表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/194

死を自覚

 死を自覚し、もう目を閉じるしかなかった。

 これから首を切られ、自分の鮮血を浴び、死ぬのかと思うと、既に意識が飛びそうになっている。


 目を閉じ、その時を待つが……。


 傷みを感じない。


(切れ味がいいと言っていた。それはあまりにも鋭く、私は……痛みすら感じずに死んでしまったのかしら……)


 震えながら目を開けると、私を殺すと宣言した暗殺者と目が合う。


 その暗殺者の目は充血し、そして……。


「ぶはっ」


 口から血を吹き出し、そのままうつ伏せで倒れたのだ。さらにその背中には深々と刺さった矢が見えている。


 これには驚き、悲鳴を上げることになった。


 ◇


 もう私は死を覚悟した。

 だが死ぬことなく、生きている。


 生きて今、侍女長に呼ばれていた。


 書斎机を挟み、椅子に座っているのは、ブルネットの髪をお団子にして、三角フレームのメガネをかけた侍女長だ。


「侍従長から話を聞きました。第二王女殿下の頼みで倉庫へ紙を取りに行き、そこでレグルス王太子殿下の暗殺現場に居合わせたのですね。暗殺者の気を逸らすため、手に持っていた約五百枚の紙を、渡り廊下から階下に投げ落とした。紙は散乱し、使い物にならなくなった……」


 彼女は今、盛大にため息をついている。


「レグルス王太子殿下は結局、お一人で五人の暗殺者を倒されました。しかも倒した暗殺者から奪った弓を使い、アンジェリカ・リリー・コルネ、あなたのことも助けたのですよ? あなたに襲い掛かろうとした暗殺者を、レグルス王太子殿下は矢で仕留めてくださったのです。正直、あなたが紙を無駄にしなくても、レグルス王太子殿下はお一人で問題なかったでしょう」


 ヒヤシンス色のドレス姿の侍女長は、私がただ紙を無駄にしたかったと言いたいようだ。


 でも確かに、私は……あの暗殺未遂の場で役に立ったかというと……。


 既に倒されている警備兵に助けを求めようとして、殺されかけただけだった。何もせず、とにかく逃げ、裏庭ではない別の場所にいる警備兵を呼びに行った方が、紙も無駄にしなかったと思う。


「リーヴィエル侍女長、申し訳ありませんでした。無駄にした紙代は……」

「当然、給金から引かせていただきます」

「はい……」

「怪我といっても、膝を擦りむいた程度なのでしょう? 医務室で治療をしてもらったら、着替えをして、仕事へ戻りなさい」

「分かりました」


 私は侍女長室を出て医務室へ向かう。


 医務室にいるのは、祖父と呼びたくなる白髪に白髭で白衣を着た、その名もホワイティア先生だ。


「これは名誉の負傷じゃな」


 ホワイティア先生はそう言いながら、私の膝に出来た傷を消毒し、軟膏を塗って包帯を巻きつけてくれる。


「ホワイティア先生……でもレグルス王太子殿下は、私が何かしなくても、お一人で暗殺者を倒せたとリーヴィエル侍女長はおっしゃっていました」

「ふん。リーヴィエル侍女長は、レグルス王太子殿下を完全無欠と考えておるからな。凄腕の暗殺者といえど、一人で余裕で五人を倒せたと考えているようじゃが……」


 そこでホワイティア先生は私に耳を近づけ、コソコソ話で教えてくれる。


「レグルス王太子殿下は確かに頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群で、剣術の腕はソードマスターと変わらないと言われている。あの時、彼を守るための護衛騎士は五人いたが、全滅、周辺にいた警備兵も全員殲滅させられていた。そんな凄腕の暗殺者五人を確かに倒し切ったが、殿下も無傷では済んでいない。殿下が倒し切れたのは、お前さんが紙をばらまき、敵を混乱させたからじゃ」

「先生は私が役に立った……と考えてくださるのですか!?」

「ああ、当然じゃ。お前さんの助けがなかったら、レグルス王太子殿下は暗殺者を全滅させることができても、自身も大怪我を負っていたかもしれん。お前さんが役立ったと思っているなら、殿下から声がかかるじゃろう」


「殿下から声がかかる……?」と私は首を傾げることになる。


「そうじゃ。レグルス王太子殿下は、自分にも他人にも厳しく、笑顔を見せることがない。ゆえに感情のない完全無欠の王太子。氷のような王太子と評されているが……。自身が認めた人間には礼を尽くす。お前さんの行動に助けられたと思ったら、御礼を言うため、呼び出すじゃろう。そういう義理堅いところがあるんじゃよ」

「え、そうなのですか!? レグルス王太子殿下は使用人にも厳しく、彼に付く使用人はを上げてすぐに辞めてしまうことが多いと聞いていますが……」

「それは手抜きの仕事をしようとしている使用人の逆恨みじゃ。彼の名を貶めるため、そんな噂を流すんじゃよ。本当に有能な使用人は、辞めずに残り続けている」


 これには「そうなのですね……」と驚くしかないが、確かにホワイティア先生が言うことには一理ある。社交界の噂はにわかに信じてはいけないように。使用人の噂も鵜呑みにはできない……と思うものの。


 ホワイティア先生が嘘を言っているわけではない。


 ただ、今回、私は本当に空回りをしただけだった。静かにあの場を立ち去り、裏庭以外にいる警備兵を呼びに行けばよかったのだ。それなのに無駄に紙を散乱させ、膝に傷を作った……。まさに「とほほ」な状況。


 つまりレグルス王太子殿下からお呼びがかかり、御礼を言われるなどあるわけがない。


 そう思っていたが。


 自室へ戻り、クリーム色のドレスに着替えを終え、そろそろ第二王女殿下の夕食のための着替えの手伝いに向かおうと思っていたら……。


「コルネ嬢、レグルス王太子殿下がお呼びです」


 レグルス王太子殿下付きの従者が私を訪ね、衝撃の情報をもたらした。

お読みいただき、ありがとうございます!

初日増量更新で、もう1話、22時頃に公開します~

ご自身のご都合にあわせてご無理なくお楽しみくださいませ☆彡

ブックマークしてお待ちいただけたら嬉しいです!


【併読されている読者様へ】

完結のお知らせ:一気読みできます!

異世界転生恋愛ランキング1位

『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

https://book1.adouzi.eu.org/n3124kp/

└壮大なざまぁが完成しました!

ページ下部の目次ページへ遷移するバナーからどうぞ☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ