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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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子リス?

 レグルス王太子殿下から呼び出された。

 第二王女殿下付きの侍女が王太子から呼び出されるなんて、通常はあり得ないことだった。


(これはホワイティア先生が言っていた事態が、私の身に起きている……ということなの!?)


 つまり、『自身が認めた人間には礼を尽くす。お前さんの行動に助けられたと思ったら、御礼を言うため、呼び出すじゃろう。そういう義理堅いところがあるんじゃよ』ということ!


 従者の先導でレグルス王太子殿下の私室へ向かいながら、改めて考える。


(本当に彼が私に御礼を伝えるため、呼び出したのかしら?)


 正直なところ。噂とは関係なく、レグルス王太子殿下が私に御礼を言いたくなる理由がないのだ。本当に私は一人で空回りして、一切の役に立っていない。むしろ私が御礼を伝えるべきなのだ。


 そこでハッとする。


(そうだったわ! 私はレグルス王太子殿下に助けられたのよ。その御礼をまだ伝えていないじゃない!)


 なぜならレグルス王太子殿下が、まさに私を殺そうとした暗殺者を倒した直後、血相を変えた警備兵と護衛騎士が駆けつけたのだ。すぐにレグルス王太子殿下はその場から避難となり、腰が抜けていた私は駆け寄って御礼を伝えることもできていなかった。


(つまりこれは逆なんだわ。御礼を言うのは私! 本来私から『御礼を言う場を作っていただけないでしょうか』とお願いするところを、自ら呼び出してくれた。これはある意味、レグルス王太子殿下の親切心なのだと思うわ!)


 この国の王太子と話そうと思ったら、約束を取り付けるのは必須。でも多忙な身なので、そう簡単に約束は取り付けられないだろう。何より私は行儀見習いの侍女なのだ。そんな相手に王太子が割く時間なんて、そうあるわけがない。


 腹落ちした私はスッキリした気分でレグルス王太子殿下の部屋に向かうことになる。


「こちらです」


 遠かった。


 宮殿に与えられている侍女の私室は基本、屋根裏部屋なのだ。そこから王宮にあるレグルス王太子殿下の私室は……本当に遠い。こんなふうに歩き回るから、宮殿で働く侍女は……侍女だけではなく使用人全般がスリムだった。


 それはともかく、従者に「こちらです」と言われ、入ったのは前室だった。ここのソファで座り待機かと思ったら、さらに「こちらです」と言われ、これには「!?」と驚くことになる。


 だって「こちらです」の「こちら」はどう考えても寝室なのだ。


(え、レグルス王太子殿下の寝室に……入るの……!?)


 寝室は一番プライベートな部屋であり、直接仕えている使用人や補佐官などしか入らない場所である。そこに第二王女殿下付きの侍女が入るなんて……本当にあり得ないことだった。


「ほら、どうぞ。殿下がお待ちですから」


 そう言って、後からやって来たオリーブブラウンの長髪を後ろで一本に束ね、眼鏡をかけた長身の男性がノックをして「スコットです」と言うと、扉を開けてしまう。


(アンティークグリーンのセットアップを着た、スコットという名のこの令息は……確かレグルス王太子殿下に付いている筆頭補佐官だわ)


「殿下、例の侍女が来ましたよ。えーと、第二王女殿下付きの……名前はアンジェリカ・リリー・コルネ。コルネ侯爵家の三女の方です」


 スコット筆頭補佐官の後を追うように寝室へ入り、その広さに驚く。


 第二王女殿下の寝室も広々としていたが、ここはその二倍もある。

 それもそのはず。

 通常、寝室にはベッド、あってもソファセットぐらいだ。だがここにはソファセットに加え、ダイニングテーブルセットもある。つまりいざとなればここで朝食もとれるということ。


 飾られている絵画もシャンデリアも各種調度品も。

 第二王女殿下よりさらにグレードアップしている。


「キャラメルブロンドに琥珀色の瞳。肌艶はよく、見るからに健康的だ。……なんだか子リスのようだな。コルネ侯爵家と言えば、絶世の美女の姉妹がいると、一時期社交界で噂になったが……。姉はロンド公爵の嫡男と、妹の方はテッサリア辺境伯の嫡男とそれぞれ婚約したはず。だがもう一人、娘がいたのか。社交界ではまったく話題になっていなかったな」


 ベッドで上半身を起こしている、白の寝間着姿のレグルス王太子殿下を、私は瞳を大きく見開いて見てしまう。


 アイスシルバーのサラサラの髪に、星空を思わせる紺碧色の瞳。スラリとした長身であるが、優男ではない。ソードマスター級の腕前を持つ剣術使いでもある。ゆえにその体躯は無駄がなく、見事に引き締まっていた。


 さらに頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群だが、自分にも他人にも厳しく、ニコリと笑うことが皆無と言われていた。そのせいで感情のない完全無欠の王太子、氷のような王太子と言われている。


 そんなレグルス・ウィル・アトリア王太子殿下は現在十八歳で、礼儀正しいはずなのだけど……。


(私のこと、子リスと言ったわ……!)


 食い入るように美貌のレグルス王太子殿下を見ていると、彼はゆっくりと口を開く。


「コルネ嬢、夕方の忙しい時間に呼び立ててしまい、申し訳ないです。コーデリアには私が呼びつけたと伝えているので安心して欲しい。……立ち話もなんです。そちらの椅子にお座りください」


 さっきの言葉などなかったのかのように、レグルス王太子殿下は落ち着いた様子で私に椅子に座るように勧めた。

お読みいただき、ありがとうございます!

次話は『責任!?』を公開です!

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