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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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僕と殿下とコルネ嬢、そして目覚める

 まさか咎人となったテレンス元公爵の娘を自身の侍女にしたい、だなんて!


(コルネ嬢は一体何を考えているんだ!?)


 テレンス嬢に呼び出されたことで、コルネ嬢は攫われることになった。挙句、炎の海の中で、命を落とし掛けた。何のためにそんな場所に呼び出したのか。その理由はコルネ嬢の希望で(おおやけ)にはされていない。だがレグルス王太子殿下や僕は知っている。テレンス嬢は父親から殿下の婚約者の座を射止めるよう、プレッシャーをかけられていた。それに本人もそうすることが公爵令嬢である自身の役目と思っていたのだ。


 テレンス嬢はさすが公爵令嬢として英才教育を受けていただけある。洞察力も優れているのだろう。レグルス王太子殿下がコルネ嬢を想っていることに気付いてしまった。そこで宮殿の外へ連れ出し、コルネ嬢に選択を迫ったのだ。


『……殿下が婚約者を今いる候補の中から選ぶには、あなたが邪魔だということを。殿下に幸せになって欲しいなら、身を引いてもらわないとダメだと思うのよ』


 つまりはコルネ嬢に侍女を辞めるようにと迫ったのだ!


(僕からしたらテレンス嬢は悪女。自身を庇ったコルネ嬢に感謝し、助けるために動いた点は認める。だがそもそもとしてテレンス嬢がコルネ嬢をあんな場所に呼び出さなければよかったのだ)


 最初は細かい事情を知らず、父親の悪事により全てを失った可哀想な公爵令嬢だと思っていた。だがコルネ嬢を呼び出した理由を知ってしまうと、どうしたって悪女にしか思えない。


(でもコルネ嬢は、自身が攫われたことをちゃんと殿下に伝えるために動いたテレンス嬢を高く評価している。それに父親は罪人でもテレンス嬢自身に罪はないと言うのだから……)


 僕がテレンス嬢の侍女採用に異を唱えても、考えが変わることはないだろう。それに最終的なジャッジはコルネ嬢がすることになる。


(こうなったらレグルス王太子殿下に直談判するしかない!)


 そうと決めたら善は急げで執務室にいるレグルス王太子殿下の所へ向かい、「殿下!」とテレンス嬢の件を一通り話すことにした。


「スコット」

「はいっ!」

「落ち着くんだ」

「!」

「君がアンジェリカのことを心配してくれるのは分かる」

「ですが殿下……!」


 そこでレグルス王太子殿下がクスッと笑う。

 これには「!」となり、息を呑む。


(僕の前でクスッとでも笑われると、とてつもなく嬉しくなってしまう。もうそれは無条件で万歳をしたくなり……)


 いろいろ言おうとしていた文句も、今のクスッで引っ込んでしまう。それを確認したレグルス王太子殿下は再び話を続ける。


「最初はわたしも驚いた。でも本人からその理由を聞いて納得したんだ。アンジェリカはまず、テレンス嬢の父親の一件があったが、そこは切り離して彼女のことを見ていると言った。公爵令嬢として育ったテレンス嬢は社交界の癖を熟知しているし、どう振る舞うことが効果的かも理解しているんだ。テレンス嬢が侍女として支えてくれたら、心強いと」


 その点については理解できる。貴族社会での立ち回り、それは本人の力量に加え、仕えている侍女が果たす役割も大きい。


「何より、テレンス嬢はツンデレ、なんだそうだ」

「ツンデレ……?」

「そうだ。普段はツンツンしている。よって怖いと思われがちだが、本当は優しくて思いやりもあると。気を許せる相手の前では、嬉しくてデレッとしてしまう性格だと言っていた」


 ツンデレ……。なるほど。それは何だか……。


(レグルス王太子殿下みたいだな。だって普段はツンツンだ。でもコルネ嬢といる時はデレデレなんだ)


 納得する僕を見て、レグルス王太子殿下が告げる。


「テレンス嬢の良さに気づけたのに、このまま修道院に彼女を放置することなんてできない。どんなきっかけであれ出来た縁。自身と関わった人には少しでも幸せになって欲しい。それは大切な仲間だから――そう彼女は言っていた」

「……!」

「アンジェリカは使用人たちからも、料理人たちからも、鍛冶職人たちからも好かれている。その理由は彼女のその優しい気持ちにあると思う。テレンス公爵は正真正銘の悪党だった。しかしテレンス嬢は悪女ではない」

「それは……」

「父親からのプレッシャーと公爵令嬢という立場から、アンジェリカに文句を言ったことは知っている。だが彼女は、アンジェリカのことも認めていたんだ。もしアンジェリカが『では私、殿下の婚約者候補に名乗りを上げます!』と言っていたら……。ライバルとして戦いながら負けた時、テレンス嬢は勝負の結果を潔く受け入れた気がする。彼女は性根が腐った悪徳貴族どもとは違う。よってチャンスをあげてもいいと思った」


 レグルス王太子殿下にまでそう言われてしまうと……。


 確かに不正や違法取引をしていた貴族たちは、悪いことだと分かっていながら、開き直って行動していた。それを思うとテレンス嬢は……どこか不器用に思える。それに……。


(そうか。コルネ嬢にとっての幸せは、自分一人だけではないんだ。自分に関わる人が少しでも多く、笑顔でいてくれたら、それが彼女にとっての幸せなのだろう……)


 だが、と思う。

 レグルス王太子殿下はある意味、そんな優しいコルネ嬢と一緒にいることで、かなり丸くなってきている。もちろん不正や悪に目をつぶるわけではない。それでもこれまでよりレグルス王太子殿下自身も優しくなっていた場合。そこにつけ込む悪い奴らもいるのだ。


 レグルス王太子殿下とコルネ嬢を守るのは、この僕しかいない――。


 僕は新たな使命感に目覚めていた。

お読みいただき、ありがとうございます!

スコット筆頭補佐官は迷走中!?

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