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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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悪巧み

「カティおばあちゃん、お父様の悪事を話して下さり、ありがとうございます。そして……お父様に代わり、お詫びさせてください。本当に……ごめんなさい。大切なお孫さんであるニコルさんのことをお父様が攫ったなんて……。人身売買に手を染めていたなんて、申し訳ない気持ちでいっぱいです」


 私はテレンス公爵令嬢の身代わりでここにいる。テレンス公爵の実の娘ではない。それでも同じ貴族として、悪事を働くテレンス公爵に不甲斐なさを感じたし、自然と謝罪の言葉が出ていた。


「……ルイーザさんは何も知らなかったのよ。悪いのは……あなたのお父さん。ニコルは既に誰かに買われ、怖い思いをしたことでしょう。そして今はそこの屋敷の使用人として働いていると思うわ。大変な目に遭ったのに、逃げださないなんて不思議よね?」

「それは……はい、確かにそうです」


(私のように納得しているから逃げない……そんなわけはないと思うわ)


「そこで考えたの。もし、ニコルの立場だったら、私はどうするかって。家には帰れないわよね。これまでどこで何をしていたのかとなったら、辛い出来事についても話さなければならない。話したくない、忘れたい、知られたくない――いろんな気持ちがニコルがここへ帰ることを止めていると思うの。だから私たちで助け出さないといけないと思ったのよ」

「つまりわたくしを攫い、返して欲しければ、ニコルさんと交換――ということですか?」


 カティおばあちゃんはコクリと頷く。


(この方法で本当に上手くいくのかしら……?)


 仮に本当にテレンス公爵令嬢が攫われていた場合、公爵は娘を助けようとするか。


(助けようとすると思うわ。レグルス王太子殿下の婚約者候補になっているのだから)


 問題は助け出した後だ。


(自分の悪事を知る平民たちを放っておくかしら……?)


 その時だった。


「ばあちゃん、大変だ! 火事が起きた!」

「!? なんでまた! まさか台所で何かあったのかい!?」

「違う。なぜか家畜小屋で火の手が上がった」


(家畜小屋で火の手が上がるなんて……普通はあり得ない。これは放火では!?)


「消火活動は?」

「父さんと隣のマークとジョンさんも来てくれて、井戸水を使い、試みたけど……。火の手があちこちに広がっている。風もあるから、火の粉がどんどん広がってしまい、牧草も燃え始めて……。避難した方がいいとなった」

「そうなのね。もう手遅れだわ。馬は放してあげないと。それは私がやるから、トーマス、お前はルイーザさんを助けてあげて。早く梯子を」


 カティおばあちゃんが顔をあげ、つられたトーマスもこちらを見た。


「……分かった」


 トーマスが壁にかかった梯子を動かすのを見ながら、伝えることになる。


「火事は……放火の可能性が高いと思います」

「え、放火……?」

「家畜小屋に火気なんてないですよね? おそらく……お父様は……自身の悪事を知ってしまったあなた方を、火事で一掃することを考えたのだと思います」

「そんな……! 君が……娘もいるのに!?」


 それについては残念ながら、私は公爵の本物の娘ではない。もしテレンス公爵令嬢が攫われていたら、先に人質交換が行われ、その後に火事が起きただろう……。でも娘は無事なのだ。レグルス王太子殿下の侍女であろうと、この際、公爵からしたら関係ない。火事という不慮の事故に巻き込まれた――これで話は終わる。


(むしろ、私がなぜ平民の家にいたのか。公爵が変な憶測を噂として流すかもしれないわ)


 王太子付きの侍女でありながら、夜、平民の家にいて火災に巻き込まれた。それはその平民……例えばトーマスと私が恋仲だったから……なんて言いたい放題をするかもしれない。


「……少女を斡旋するような、人身売買に関わっていたことを知る人間を、生かしておくわけがありません。いざとなれば娘も切り捨てるでしょう。つまり避難しても注意してください。逃げてくるあなた方を待ち伏せしている人間がいるかもしれないのです」


 トーマスは「な……どうすればいいんだ!?」と言いながらも、私がいる場所へ梯子を移動させてくれた。


「カティおばあちゃんとトーマスさんは、馬で逃げてください。そして助けを呼ぶんです。馬で逃げることは想定していないでしょうから、お父様の手の人間も慌てふためくと思います」

「それは……名案だ。ばあちゃん、馬に鞍をつけて! 逃がすのは待って」

「ええ、何だい!?」


 そうしている間に私は梯子から階下に降りた。


「馬は同じ方角ではなく、別々の方角へ走らせてください。お父様の追っ手を分散させるのです」

「分かった」

「隣人であるマークさんジョンさんにも馬で逃げるよう、伝えてください」

「そうする」


 トーマスが厩舎を飛び出し、私はカティおばあちゃんと一緒に、鞍をつけた馬を連れ出す。


「まあ、なんてことだい!」


 カティおばあちゃんが絶句している。


 家畜小屋はとっくに燃え落ち、納屋や母屋も燃え始めていた。さらに家畜小屋の背後に広がる牧草地にも火の手はあがり、まるで火の海にいるような状況だった。


「もう無理だ、早く逃げよう!」


 トーマスの両親、おじいさん、そしてトーマスの弟もこちらへと駆けて来た。


「さあ、早くみんな、馬に乗って!」

「お義母さんこそ先にどうぞ!」


 次々と皆が馬に乗り、そして――。


「そうか。馬は六頭しかいない。君は、弟のエリックと一緒に」


 トーマスがそう言うが、私は首をふる。


「いえ。二人乗りをしては速度が落ちます。それにお父様の手の者から逃げる時、機動性が重要になるんです。よって私のことは気にせず、皆さんはお逃げください」

お読みいただき、ありがとうございます!

次話は19時頃に公開しますね~

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