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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
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勉強も甘々に

 レグルス王太子殿下付きの侍女から一転。

 彼の婚約者へジョブチェンした私を待ち受けていたのは……。

 

「王太子妃教育を本日より受けていただくことになりました」

 

 スコット筆頭補佐官にそう言われた時、「えーっ!」だった。

 なにせ平凡を絵に描いたような私。

 勉強なんて……できるはずがない!

 

「侯爵令嬢として、また行儀見習いで王族の侍女をしていたのです。礼儀作法、マナー、ダンスは……一定の水準以上、あとは王家ならではのしきたりを覚えればいいだけ。重点的にするべきは語学。各国大使とできれば彼らの国の言葉で外交できる。それがベストです。それに付随し、諸外国の文化や慣習、歴史をより深く学んでいただくことになります」

 

 これには「えええええ!」だった。

 

 語学!


 前世では英語ができればそれ以外の言語も習得しやすいと言われていたけど……。


 アトリア王国の公用語、それはどこか英語に似ている。そして私は当然だが、この公用語が話せますが! それで例えばポリピア国の言葉を容易に覚えられるかと言うと……。

 

(え、そんなの無理よ! めちゃくちゃ大変!)

 

「ちなみに王太子妃教育を終えないと、殿下とは結婚できません」

「えっ!」

「当然ですよね? コルネ嬢はやがて王妃になるのです。王太子妃教育を通じて学ぶ知識は、防具と武器のようなもの。一癖も二癖もある各国の要人相手に、コルネ嬢は丸腰で挑むおつもりで?」

「うっ、それは……」

「それに殿下にあまり待て!をさせると可哀想ですよ。がんばりましょう、コルネ嬢!」

 

 スコット筆頭補佐官、鬼!

 まさに飴と鞭ではないですか!

 飴は勿論、レグルス王太子殿下。鞭は王太子妃教育。鞭に耐えないと、飴を貰えないなんて……。

 

 しかも私が王太子妃教育を終えない限り、婚約期間が延々と続き、レグルス王太子殿下といつまで経っても結婚できない。

 

(まさにスコット筆頭補佐官が言う、「待て」の状態が続いたら、レグルス王太子殿下は……)

 

 若くて健全な肉体の持ち主なのだ、レグルス王太子殿下は。そちらの欲求が溜まってしまうのでは!?

 

(私を待てずに頭のいい令嬢に心変わりしたらどうしよう……!)

 

 悩む私に追い打ちをかけるのは、この話!

 それは王族の皆様との夕食の席でのこと。


 レグルス王太子殿下の婚約者となった私は、王家の皆様と夕食を共にしていた。

 

「レグルス。東にあるハーン帝国、そこの皇帝はついに八十歳になった」

 

 前菜が終わり、アイスブレイクも済み、スープが提供されたタイミングで、国王陛下が政治的な話を始めた。

 

「皇帝は……いつまで自身の手で治世を続けるつもりなのでしょうか」

「よく分かっているな、レグルス。そこだ。おそらく、八十歳の祝いをすると共に、皇帝は退位を発表すると思う」

「なるほど……。ということはこれまで外交官を派遣していた皇帝の生誕祝いには……」

 

 レグルス王太子殿下が、無表情であるが、いつも以上にキリッとした顔で国王陛下を見る。

 

「わたしの名代としてレグルス、お前が生誕祝いへ向かうように」

「御意。……せっかくなので婚約者であるアンジェリカを同伴しても」

「それはならん」

「「!」」

 

 これにはレグルス王太子殿下と私が反応してしまう。

 

「アンジェリカの同伴を認められない理由が三つある。まず一つ。アンジェリカは書類上、婚約者になったが、まだ婚約式を挙げていない。アンジェリカが王太子の婚約者であるという公式発表はまだされていないのだ。次にアンジェリカは王太子妃教育がまさに始まるタイミング。独特な駆け引きもある外交術を学ぶ前に、また諸外国について知る前に外交に参加するのは認められん」

 

 国王陛下の指摘は尤もなものなので、さすがのレグルス王太子殿下も何も言えない。彼が何も言えないのだ。私が何か言えるかというと……言えるわけがなかった。

 

「それにアンジェリカはレグルス、お前の婚約者であると同時に、この国の宝だ」

 

 これには私が「へ?」となり、レグルス王太子殿下は……。その顔は喜びを抑えきれないようで、いつもの無表情ながら、頬がほんのり赤くなっている。

 

「羽根ペンにつける金属のペン先。あれは各国から問い合わせが殺到し、我が国の強力な輸出品にしようと考えた。だがアンジェリカはそうではない見解を示したのだ。金属のペン先を作る技術をライセンスにして、各国と交渉する。技術者を派遣し、その技法を伝えるが、ライセンス料は毎年払い続ける必要があるのだ。輸出品から模造品が生まれ、それが粗悪であれば、金属のペン先の評判は落ちてしまう。だが技術提供し、作られたライセンス品は質が担保され、刻印による管理で、模造品との区別もつきやすくなる」

 

《そうなのです、父上! 私も子リスからこのアイデアを聞いた時、その発想に強く感動し、彼女への尊敬と愛しい気持ちがないまぜになり、押し倒したい気持ちが昂り……。どれだけその衝動を抑えることに苦労したことか!》

 

 その時のことは私も覚えている。あの時のレグルス王太子殿下の心の声には、赤面すると同時に、求められ、褒められ、愛されていることを実感。私自身、感情が大いに揺さぶられ、理性を保つのが大変だったのだ。

 

「何より、このライセンスを交渉のカードにして、相手国との関係性を深め、強固なパートナーシップを築くこともできる。こんな発想、宰相からも大臣からも出てはこなかった。そんなことを考えられるアンジェリカは我が国の秘宝。ハーン帝国は周辺五か国を制圧して誕生した、東部最大の国だ。アンジェリカの価値に気付けば、手に入れようと画策しかねない。その観点からも、今回の同伴は許可できぬ」

「父上、それは大変賢明な判断です。わたしは……つい、私情を優先してしまいましたが、アンジェリカは我が国の至宝。ハーン帝国にはわたしがひとりで赴きます!」

 

《大切な子リス。わたしの部屋に閉じ込め、一生、わたしだけが愛でたいが……》

 

 レグルス王太子殿下の心の声は時々暴走し、ヤンデレ気質が見え隠れする。でもそれは彼の妄想で終わり、心の声が言っていたことが現実になることはない。


 そこはさすがに理性の王太子だった。とはいえ。

 

(もし実現に移されていたら、私は今頃彼の寝室に閉じ込められている……って、年頃の男子の妄想、過激すぎます……!)

 

 ということはさておき。

 レグルス王太子殿下は一か月の日程で、ハーン帝国へ向かうことになってしまった。

 

「コルネ嬢、良かったですね! 殿下のいない一か月は王太子妃教育に集中できます。まさに特訓期間です。一気に勉強を進めましょう!」

 

 スコット筆頭補佐官は大喜びしてカリキュラムを組み、私は……「スコット筆頭補佐官の鬼!」と心の中で叫んだ。

お読みいただき、ありがとうございます!

スコット筆頭補佐官、スパルタです……!

いいねでの合図に心から感謝です~

御礼のおまけの物語。

何話かお届けできたらと思います。

執筆頑張ります~!

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