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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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美味しそうなストロベリー

「あら、また届いているわよ!」

「本当ですね~。わあ、見てください。美味しそうなストロベリー!」

「これはフレッシュクリームじゃない? しかも氷が添えられているわ!」

「ということは~もしかしてこのストロベリーにこの生クリームをつけて食べるといい……ということではないですか!?」

「ええ、そうに違いないわ! テレンス嬢、すごいわね、あなたのパトロン!」


 ルーベル侯爵令嬢とモンクレルテ子爵令嬢が瞳を輝かせてわたくしを見る。しかしわたくしはため息だ。


「パトロン……。なぜわたくしにパトロンがつくのですの!? わたくしは歌姫でなければ、画家や音楽家の卵ではないですのよ。それに侍女にパトロンがつくなんて、聞いたことがないですわ!」


 肩をすくめるわたくしに対し、ストロベリーと生クリームの入った籠を手にしたルーベル侯爵令嬢は、部屋の中に入りながら、こんなことを言う。


「パトロンと言うと、芸術家の卵を支援するイメージが強いですけど、それだけに限定はされませんよね。アカデミーへ通う生徒への支援もあれば、探検家への援助だってあるのよ。侍女を応援することがあっても……おかしくないと思うわ」


 するとモンクレルテ子爵令嬢まで、こんなことを言い出す。


「前回のスモークした合鴨のパセリのサンドイッチ! あれは絶品でした~。その前の子羊のカツレツサンドも本当に美味でしたよね!」

「何を言っているのかしら? わたくしたち、これから寝るのですよ?」


 わたくしの指摘に「でも~」とモンクレルテ子爵令嬢が言うと、ルーベル侯爵令嬢が助け舟を出す。


「侍女の夕食は日没後すぐに手早くで、片付けもしないといけない。その後はすぐ、コルネ伯爵のディナーのお着替えのお手伝い。伯爵が食事をされている最中は、戸締りや明かり、寒い季節は暖炉の点検。入浴の準備や寝室の確認、ナイトティーの準備もあるわ。夜間の急な来客対応もあるでしょう。そんなことしていたら、もうお腹はぺこぺこよ!」


 それについては確かにその通り。


「空腹で眠れないより、程よい量の夜食で心身共に満足して眠れる。そっちの方が絶対に正解だわ!」

「それは……そうですわね」


 ルーベル侯爵令嬢の言葉には、同意するしかない。先輩の侍女の中には料理人に頼み、こっそり残り物で夜食を用意してもらう人もいるぐらいなのだ。


 侍女の夕食の時間は早く、その後も仕事があり、そして寝る時間は遅い。お腹が空いても突然だった。


「それにテレンス嬢宛てに届いていますけど、一人じゃ食べきれない量。こんなに沢山用意してくれるなんて、太っ腹なパトロンじゃない。素直に喜べばいいのに!」


 ルーベル侯爵令嬢の指摘に、わたくしは「うっ」と言葉が詰まる。


 素直に喜ぶ。確かにそうなのだ。


 仕事終わり。体はもうぐったり疲れている。すぐにでも眠りたいが、自分のベッドのメイキングもあれば、休むための準備もしなければならない。その作業に着手する前に、程よい量の夜食を口にできる。それは……大変な活力になった。


 感謝の気持ちはとてもある。できれば御礼を言いたい。


(でも、誰なんですの!? 匿名だから分からなくてよ!)


 心から「ありがとうございます」を伝えたいのに。誰なのか分からない。そのことでわたくしは……どこかムキになっていたと思う。


「というかテレンス嬢、夜食が届くようになって、ようやく頬がふっくらしてきたじゃない」

「あ、それは私もそう思いました。ドレスを着ていると分からないですけど、寝間着になると……。腕も足もテレンス嬢はとても細くて……。今はようやく落ち着いてきた感じですよね。実は心配していたので、良かったです!」


 ルーベル侯爵令嬢とモンクレルテ子爵令嬢の言葉にハッとする。


 わたくしは確かに修道院に入ってから、髪も肌もボロボロになり、体型の崩れが気になった。しかしそれは最初のうち。どちらかというと、どんどん手足も痩せていき、頬は……少しこけたような状態になっていたのだ。


 でも不健康だったわけではない。それにコルネ嬢がハンドクリームの作り方を教えてくれたので、肌のボロボロは早い段階で改善された。ただ公爵令嬢として過ごしていた時とは違い、肉はめったに食べられず、砂糖なんて口にできなかった。それに食事の量も決められていたから、好きなだけ食べられるわけではない。


 つまり食生活が修道院に入る前と後では劇的に変化したのだ。要するに清貧な生活というのは、常にお腹が空くものだった。


(いつしか鏡を見なくなり、体の変化を諦めていましたけど……)


 指で触れる頬に張りを感じる。


 結局、侍女になっても食事はいつだって慌ただしくなってしまう。ゆえにルーベル侯爵令嬢とモンクレルテ子爵令嬢の言う通りで、痩せている状態は続いていた。ところが夜食が届くようになったおかげで、自然と顔つきも変わり、手足も健康的に見えるようになったのだ。


(一体誰のなのかしら? 差し入れを用意しているのは料理人の方よ。でも聞いてもパトロンの正体は教えてくださらない)


 名乗ろうとしないのに詮索するのはよくないと思う。でも……気になって気になって仕方なかった。

お読みいただきありがとうございます!

公爵令嬢がカムバック!

彼女の物語を読みたかった読者様、お待たせいたしました~

しばしツンデレ嬢をお楽しみくださいませ☆彡

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