表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/194

確保!

 カジノが行われているフロアに戻ると、私は派手に受け取ったワインを床にぶちまける。


 何事かと皆が私に注目した瞬間。


 一斉に諜報部のメンバーが動き、外で待機していた王都警備隊も闇カジノに踏み込む。


 そうなると客、諜報員、警備隊の隊員、用心棒、カジノのスタッフが入り乱れての、大乱闘状態になる。


 逃げようとする貴族やカジノのスタッフたちを押さえ、用心棒との戦闘を行う。それは延々と続き、果てが見えないと思ったが……。


『あのシルクハットを被った男、あれが支配人です!』


 私の声に、支配人のそばにいた諜報員たちが一斉に動く。


『くそっ、離せ!』

『確保! 支配人を確保!』


 諜報員の怒号が飛び交う中、そばにいるスーツ姿のロイドに尋ねる。


『ひとまず作戦は完了ですか?』

『はい! 上客リストは見つけられましたか?』

『ええ、見つけられました』

『やりましたね! 新人とは思えない大活躍ぶりですよ。……ところでオルリック嬢、ジーク副長官は?』

『……イカサマなんてしていなのに、イカサマを疑われ、なぜかジークもイカサマの証拠になるようなものを持っていたようで……さらに地下へ連れて行かれたと思います』

『ええっ、そうなんですか!? 実はこのカジノの地下は、カタコンベとつながっていることが判明しました』

『……つまり地下迷宮だと?』

『はい』


 カタコンベは地下に広がる共同墓地で、何百年も昔から存在している。長きに渡る利用で、縦へ横へと掘り進められた結果。もはやその規模がどれほどのものなのか。正確に把握出来ていない。通路は多方向に分岐しており、視界も狭く、薄暗く、迷いやすい。まさに地下迷宮なのだ。


『目隠しされ、放置されただけで死につながりかねません!』


 ロイドの言葉にグッと奥歯を噛み締めることになる。


(あの時、ジークがどこに連行されるのか。後をつけていたら……。ちゃんと見届けていたら……)


 だがそうしていたら、摘発のための突入の合図を送ることは出来なかった。


『ジーク副長官のこと、心配ですが、その前に。上客リストの場所は?』


 ロイドに問われ、私はフロントにあった紙に簡易ではあるが地図を書き、それを渡すと……。


『金庫とリストはロイドさんに任せます』

『えっ! その二つが肝なんですよ。オルリック嬢も立ち会い、発見者になれば手柄は』

『手柄なんていらないです。私は……ジークを探します』

『え、まさかカタコンベに向かうんですか!?』


 背後にロイドが何か言っている声を聞きながら、私はすでに走り出している。


(ジークは焼いても煮ても食えないような男。大丈夫よ。問題ない)


『あっ、オルリック嬢!』

『オルリック嬢、ジーク副長官は?』


 何人もの諜報員とすれ違いながら、私はジークがカタコンベに連れて行かれた可能性を伝えながら走り抜けて行く。


 そして遂に支配人室のある地下に到達し、最後にジークが連行された方へと至ることができた。


(やっぱりさらに地下につながっている……)


 そこがカタコンベなら、考えなしでは向かえない。


『あれは……』


 地下に向かう階段の手前に物置きのようなものがある。中を確認すると……。


『ロープに、ランプにロウソクにマッチ。カタコンベに向かうための必需品では?』


 地下に降りて行くのに必要な物がちゃんと用意されていた。つまり日常的に地下へ降りているのだろう。


 手早くランプにロウソクをセットしてマッチで火をつけると、ロープを肩に担ぐ。そのまま階段を降りて行くと……。


(カビ臭い。それに何というか、外の寒さとは違う、まとわりつくような冷たさがある)


 そこで絨毯の敷かれた階段から、剥き出しの岩肌のような地面に到達、カツーンと靴音が響き……。


 女性の悲鳴のような声が聞こえ、凍りつく。


(ち、違う。奥の方からこっちに向かってきている人間がいる!)


 その話し声が岩肌に反響し、不気味な悲鳴のように聞こえただけだった。


(というか出会い頭の遭遇になるわ! 隠れてやり過ごさないと!)


 そこで人一人が隠れることが出来そうな隙間を見つけ、身を寄せ、一度ランプを消すことになったが……。


 叫びそうだった。


 何とか呑み込んだが、目の前に薄汚れた頭蓋骨が……無数に見えたのだ。


(カタコンベは地下の共同墓地。遺骨があって当然よ。落ち着くの、私!)


 込み上げる感情に目をつむり、ランプを消す。

 グッと堪えていると声が聞こえてくる。


『ったく何なんだ、あの男爵は!』

『酔っ払っているし、戦闘力なんてゼロだろうに。フラフラしながらこっちの攻撃を全て避けたぞ』

『何だか掴みどころのない気味の悪い男だった』


 これはジークを連行した用心棒の二人に違いない。


(こんな状況ではあるが、掴みどころのない男、これには同意できる。気味が悪いというには、ジークはハンサム過ぎると思うけど)


 そんなことを考えていると、さらに男たちの声が近づく。


『まったく。奴が来なかったから、牢屋にぶち込めなかった』

『……だが、大丈夫だろうか?』

『奴に殴られ、吹き飛ばされて、派手に頭蓋骨の並ぶ壁に激突していただろう? あの後、意識を失ったままだ』


 これには心臓がギクリと反応している。


(ジークが殴られ、吹き飛ばされた?)


 にわかには信じられない。本当に酔っていたならわからなくもないが、ジークは酔ったふりをしていただけだ。


(用心棒が語る男は、よほど強い……?)


『まあ、奴は力の加減がきかないからな。まさにミノタウロスみたいな男だ。尋問するために捕らえた諜報員たちも、奴が誤ってやっちまったことは、一度や二度じゃないからな……』


お読みいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ