表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/194

がっつりと

 レグルス王太子殿下が《手放せない》なんて心の声で言い出すので、かなりドキドキすることになったけれど。


 昨日と同じでレグルス王太子殿下とスコット筆頭補佐官は、算盤に関する会議に追われる。会議の後は、その間ストップしていた書類仕事を片付けることになり、二人とも必死! レグルス王太子殿下は心の声で愚痴る暇もない。


 しかも昼食は大臣とのランチミーティング。どうやらレグルス王太子殿下は、あまり食事を取ることができていなかったようだ。


 ティータイムが近づくと、こんな心の声が聞こえてきた。


《今日は……特に疲れたな。昼食の最中、財務大臣が算盤について大興奮で聞いてくるから、その説明に追われ、ろくに食べられなかった。……熱心な彼は好ましいし、悪いことではないが》


 続けて聞こえたのはこの一言。


《……今日はいつものアーモンドやクラッカーではなく、がっつりと甘いものを食べたい》


 レグルス王太子殿下は、その見た目のイメージ、つまりはポーカーフェイスから想像されるのは、クールで氷のような王太子だ。その彼が甘いものを好む……とは思われていないのだろう。


 ティータイムで彼のために用意されるのは、ナッツ類、クラッカー、ドライフルーツなど、甘くないものばかりだった。だが今の心の声を聞くに、甘いものをがっつり食べたい、と。


(普段、甘いものを食べない人が、疲れていたり、お腹が空いている時に、急に甘いものを食べたくなるのかしら?)


 前世知識で考えると、空腹や疲労で血糖値が低下すると、脳がブドウ糖を必要とする。よって甘いものが欲しくなると十分に考えられた。


(でも普段から甘いものを食べないなら、疲れたから甘いものの発想にはならないはずよ。甘いものに興味がないから、脳が糖分を欲しても、別のもの……たとえば甘くないパンで満たすと思うわ)


 結論としてレグルス王太子殿下は甘いものが苦手なわけでも嫌いなわけでもない。むしろ好き。でもそのイメージから甘いものを食べないと思われ、本人もそれを否定しなかった。


(結果的にティータイムで甘いものを出されることがなくなってしまった……のではないかしら?)


 でもさっきから聞こえる心の声では、甘いものを食べたがっている。


「殿下、そろそろティータイムが近いので、お茶の用意をしてきます」

「分かりました。よろしくお願いします」


《甘いものを食べたいと言わないと、さすがのコルネ嬢でも気がつかないだろう……。仕方ない。甘いものは我慢だ》


(健気だわ……。王太子なのだから、そこは堂々と「甘いものを用意するように」と命じてしまえばいいのに。自身のイメージを大切にしているのかしら?)


 そんなことを思いながら執務室を出て、どんなスイーツを用意してもらうか考える。


 クッキーなどの焼き菓子は、あらかじめ用意されているだろう。もっと別の彼を喜ばせる甘いものは……。


 考えているうちに厨房に着くと、料理人たちがざわざわしている。


 この時間、ティータイムの準備で侍女やメイド、パティシエがバタバタしていることが多い。なぜこの時間に料理人の皆さんがと思ったら!


「おや、コルネ嬢! 丁度よかったです!」


 顔見知りの料理人が声をかけてくれる。


「どうしましたか? 何かあったのですか?」

「実はついに成功したんですよ!」

「?」

「先日王宮の温室で育てたバナナが収穫できて、ついに黄色くなり、食べ頃になったんです!」


 ここで「ああ、バナナ?」と思ってはならない。

 この世界でバナナは大変貴重。

 温室でパイナップルや柑橘類を栽培出来ても、バナナは難易度が高く、なかなか育たない。聞くと十年間試し、今回初めて収穫出来たという。


「そのバナナはティータイムに殿下に出しても?」

「ええ。そのつもりで用意があります!」


 そこでバナナを使ったスイーツを思いつく。


「そのままバナナを出すのもいいのですが、いくつかアレンジしてスイーツとしてぜひ提供したいのですが」

「! 今からバナナでスイーツを作るのですか!?」


 料理人がビックリしているが、私が作ろうとしているのは、手の込んだものではない。


「はい! 今から作ろうかと!」

「分かりました。必要な材料を教えてください。殿下のためなら手伝います」


 料理人だけではなく、パティシエも協力を申し出てくれる。


 こうして私はレグルス王太子殿下の心の声に応えるべく、彼がこれまで食べたことがないであろうスイーツを用意することにした。

お読みいただき、ありがとうございます!

次話は明日の10時頃公開予定です!

ブックマークや評価がとっても励みになっています。

ぜひお力添え、よろしくお願いいたします~☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ