124 先生は言いました‥‥
信くんが、転生者と知ってから、一日が経ち、私は信くんに対する態度を変える‥‥なんてことは全くなく、今までと変わらなかった。
前世があって、身近な人だったら、もしかしたら変わったのかもしれないが、特にそんなこともないと思うし。
基本的にはなにも変わらなかったが、話すときに特に前世のことを気を付けながら話さなくていいというのは相当楽だ。
何故か信くんといるとよく話しちゃいそうになるからね。
信くんを見ると、男の友達と話しているようだ。
私もお話ししたいなぁ‥‥いや、もうそろそろ授業始まるし、なに思ってるんだ私。
「おーい、席につけー」
あ、詩唖先生。
いつも通りというか少し遅れてくるので、ホームルームもなしというとこで‥‥いえ、あるけど授業に食い込んでやるという感じです。
「授業を始める前に言っとかなきゃいけないことがある」
何だろう改まって。
もしかして、クビ? ちゃんと授業やらないからやめるとか?
いや、さすがにないか。
「いい忘れていたんだが、職業体験がある‥‥以上だ!」
それだけ!?
それも、重要そうなことをそんなサラッと!
あと、そんなのあるって聞いてないんだけど!?
去年までなかったよね、そんなの!
「期限は今日までだから、今から決める!」
これ、絶対当日まで忘れてたでしょ!
他のクラスは絶対決める期間があってから今日のはずだよ!
あ、ちなみに他のクラスからの情報は私には入ってこない、何故なら‥‥友達が少ないからね!
蕾ちゃんも、たぶんこういう行事ごとは忘れてそうだから、私には言ってこないだろうしね。
「せんせー! それってチームを決めて行くんですか?」
お、クラスでよく目立っている、えっと‥‥誰だっけ? 名前が‥‥まぁいいや、何とかくんが詩唖先生に聞く。
「いや、個人に決まった、というか私がしといた」
しといた?
「仲の良い奴らが同じだと、ふざけて問題が起きそうだから私が進言しといた」
ちょっと! 普段仕事しないくせに、なんでそこだけしっかり仕事してるの!?
絶対問題起きたら面倒だとか、そういうことだよね。
ということは由南ちゃんと一緒になれないってことかな‥‥。
詩唖先生は、みんなのブーイングを目力で封じ込め、説明に戻る。
「体験先は様々だが、何人か行けるところもあれば、一人しかいけないところもある。 一人のところに二人以上募集したら、勝者がそこの体験に行けることとする」
勝者!? え? じゃんけんだよね? 喧嘩とかじゃないよね?
でも、一人のところだと特になにも考えなくてもいいから、その方がいいかな。
「じゃあ、このプリントが体験先一覧だから、早く決めろ」
まさかの一枚‥‥そこはみんなの分用意してほしいところなんだが‥‥。
黒板に貼り付けられたプリントを見るため、皆が一斉に立ち上がる。
私も見に行こうかな。
えーと何々‥‥色々あるなぁ。
あ、よく行ってるスーパーとかもある。
どれにしようかな‥‥あ、これって‥‥。
この前、小乃羽ちゃんと兄さんがデートしてた、カフェだ。
ここ行ってみたいな。
‥‥よし、ここにしよう!




