表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/194

未練

 未練があり、こうやって私の夢にジークは現れた。


(きっと思い残したことをやり切らないと、天国にも地獄にも行けないのかもしれない)


 そう思った私はジークの未練を昇華させる手伝いをしようと心に誓う。


(これは夢であり、今、目の前にいるジークはゴーストであり、本物ではない。そうだとしても……何かしないと気持ちが収まらない)


「……ジーク、よく分かりました。あなたは……本当によく頑張ったと思います。大勢が救われたのは、ジークのおかげです。ジークが連行されていなかったら、カタコンベに足を踏み入れようなんて……誰も思わなかったでしょう。なにせ地下の迷宮で地図もないのだから……。でも今回みんながジークを助けようとして、カタコンベへ向かったのです……。……。……」


 言葉が出なかった。

 カタコンベへみんなが向かい、そこで帰らぬ人となったジークと対面することになったのだ。


「リエットに褒められるなんて……なんだか落ち着かないな。これ、何かの罠……なんてことは……」

「罠ではありません。本当に心からジークの労をねぎらっています」

「そ、そうか」

「何を望みますか?」

「?」

「ジークはこれだけのことをしたのです。どんな願いでも叶えます。ミラーの長官になりたい? それともこの国の王になりたい? なんでも私が叶えます」


 私の発言を聞いたジークは目をキョトンとさせ、ビックリしている。


(こんなジークの表情が見られるなんて……。自分の夢ながら素晴らしいと思うわ)


 ジークは私を自身の腕の中に抱き寄せたまま、キラキラとした笑顔になる。


「別に長官にも国王にもなれなくてもいい。もしもリエットが願いを叶えてくれると言うのなら……これ一択だろう」

「何ですか? 舶来品のスイーツでも異国の食べ物でも。どんなものでも取り揃えますよ」


 何せ私の夢の中なのだ。思うがまま。自由自在だ。


「リエットは、魔法の力でも手に入れたか!?」

「そうなのかもしれません」

「なるほど。……でも魔法の力なんていらないさ。僕の願いは単純だから」

「……せっかくなので、大きな夢を語っていいですよ。すべて私が叶えます」


 これを聞いたジークは「そりゃすごい」と笑った後、急に真面目な表情になる。


「僕の願いはただ一つだ」

「……謙虚ですね」

「うーん、そう言われるとな。でも……うん。今、こうやって考えても、やっぱりこれだけだ」

「いいですよ。後から増えても。対応できると思うので」

「……リエット、その言葉に二言はないのか?」

「ありません。ジークにはちゃんと昇天して欲しいですから」

「えっ……」


 ジークは何だか急に顔を赤くして「いや、それは嬉しいけど……」「ダメだ、ダメ!」と一人でブツブツ言っている。


(……未練たらたらね。願いを叶えたぐらいで、あの世に行けるのかしら……)


 そこで「こほん」と咳払いをしたジークは神妙な面持ちで告げる。


「昇天できるのは嬉しいが、今ではないと思う。それは……もう少し後の話だ」


 それを聞いた私は困ってしまう。


(まだまだ旅立つ準備ができていない、ということ?)


 そう思ってしまったが、すぐに思い直す。


(でも……それは……仕方ないのかもしれない。あまりにも急逝だった。それに「もう少し後」と言っているのだから、いつかは旅立つということ。しばらくは夢に現れるジークの相手をしてあげよう)


 以前の私だったら、到底許容できないことも、今は違う。ジークへの手向けの気持ちで、全てを許す境地になっていた。


「それでジーク、願いは?」


 問われたジークは頬をポッと赤くする。


(そうやって無言で顔を赤くしていたら、可愛いと思えるのに……)


 一度視線を伏せたジークだが、意を決したようで顔を上げる。


「願いは一つだよ、リエット。僕はリエットのことが好きだ。だからリエットのことが欲しい」


 真摯な表情で告げるジークを見て、私は驚愕することになる。


(私は……私は……なんてことを……! これでは死者への冒涜だわ! いくら何でも殉死したジークにこんな願い事を言わせるなんて……)


 私が「わかった」と答えれば、この夢は叶う。


(こんなチープ過ぎる願いをジークに強要してしまうなんて! いくら私の夢でもヒドイわ!)


 申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


(ダメね。この夢は。ジークが可哀想すぎる)


 そこで私は素直に打ち明ける。


「ジーク、ごめんなさい。この夢は……最低のクオリティだわ。この夢からは目覚めるようにするから、次の夢に現れて。その時は自由に発言していいわ。私の夢だから、私の影響を受けやすいのかもしれない。でも本当の願いを口にしていいから」


 私の言葉を聞いたジークは「えっ……」と絶句し、そして「リエット」と彼は私の名を呼ぶ。


「ここは夢ではなく現実だし、たとえリエットの夢に僕が登場する機会があっても……。間違いなく、同じことを言うと思う。僕が心から欲しいと願うのは、リエットだけだ」


 そう告げるジークを見て、気づいてしまう。


(……待って。グリーンティーを勧められた夢でジークは、バターブロンドの髪をしていた。でも闇カジノ摘発のため、髪をダークブラウンに染めていたはず。そして目の前のジークの髪は……ダークブラウン……)


 もうその瞬間に走った衝撃は、言葉に出来ない。


「リエット、約束したよな、さっき? 女に二言はないのだろう? 僕の夢を叶えてくれる。ならばもう、これでいい。婚約なんてまどろっこしいことはいらない。もう結婚式でいいだろう。結婚しよう、リエット!」


お読みいただき、ありがとうございます!

わーヾ(≧▽≦)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ