17話 女の子ハンター復活
というわけでシャラーンの病が治り、謎の病の治療法が見つかったことを報告しにロミアちゃんの館へとんぼ返りだ。
面倒な手続きをまたやんなきゃなんないし、ロミアちゃんは領主として次の予定に入ってるしで、謁見にはいるまでは大変だった。
しかし病の治療法は事の優先時。ロミアちゃんはけっこうな無理をしたようで、すぐに会ってくれた。
「もう治療法がわかったって? たしかに急がせたけど、すごい電光石火。あの病って王都の高名な治癒師が何も出来ないほどの難病だよ」
「なにも出来んかったんはウチらも同じや。サクヤはんが故郷から預かったっちゅう子が、ウチらが話してる間にシャラーンはんをサクッと治してもうたんや」
「すごいね。じゃあその子を王都に連れていって、セリア様の治療にあたらせれば問題は解決だね。お願いね、サクヤさま」
「あー、それがね……その治療法ってのが問題あってね。その……」
さすがにアレの説明は難しい。口ごもってしまう
「サクヤが連れてきたマコトというガキとセックスするのだ。それでシャラーンはあっという間に治ったぞ」
さすがラムス。私にできない事をする所がシビれる。
「はぁ? 治療法がその子との男女の営み? ふざけないでよ。セリア様の病の問題は真面目に王国の行く末に関わることなんだよ」
「ウチらもふざけとるわけやない。そのマコトはんの元の性別は女なんやけどな。下にはえとる男のイチモツは錬金の人体錬成で生じたモンなんや。そしてそれを生むのに使われた素材は生命の根源にも近い魔素と考えられるんうえ、その技術も創造賢者レベル。この奇跡的な創造物にマコトはん自身の治癒師の才が掛け合わされ、射精物がきわめて奇跡的な万能薬に変化したと考えられるんや」
うーん。真琴ちゃんを白魔法師の職業にしたのは消去法だったけど、思わぬ役に立ったな。
「そう、なんだね。次の錬金の賢者モミジさんの言葉なら、信じないわけにはいかないね。でも、そうすると新しい問題が出来ちゃうよ。セリア様は王族でありきわめて高い地位にいるやんごとなきお方だよ。それなのにそのマコトさんと営むわけにはいかないよ。どうしてもそれ、しないといけないの?」
「病を治したんは、精子に宿るなんらかの神性やと考えられるんやけどな。男性の精子は、膣内に射精されんモンは出たら瞬きで死んでまう。どうしても王妹はんの中にドピュッせなあかん」
「うう~」
頭をかかえるロミアちゃん。
だけどしばらくすると決断をした。
「よしッ、やろう。そのマコトくんとセリア様をやらせればいいんだよね? 私がどうにか舞台を用意するよ」
「ええんやな? やんごとないお方にしかけても」
「女の貞操なんて、命にくらべれば大したことないよ。セリア様の頭脳と才は、ご健勝であられてこそ発揮されるんだから」
さすがロミアちゃん。難しいリーレットの地をおさめるだけあって決断が早い。
「ようし。ロミアが協力するなら、セリアとそのガキをやらせる話は現実的になってきた。サクヤ、数多の女をハメてレズ奴隷にしてきたきさまの頭脳、今こそ役立たせるがいい」
まったく人聞きの悪いことを。ラムスめ。
困ったことに、ロミアちゃんもモミジもこのラムスの言葉に納得な顔してるんだよね。
◇ ◇ ◇ ◇
そして翌日。
私は真琴ちゃんを連れてふたたびロミアちゃんへ謁見をした。
領主謁見のちょっとした作法ののち、真琴ちゃんをロミアちゃんの前に立たせると、ロミアちゃんはおごそかに宣言した。
「マコト・ミナミザワくん。君はわがリーレット伯爵家の一等侍従官へ就任することが決まりました。おめでとー」
真琴ちゃんはポカンと訳が分からないと言う顔。
そりゃそうだよね。本人が知らない所で作戦のためにこんな身分なんか与えられたんだから。
「はぁ? あの、いったいどういう事なんでしょうか? なんで私が?」
「ロミアちゃんの近侍くらいの身分じゃないと、セリアさまの寝室には行けないからね。だからロミアちゃんにすごい特例を出してもらったんだよ」
「ちっともわかりません。それに『セリアさま』って誰です? どうして私がその方の寝室に入るために、すごい特例なんて受けなければならないんです?」
これにはロミアちゃんが説明をする。
「わがゼナス王国国主ホルガー・アノス・ロッテンマイヤー王陛下の妹君であらせられるお方で、ゼナス王国国軍軍務尚書と国土復興開拓長官の地位につかれているわが国の重鎮だよ。でも先日から謎の病で寝込んでいらしてね。国政が乱れて大変なんだよ。けど、その病を治した君の話を聞いてね。ぜひセリア王妹殿下も治してもらいたいの」
「ええっ⁉ なんだかスゴイ人じゃないですか! それに病を治すっていっても…………まさか⁉ いや、そんなエライ人にそんなこと! まさかね?」
「ポン」と真琴ちゃんの肩をたたく。
そして安心させるために「ニカァ」とものすごく良い顔で笑いかける。
…………あれ? なんで怯えた顔をするの?
「そのセリア王妹殿下とヤルんだよ。君の男の子でズドーンとやっちゃって」
「やっぱりいいい!!? そんなのムリ! そんな高貴なお方が病で寝ている所にそういうことって…………もしかして人に見られたら大変なことになるんじゃないですか⁉」
「そうだね。護衛や側近に見られたら、不埒ものとして即座に処刑だね。だから誰にも知られずにヤルんだよ」
「処刑‼ 無理です、そんなこと! 出来っこありません!!」
「出来るよ。セリア様とヤルときは私もついててあげるからね」
「サクヤさんがついてたらどうなるっていうんです! こんな不可能なミッション、どうにもなりませんよ!」
「なるんだよ。獲物の女を調べあげ、絶好のえっちポイントを考え、おびきよせて口説きオトす。一年ほど前、それを私は幾度もやった。今回はロミアちゃんやラムス、モミジも協力してくれるから楽勝だ」
「ええっ⁉ サクヤさんって……そういう人だったんですか⁉ そうやって幾人もの女の人と関係をもったんですか‼」
「ニヤリ」と不敵に嗤う。
あれは元の世界に帰るためにやむを得ずやったことではある。
だけど、それを楽しむ気持ちがあったのも事実だ。
「寝室に忍びこんだら、セリア様をメロメロのエロス状態にして『あとは入れるだけ』な状態にもっていくよ。あとはマコトちゃんがズドンとやっちゃって」
「ヒ、ヒィィィィィィッ! ち、ちかよらないでください!!」
ああ、傷つくなぁ。
けど、命をかけた女の子ハントがひかえている身だ。
甘さは捨てなきゃいけない。
それは私だけでなく真琴ちゃんも同様だ。
私はかまわず真琴ちゃんの間近にせまり顔をつきつける。
「もともと女の人とえっちするのがお仕事だったはずだよね? いよいよ本番開始だ。経験もシャラーンとたっぷり積んだみたいだし、しっかりやるんだよ」
「い、いや、そうでしたけど! まさか命までかけて、そんな高貴な女性とするなんて話は聞いてませんでしたよ! それからいつの間にかついてたコレ! コレってぜったいペニバンじゃありませんよね! ……ムグッ」
文句がすぎる女の黙らせ方は、口をふさぐこと。
私は真琴ちゃんの口を「ムチュッ」とキスでふさいだ。
一秒……二秒……
しばらくして口を離す。
すると真琴ちゃんは崩れるようにへたりこんだ。
顔は赤くなって、息も絶え絶えだ。
「な……なに? こんなキス…………知らない」
「明日、王都へ出発だ。それまでにロミアちゃんから王城内の作法を教えてもらうんだよ」
クルリ背中を向けて歩き出す。
真琴ちゃんはロミアちゃんにまかせて、ラムスたちと作戦を練らなきゃね。
「うわぁ、さすがサクヤさま。男まえー」
ロミアちゃんの熱いまなざしを感じる。
たしかにあの時の私に戻ったのかもしれない。
ああ、懐かしいな。難易度の高い女とヤルことに挑むこの感覚。
セリア様。前回は使える手段が限られてたから、「ラムスに化けて」なんて方法をとらざるを得なかったけど。
今回はロミアちゃん他みんなが協力してくれる。
だからキッチリとオトさせてもらいます!




