表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/780

107 こういうのって難しい

 ようやく家に帰ってきた私は、誰もいないであろう家に言った。


「ただいまー」


 まぁ、自分一人しかいないけど何となく言いたくなるんだよね。

 言わないと落ち着かない。


「お帰り~」


「お帰り、奈留なるちゃん」


 はぁ、何となく想像できてたけどさ。

 リビングの電気もついてたし。


「どうしているんですか? 森田もりたさん、祈実きさねさん」


 一応言っておきますけど、不法侵入ですからね!

 まぁ、なんか広葉こうようの方は慣れつつあるんだけど。

 祈実きさねさんは珍しいな。


「いや、俺は何となくお腹が空いたなぁ~と思っていたら」


「思っていたら?」


「いつの間にか家にいた」


 そんな馬鹿なことがあるのか!?

 というか、私の家、別にレストランじゃないですからね!

 広葉こうようが勝手に食いに来てるだけだから!


「私は何となく面白いことないかなぁと思っていたら」


「思っていたら?」


「いつの間にかここにいたんだ♪」


 初めの言葉でそうじゃないかなぁとは思ってたけどさ、だから、そんな馬鹿な!


「そんなことで、ここにいたんですか‥‥それでいつから?」


「ん~二時間前?」


 長い!


「そんな時間よく何もせずに過ごせましたね!?」


「いやいや、流石になにもしないなんて無理だよ~」


「だから、二人で遊んでたんだ」


 へぇ、この二人で遊ぶですか‥‥。

 この二人が一緒に遊ぶってイメージがないので、何してたのか少し興味が出てきました。


「何をして?」


「「ごっこ遊び!」」


 えっと‥‥‥‥は?




 ◇◆◇◆◇◆




 ごっこ遊びとは子供がなにかに、なりきったりして遊ぶ遊びである。

 まぁ子供の頃にはよくある遊びだが‥‥。


「えっと‥‥何言ってるんですか?」


「ごっこ遊びだよ?」


 祈実きさねさんは、わからないの? と言いたげな表情で首をかしげていた。


「いえ、それはわかってるんですが。 キャラになりきったりとかですよね」


「そうだけど、今回やってたのは、そういうのじゃなくて、恋愛のありそうでなさそうなことをする、みたいな感じだよ」


 あーそういうことですか。

 あり得なそうな恋人になりきるってことですよね。


「なるほど、納得です。 じゃあ私は晩御飯作るので」


「うぇ!? 奈留なるちゃん無関心!? やらないの?」


「やりませんよ」


 なぜ私がやるということになっているんだ広葉こうようよ。

 そんな面倒そうなことをやる必要はない。


奈留なるちゃんもやってみようよ♪」


「やりましょう!」


祈実きさねさんとの違いが凄い!」




 ◇◆◇◆◇◆




「まぁそんながっつりやる訳じゃないから。 ワンシーンを少しって感じで」


「そうなんですか」


 はぁ、結局やることになっちゃうんだよなぁ。

 自分が言っちゃったから後戻りできないし。


「じゃあまず、奈留なるちゃんが告白して、広葉こうようが振る感じで」


「えー!? 何で俺振っちゃうの!? あり得ないでしょ!」


「いやまぁそこで私が奈留なるちゃんを励ましてみたいな?」


「あ、くっつくのそっち!?」


 広葉こうようもその反応するよね、私も少し驚きましたよ。

 あとなんかごっこというより、本当にドラマのワンシーンみたいだね。


「いや、そっちの方が楽しいかなぁって」


「まぁ、今回はそれでいいけど、次は俺が決めるから!」


「あーはいはい。 じゃあ呼び方は奈留なるちゃんは先輩ってつけて、広葉こうようくんは呼び捨てね」


「中々緊張するな、それ」


「先輩ですか‥‥」


 全然広葉(こうよう)のこと先輩って思ったことないけど、まぁ呼ぶだけなら‥‥。


「それじゃ、やってみよっか。 じゃあはじめ!」


 そんなすぐ始めちゃうんだ‥‥まぁいいけど。



「先輩、ちょっといいですか?」


「ん? どうしたんだ奈留なる?」


森田もりた先輩‥‥私、先輩のこと好きです‥‥お付き合いしていただけませんか?」


 嘘だと思っていても何だか恥ずかしいな。


「すまん、俺には好きなやつがいるんだ。 諦めてくれ‥‥「おい」‥‥え?」


「あ」


 私達三人は、同じ方向に目を向けた。

 リビングのドアの前にいつの間にか帰ってきたのか兄さんが‥‥、


「おい、てめぇ、どういうことだ広葉こうよう


 たまに、兄さんと広葉こうようってこういうときあるよね。

 間が悪い!


「いや、これは違うんだよ!? ねぇ、りく聞いてる? ちょ、待って! まずは話し合おう!?」


「俺の奈留なるを振っておいて、ただで済むと思うなよ?」


「ち、違うんだよりく! これは‥‥そ、そう! 遊び、遊びだったんだよ!」


「は? 遊び? お前‥‥」


 あ、さらに勘違いされた。

 ど、どうしよう!?


祈実きさねさん!」


「初々しい告白で大変良かったです。 よしよし」


 ふぁ~祈実きさねさんが頭を撫でてくれてる~。

 って! 祈実きさねさん二人を無視!?


「覚悟しろよ、広葉こうよう‥‥」


「助けて、奈留なるちゃん!! 助けて───!!」


 はぁ、やっぱりこうなるんですね!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ