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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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みんなの優しさ

 この大陸で一番の栗の産出国であるアルセール国。

 パティシエが詳しく教えてくれる。


「アルセール国の一部の地域では穀物不足を補うため、栗の木を育てている平民が多いんですよ。土地としても栗の木と相性がいいのでしょうね。栗の実は毎年収穫し、茹でたり、焼いたりしてそのまま食べたり、パンの材料に使ったり。アルセール国では栗の木を“パンの木”と呼ぶこともあるそうなんですよ」

「へえ、そうなんですね。それは知らなかったです」

「我々のようなパティシエが栗を扱うと、それは高級スイーツに生まれ変わりますが、アルセール国では庶民も食べているのが栗なんですよ」

 

 そこで思いつきで聞いてみる。

 

「どんぐりを餌として与えた豚は旨味と風味がアップして王侯貴族にも人気よね? もしかしてアルセール国では飼料として栗を与えたりするのかしら?」

「素晴らしいです、コルネ伯爵! アルセール国では確かに栗を飼料として与えている地域がありますよ! 栗で育った豚のお肉は濃厚な味わいだと言われています。特に現地ではハムにして提供されているそうです」

「まあ、それは食べてみたいわ!」

「! 料理人に伝えておきますよ」

 

 そうパティシエは答えた後、彼はこんな質問を私にする。

 

「栗の木は実だけではなく、木材としても活用されていることは、コルネ伯爵はご存知ですか?」

「え、それは知らないわ」

「ならば説明してもらいましょう!」

 

 そこで登場したのは、これまた算盤の制作でお世話になっている職人の方々。特に木材を使った家具を扱っているその職人は、実に興味深い話をしてくれる。

 

「栗の木は腐りにくく、耐久性もあるんですよ。実は家具にも向いていますし、農具にも使われているんですよ」

「え、そうなんですか!」

「はい。家具だけではなく、柱や梁材としても使われています」

「栗の木で作った炭は鍛冶でも使っているんだよ!」

 

 なんとダイアンまで登場し、栗の木についてあれこれ教えてくれる。


 おかげでティータイムが終わると、私はアルセール国と栗についてかなり詳しくなった。

 

「それでは小テストを始めます。口頭で質問するので、答えて頂きます。コルネ伯爵に学んでいただきたいのは、社交や外交の場で役立つ実践の知識です。ゆえに私がアルセール国の貴族に扮するので、学んだことを生かし、会話を成立させてください」

 

 これを聞いた私は「なるほど!」となる。

 

(前世のようなとにかく暗記、いつ使うか分からないが覚えておけ!ではないのね! 本当に役立つ知識を身に着けさせてくれようとしているのね)

 

 それを悟ると王太子妃教育=難しい!の意識が薄れていく。

 

「では始めます。……初めまして、コルネ伯爵」

 

 そこから教師はアルセール国の言葉で話し出し、私は必死にそれを理解し、応じる。その会話の中で教師は……。

 

「コルネ伯爵はアルセール国に興味はありますか?」

「あります! アルセール国の長らく秘伝とされていたレシピのマロングレーズをいただき、特に貴国での栗について興味を持ちました!」

「栗、ですか」

「はい。栗の木が生えている一帯は村人が管理し、その実、木材を活用していると聞きました。計画的な植林もされているんですよね」

 

 そこからはもうティータイムで仕入れた栗の木に関する知識を思う存分披露。教師はビックリすると同時に大絶賛してくれる。

 

「栗に関しては授業では教えていないのに! 自主的に学習されたのですね。しかもかなりお詳しい。これならアルセール国の王族も貴族も。大使でも外交官でも。存分に社交と外交ができるでしょう。言葉の方も発音も含め、よく頑張りました」

 

 こうやって褒められた私は俄然やる気が起きてしまう。

 

 しかもパティシエや職人のみんな、宮廷医ボルチモアまで、ティータイムの(たび)に私のところへ訪れてくれるのだ! そしてさまざまな国のお菓子を食べさせてくれて、しかもその国の文化や歴史を教えてくれる。それはとてもニッチなものだが、逆にそれを知っていることで、教師は驚き、そして――。

 

「表層的な知識ではなく、何というか実体験に基づいているというか……実感がこもっているところが、とてもいいと思います。新聞や文献で知った知識というわけではなく、血が通っているところ。そこがとてもいいと思いました」

「実はすべてみんなのおかげなんです。パティシエや料理人の皆さんが、いろいろな国のスイーツや料理をティータイムで食べさせてくれて……。職人の皆さんもご自身が知っているいろいろな国の話を聞かせてくれるんです。そのおかげで生きた知識を得ることができました」

 

 そう明かすと、教師たちは……。

 

「それはとても素晴らしいことです。コルネ伯爵を助けたいと思う方々がそんなにもいること。誇っていいことです。しかも自身の手柄とせず、皆が助けてくれたと言えるところも立派ですよ。コルネ伯爵なら王太子妃教育、ちゃんと乗り越えられるでしょう」

 

 そんなふうに言われると、なんというかお墨付きをもらえた気分になる。

 

(大丈夫、ちゃんと私、王太子妃教育を修了してみせるわ!)

 

 まさに瞳には炎がゴゴゴゴゴゴゴと燃えているその日。王太子妃教育がスタートし、間もなく一か月が経とうとしていた。

お読みいただき、ありがとうございます!

栗で育った豚は実在し、美味しいそうですよ~

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