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35 ざわつく

 朝、学校に行くと何やら、いつもより騒がしかった。

 私は荷物を自分の席に置くと、由南ちゃんの席に近づき、理由を聞いた。


「ねぇ、なにかいつもより騒がしいけど、どうしたの?」


「転校生がくるんだって。 まぁ今日ではないらしいけど」


 だからか。

 しかし中途半端な時期に転校だな。

 親の都合か何かかな。


 あれ? そういえば昨日広葉が高校にも転校生が来るって言ってたな。

 まぁ偶然だろうが。


「それで、なんだかいつもと違うんだね」


「そういうこと。 でも転校生が来たらよくあることだけど、カッコいい人だったらいいな、とか可愛い子だったらいいなとかそんな話よ」


 あ~お決まりのお話ですね。

 しかし、知らないところでいつの間にか期待度が上がっていくのは転校生からしたら嫌だろうなぁ。


「私がもし転校生なら耐えられないね。 あれ? そういう話をしているってことは転校生が来るってことしか情報がないの?」


「そうみたいね。 クラスメイトの誰かは知らないけど、先生の会話をチラッと聞いたみたいよ」


 あ、盗み聞きですか。

 じゃあどこのクラスにくるってこともよくわからないんじゃ‥‥。


「じゃあ間違いって可能性もある?」


「大いにあるわね。 まぁ真実だったとしても、特にそれほど期待も興味もないし」


「何だか冷めてる大人って感じだね由南ちゃん」


 まだ中学生なら、もうちょっと皆みたいに盛り上がるんじゃないのかな。


「別にそんなことない。 それを言うなら奈留だってそこまでじゃない?」


「あはは、別に普通だよ」


 似た者同士ってことかな‥‥いや似てないな。

 しかし、転校生が本当だったら少し楽しみかなぁ。




 ◆◇◆◇◆◇




 私は少し前に図書館で借りた本の貸し出し期限が迫っていることに気付き、急いで図書館まできていた。

 何度きても、図書館は落ち着くなぁ。


「お、夕闇」


 そこにいたのは藍先輩。

 前にも同じことあったけど、二回もこんな偶然あっていいのか!?

 図書館という場所においては、全く会うことのない人間である藍先輩と二回も会うなんて。

 これは運がいいのか、悪いのか‥‥。


「藍先輩!? どうしてここに?」


「またその反応か。 少し気になるがまぁいい。 理由は本の期限がそろそろなのを忘れていてな」


 先輩もですか‥‥。

 まぁ仕方がないですよね。


「あぁこの前の従姉弟さんのための本ですか?」


「そうだ。 ちなみに今日は本を持つのが面倒だったから、本持ちさせるために従姉弟の弟の方を連れてきた」


 ずっと面倒ですね、藍先輩。

 その弟の方も大変だな‥‥。


 それにしても今日も従姉弟が来てるのか。


「今日も従姉弟さんは家に遊びに来たんですか?」


「いや、本当に今日のことなんだが、従姉弟が近くに引っ越して来てな。 ちょうどいいからパシリにした」


 引っ越してすぐパシリにされるなんて可哀想に。


「そ、そうなんですか‥‥」


「じゃあ私は帰るよ。 また部活でな」


「はい、また」


 そういって藍先輩とわかれた。

 でもそうかぁ。 従姉弟さんは本が好きみたいだし、近くに引っ越して来たのなら会ってみたいなぁ。

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