161 上手くいかないこと
死のうって‥‥‥‥もしかして、自殺しようとしたってこと?
どうして、詩唖先生が。
「な、何でですか?」
「先生の仕事が上手くいかなくてね」
先生の仕事?
生徒が言うこと聞かないとかかな。
ま、まぁ前世の時は一部の生徒には、少しなめられていたような気はするが、ほとんどの生徒には可愛くて優しい先生だったと思う。
その一部の生徒のことで悩んでいたのかな?
でも、自殺しようと思うまで追い詰められるのか‥‥‥‥いや、色々考えすぎてってことも、詩唖先生だからあり得るのか。
「生徒のことですよね。 なんかすみません‥‥」
「え、え、夕闇さんがなんで謝るの? 謝る必要なんてないよ。 それに生徒の皆はいい子達だったよ」
あれ、生徒のことじゃないの?
というか、全員が全員、いい子ではないと思いますよ‥‥はい。
「え、じゃあどんなことに?」
「何だろうな‥‥‥‥先生同士の関係が良くなくて。 そのときに色々あって、疲れてたのかもしれないね」
職場での人間関係か‥‥。
詩唖先生みたいに美人だと色々大変だったのかもしれないな‥‥。
「じゃあそんな時に広葉と」
「うん。 いい話があるから、騙されたとおもってついてきてって言われて」
いや、怪しすぎるでしょ、それ!
何処の悪徳商売ですか!
あと詩唖先生、心が純粋すぎますよ‥‥。
何だか、出会ってあまり時間は経っていないけど、心配です。
いやいや、でも流石にそんな怪しそうな誘い文句をこの二人が言うわけ‥‥。
「そういや、言ったな」
「言ってましたね」
‥‥言ってたのかよ!
「それで、あなたの問題を解決するから、体を貸してほしいって言われてね。 それが私達が入れ替わった理由だよ」
「本当はもう少し色々あるが、大雑把に言うとそうだな」
なるほど、ギブアンドテイクの関係でやっていたってことか。
‥‥あ、だから広葉、理由があってまだ戻れないって言ってたのか。
「納得です。 先生、何だか話しにくいような話をしていただいてありがとうございます」
「あはは、いいよいいよ。 夕闇さんには話したいって思えたんだ。 優しい心を持ってそうっていうかさ、先生としての勘っていうのかな? まぁ、今は先生じゃないけどね」
もう昔の話と割りきっているようで、詩唖先生は笑っていた。
でも、そうかぁ、広葉は助けるために変わっていたんだね。
それはまだ変われないよね。
‥‥‥‥あれ? でも関係改善にしては広葉、学校で良い先生演じてたっけ?
‥‥ん? いや、悪化してないかあれ。
私は広葉に近づき、耳元でこっそり喋る。
「‥‥ねぇ、広葉。 今の学校での現状、詩唖先生に伝えてるの?」
「‥‥近寄ってくる男共は排除したとは言ったぞ」
まぁ、それはよかったと思うよ、うん。
でも、その代わりにめちゃくちゃ違うところがダメになってるじゃねぇか!
今思えばまともに先生してないし!
いや、まぁ確かに、追い払うために横暴な態度をとってるってのは何となくわかるんだけどさ。
「ねぇ、広葉。 これ一生戻れないんじゃない?」
「‥‥うん、そうかもしれない」
大丈夫なのだろうか‥‥。




