亡? あの厳重な警備からどうやって!?

 ウチら、これからどうすればいいんや!!!



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― 新着の感想 ―
[一言] モミジ個人視点だけだと、情報が不足、先行き不安定感があり、面白いな。 >このゲィリーの勘  彼はここまで生き延びてきたからね。 >ウチら、これからどうすればいいんや!!  はい、お約束の…
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