152 心配性な友人
その後、少し二人だけの時間が続いていたのだが、私に気を使ってか、広葉は特に何も喋らなかった。
まぁ、私も少し眠っていたのでそのせいかもしれないが。
広葉は、そのあと電話で呼び出され、しぶしぶ学校へ戻っていった。
やっぱり、休むのは無理だったんだね。
それにしても、さっき眠ったから、何だか熱が少し下がったような気がする。
先程までの、体の怠さももうないみたいだし。
二人のお陰かなぁ。
それか体が強いかのどっちかだね。
「よし、掃除しよっと!」
「「ちょっと、待ったー!」」
あれ? 信くんと由南ちゃん?
◇◆◇◆◇◆
「陸さんから熱が出たことを聞いて、もしかしたらって思ったけど‥‥。 奈留、なんで掃除始めようとしてたの?」
由南ちゃん、顔が怖いです。
もしかしなくても怒っていらっしゃいますか?
「いや、由南ちゃん。 もう体軽いしいいかなぁ~って」
「いいわけないでしょ! 下がっても、ぶり返す恐れだってあるし」
「そうだよ、奈留さん。 今日一日は休んだ方がいいよ」
う~ん、二人に言われたら、従うしかないよね。
「うん、わかったよ、もう少し寝てる。 ‥‥あれ? そういえば、二人はどうやって家に入ってきたの? それにまだ学校は終わってない時間だよね?」
「今日は何故か詩唖先生が私達のクラスだけ、早く終わらせてくれてね。 心配だったから奈留の様子を見にいこうとしてたんだけど」
心配して見に行ったら、掃除する気満々の私がいると。
うん、そりゃ怒りますね。
「何故入れたのか、という疑問の答えは、陸さんが灘実さんに鍵を託していてね。 早く終わるなら奈留をよろしく、って言われたみたい」
あぁ、それで。
由南ちゃんって兄さんに信用されてるんだね。
まぁ、よく由南ちゃんの話してるし、当然か。
「まぁ、私一人で行くのもあれだったから、クラスが同じで早く終わった磨北くんを誘ったのよ。 蔭道さんはまだ授業だしね」
「二人ともありがとね。 でももう結構元気なんだよ? という事でお茶だすよ」
私はベッドから出ようとすると。
「何が、という事で、よ! させるわけないでしょ。 日頃の疲れもあるんだから寝てなさい!」
なんか皆、休めって言うんだけど‥‥。
でも、友達が来てるのに、なにもしないって落ち着かないし。
「う~ん」
「はぁ、磨北くん。 私少し飲み物持ってくるから、奈留の監視をお願いしますね」
「は、はい‥‥」
そういって、由南ちゃんは私の部屋を出ていった。
というか、信くんと、二人きりだ‥‥。
信くんの前世のことを知ってから、初めての二人きりだな。




