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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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た、大変!

「今、披露した粉薬を飲むためのゼリー、長く書き続けられる羽根ペン、そして画期的な計算ができる算盤。これらを編み出したのは、そちらにいるアンジェリカ・リリー・コルネ嬢だ。現在は行儀見習いで、レグルスの侍女をしている。彼女は非常に優秀だ。そして彼女の発案を具現化したのが、そちらにいる宮廷医、料理人やパティシエたち、そしてこちらの職人の皆である。この国の生活と事務仕事を格段に改善するアイデアを提起した者たちを讃えるために、この舞踏会を開催することにした。皆、彼らに拍手を」


 そこで一斉に拍手となり、ダイアンたち職人のみんな、料理人やパティシエたちが、この日で一番の笑顔になった。


「羽根ペンと算盤はまさに量産体制に入ったところ。完成したら、事務方の職員には無料配布し、王家で所有する商会を通じ、広く販売も行う。皆が当たり前のようにこの画期的な羽根ペンと算盤を使う日がやってくる」


 国王陛下の言葉に、再びの拍手喝采となる。


「この功績を讃え、関わった者たちには褒章と金一封を贈ろうではないか」


 これには賛同を示す拍手が起きた。


「では今回の件を代表し、コルネ嬢。簡単でいいのでスピーチを頼む」


《父上……! そんな無茶ぶり、場慣れしていない子リスには無理だ。彼女を試すようなことをして……父上、許しません!》


(た、大変! 親子喧嘩が起きてしまうわ!)


 そこで私は慌ててひな壇に上がり「僭越ながら簡単ではありますが、スピーチをさせていただきます!」と声を上げることになった。


 ひな壇はそこまでの高さではないが、上るとホールを一望できる。手前にいるのは職人や料理人やパティシエ、王女たちや両親なので、見知った顔が多い。でもそこから後ろには貴族がいて、緊張感が高まる。


(落ち着いて。ここできちんとスピーチできないと、レグルス王太子殿下の顔に泥を塗ることになるわ)


 深呼吸をして自分に言い聞かせる。


(かっこいいことを言う必要はない。名言を生み出そうとは思わないでいいの。ただ感じたことを話すのよ)


「お集りいただいた皆様、アンジェリカ・リリー・コルネです。粉薬を飲みやすくする方法、長持ちする羽根ペン、覚えれば計算が楽になる算盤も。アイデアだけでは机上の空論で終わりました。形にできたのは、協力してくださった宮廷医、料理人、パティシエ、職人の皆様のおかげです。何より皆で協力したものを有用であると認めてくださったレグルス王太子殿下、さらにはこれを多くの人に広めることを認めてくださった国王陛下や大臣の皆様。本当にありがとうございます」


 ここまで一気に話してしまったので、一度呼吸を整える。


「侍女としてレグルス王太子殿下に仕えることで、殿下の苦労に気付くことになりました。それはとても些末なことであり、ここまで大事になるとは思っていません。もし長持ちする羽根ペンを殿下に見せたら、驚くのではないか。算盤を知ったら、殿下はぜひ使いたいとなるのではないか。そんな気持ちからスタートしました。もしも皆さんの周囲で何か困っている人がいたら、それを解決する方法を考えてみるのはいかがでしょうか。私に相談いただければ、一緒に考えます!」


 ホールがシンとなってしまい、私は汗が噴き出そうになるが……。


 次の瞬間。


 割れんばかりの拍手が起きる。


「コルネ嬢、実に明朗なスピーチだった。そなたのアイデアの源流がどこにあるかもよく理解できた。誰かを助けたいという純粋な気持ち。それこそがすべてだと思う。本当にありがとう、コルネ嬢」


 国王陛下が再度の拍手を促す。皆、それに応え、ホールには力強い拍手の音が響き渡った。


 これにはもう感無量となる。


《子リス……。君は一瞬でこのホールにいる全員を虜にしてしまった。父上でさえ、君のことを間違いなく気に入ったと思う。本当に君は自然体で誰かの幸せを願える人間なんだな。わたしは……心から尊敬できる人間に出会えた》


 既に泣きそうだったのに。聞こえてしまったレグルス王太子殿下の心の声に、涙腺が崩壊しそうになる。


 すべてはレグルス王太子殿下との出会いから始まった。彼が私に恩義を感じ、侍女として側に置いてくれたから、今がある。もし彼がその身分を誇示し、傲慢な王太子だったら、こんなふうにスピーチをして、注目されることもなかった。


(尊敬すべきはレグルス王太子殿下です!)


「さて。ここで皆に一つ報告がある。既に新聞で知った者も多いだろう。テレンス公爵の悪事の件だ」


 国王陛下はテレンス公爵の犯した罪について簡潔に触れつつ、あの火災の発端となったハンス一家について触れ、攫われて売られていたニコルが家族の元に戻ったことを明かした。


 ニコルは何とか家族の元に戻ったが、心身共に深い傷を負っている。公爵にはきっちり罪を問い、近日中に裁判を始めることを国王陛下は誓い、そして――。


「新聞ではとある女性がテレンス公爵の悪事がバレるきっかけになったと書かれていたと思う。その女性は誰であるのか。攫われそうになった公爵令嬢の身代わりとなり、火災現場からハンス一家とその隣人を避難させた勇敢な女性。彼女は今、この場にいる」

お読みいただき、ありがとうございます!

明日は朝7時頃に更新予定です。

8月最後の週、無理なく参りましょう~

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