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57話 アルザベール城強襲偵察

 そして翌朝。西新宿アルザベール城3kmm手前地点。

 私と真琴ちゃんモミジとラムスは、そこに自衛隊より貸し与えられたジープとともに居た。

 そして私と真琴ちゃんは、すっかりアルザベール城前のおなじみになったカリギュラコスチューム。


 「よしっ、ではミスターXの要請にあった撮影をするぞ。まずは登場シーン!」


 『本当にやるの?』という顔を向ける真琴ちゃんに『あきらめろ』という顔を返して、ヤケクソでポーズをとる。


 「光の使者ギュラブラック」


 「光の使者ギュラホワイト」


 「「ふたりはカリギュラ!!」」


 ううっ。もう正体なんてバレまくりなのに、なんでこの茶番を続けなきゃなんないんだ。


 「よっしゃあ! 次はクエスト説明シーンや。カッコよくキメるんやで」


 どうしてラムスもモミジもこんなにノリノリなんだ。

 しかたなくメガデスで「ビシッ」とアルザベール城を指して口上を語る。


 「新宿二十万の人々の命を奪った魔の城アルザベール城!」


 「そこに巣食う魔物を全滅させ、平和な新宿を取り戻すため!」


 「今日、ここに強襲偵察を敢行します!」


 「いったいあの城には何が待ち受けるのか」


 どうにか撮り終えた映像を見ながら、ラムスは難しい顔をする。


 「うーむ。マコトは照れているのか? 妙に思い切りが悪いぞ。もっと振り切ったアクションをとれ。サクヤはヤケクソ感が強い。お前は人々の平和を取り戻すクエスト前の勇者なのだぞ」


 映像批評まで出来るようになっちゃって。じつにいらん成長だよ。


 「撮り直す時間なんて無いからね。そろそろ作戦開始だ。みんなジープに乗って」


 「くそっ、戦闘では映える絵を魅せろよ」


 私はこの突入チームのリーダー。自衛隊のコマンドポストとのやり取りを担当。そして戦闘面でもリーダーで、定位置は真琴ちゃんとジープの屋根の上だ。

 モミジは運転席、ラムスは助手席でスマホカメラでブイ・チュ-ブへ配信するための撮影。屋根の上にも私たちを映すためのカメラが後ろについている。

 

『コマンドポストよりカリギュラへ。現在、作戦時間9:00(マルキューマルマル)。これより強襲偵察作戦ドーン・ザ・マンを開始する』


 時間通り自衛隊からの作戦通達が来た。


 「カリギュラ了解。みんな、作戦開始だ。モミジ、エンジンをかけて。私の合図とともにアルザベール城へ突撃」


 「はいな」


 バラバラバラバラ

 ジープにエンジンかけたと同時、無数のプロペラ音を響かせ無数のドローンがアルザベール城を目がけて特攻する。


 「おー、ドローンがいっぱい。あんな数よう作れたなぁ」


 「うむ、あれは映える絵だ。前フリとして撮っておこう」


 「カッ」と、まばゆい光が輝いたかと思うと、いくつもの爆発音が連続して聞こえてきた。

 特攻するドローンが、カオスアイの魔力光によって撃墜されているのだ。


 『損耗率五十パーセント。されど敵レーザーなおも健在。カリギュラ、行けるか?』


 「カリギュラ問題なし。第二フェーズ開始の宣言求む」


 『コマンドポスト了解。第二フェーズ開始。カリギュラ発進! ご武運を』


 「モミジ、行け!」


 「うりゃあああっ! サクヤはん、マコトはん。命はあずけたで!」


 ブォォォン

 うなりをあげてジープは発進。まばゆい死の光満ちる城へと突き進んでゆく。


 「ホワイト詠唱開始。落ち着いてゆっくりでいいよ。あれは修羅場としちゃ軽い方だ」


 「は、はい。祈りは大地に満ち、祝福は天より降り注ぎ……」


 やがてジープが城に近づいたころ、魔力光はこちらも狙い照射が来る。


 「そらっ! ヌルいヌルい」


 されどドローンがさんざん散らしてくれたお陰で弾幕は薄い。魔力光をメガデスの剣圧で潰し、余裕でさばいてゆく。

 三発の魔力光を叩き落したころ、真琴ちゃんの詠唱が終わり、最大白魔法が発動する。


 「おっと、画面にフィルターかけねば。視聴者の目を潰してはチューバー失格だ」


 「ラムスはんは自分の目も保護せぇや! あないな光、カメラで覗いたら一発で目ぇシマイやで!」 


 「いきます! 【セイクリッド・フレア】!」


 天より降り注ぐ巨大な光の圧。

 それはカオスアイの魔力光を圧倒し飲み込んでゆく。

 そして私はこの極大白魔法を収束、そして掌握。おのれの刃と化す!


 「カオスアイ、全身の(まなこ)で刮目しろ。そして焼かれろ! いっけえぇぇぇぇ! スキル【大極白光大切斬】!」


 セイクリッド・フレアの光メガデスでを刃の形に変え、アルザベール城に向けて解放。

 振り抜いた巨大な白光の刃は城塞のカオスアイに直撃。


 ドゴオォォォォン


 城郭の一部が崩れ、魔力光は沈黙した。

 自衛隊と協力したら、強敵のカオスアイも簡単だね。


 「おいっ、フィニッシュポーズはどうした? つねに視聴者に見られることを意識しろ」


 くそっ、監督気取りめ!


 「カリギュラがある限り!」


 「この世に魔物にはびこる闇はなし!」


 これでいいんんだろう! 

 まったく、いつまでリアルヒーロー魔法少女なんて続けなきゃなんないんだか。


 ともかく、この一撃で攻撃は沈黙した。ジープは何事もなく正面入り口に到着。

 妙に静かになった巨大な城を見上げる。


 「なんや、お出迎えはナシか? 中に入る前にもう一戦くらいはあると思ったんやけどな」


 「フム、不気味な城と静寂につつまれた緊迫感。これはこれで良い絵だ」


 「大丈夫でしょうか? 中で魔物が大量に待ち伏せているとか」


 いや、中にはそんな数の魔物の気配はない。それどころか気配を感じられない。

 やはり竜崎さんが言う通り、中はもぬけの空みたいだ。

 とはいえルルアーバが罠を仕掛けているかもしれない。


 「行こう。私から距離を少しだけあけてついて来て」


 「サクヤ、その前に……」


 ビシィッ


 「魔の城アルザベール城! この中にいかなる邪悪があろうとも、カリギュラは負けない!」


 すっかりアクション体質になってしまった自分が悲しい。

 そうして、いよいよアルザベール城に足を踏み入れる。


 朝方だというのに、中は暗闇。真琴ちゃんの魔力光で周囲を照らして進んでいく。

 一階から大階段を上り階上へ。

 そうして二階に足を踏み入れたときだ。


 「「「あっ、ああ! こ、これは!!?」」」


 皆から驚愕の叫びが響いた。




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― 新着の感想 ―
[一言] リソースを補充するためとはいえ、こんな映画撮影みたいなこと続けてやってるいると。ノリにのれないサクヤとマコトに同情するねぇ。
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