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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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全てが兄を中心に

 私の兄はとても優秀だった。


 生まれた時から「神童」と言われ、歩き始めたのも、言葉をしゃべり出したのもとても早く、乳母を驚かせた。


 成長も早く、同い年の子どもより身長も体重もあり、健康優良児。対して私は年子で誕生したが、やや未熟児に近かった。そのせいもあり、何もかもが兄から遅れをとっているような状態。


 しかも私は女だった。


 両親の関心は跡継ぎである兄に一心に集まり、私はおまけのような扱い。しかも年子であり、誕生日が近いことから、バースデーパーティーが兄と一緒に行われてしまう。つまり兄の誕生日にパーティーが行われ、そこで「妹のマリエットも四日後が誕生日です。ぜひ妹のことも祝ってやってください」となるのだ。


 本当に幼い頃は、私は兄と一緒に誕生日を祝われることに疑問を持たなかった。だがお呼ばれされたバースデーパーティーでは、兄弟や姉妹が一緒に祝われていることはない。そして後々気付くのだ。この国、というかこの大陸では、家門を重視する傍らで、個人を尊重する文化でもあった。誕生日に家を継ぐ、誕生日にあわせ舞踏会や晩餐会を開催し、結婚相手を探す――そんな感じで誕生日はきわめて重要な扱いをされることが多かったのだ。


 ところが兄に関心が集まる我が家では、私の存在は軽く扱われ、全てが兄を中心に回っていた。


 私は次第にそのことに苛立ち、「もっと私を見て欲しい!」と思う気持ちが強くなる。どうやったら両親は、特に父親は私を気にかけてくれるのか。


 最初は兄に負けじと勉強や運動を頑張った。


 だが兄には及ばない。


 ではと刺繍やダンスなどを頑張ったが……。


 刺繍は「これは何?」と母親がぽかんとした表情になるほど、下手くそ。

 ダンスはリズムに乗ることができず、練習相手の令息から「オルリック嬢は僕の足ばかり踏むから、踊りたくない!」と言われる始末。


 ようは私は兄のように優秀ではなかった。年子で先に誕生していた兄にいいところは全部持って行かれ、残り物で誕生したのが私だった……そんな気持ちを抱え、成長することになったが。


 ある時、事件が起きる。


 八歳になろうとしていた私と九歳の兄は、家庭教師から勉強を教わりつつ、休憩時間では遊び相手になってもらっていた。昼食後は長めの休憩時間がもうけられており、そこでシャボン玉遊びをすることになった。


 シャボン玉遊び。


 小さくなった石鹸をチーズおろし器やナイフで削り、水に溶かし、シャボン玉液を作る。そのシャボン玉液にガラス管をつけ、シャボン玉を作るのだ。


「僕、お父様にナイフをプレゼントしてもらったんだ」


 兄は器用にナイフで石鹸を削り、家庭教師は「お上手ですね、坊ちゃま!」と絶賛している。なんでもできる兄は、すべてをそつなくこなす。


(でもあんなふうに削るぐらいなら、私でもできるのでは……?)


 チーズおろし器をあてがわれていた私だったが、兄と家庭教師が目を離した隙に、ナイフを手にとり、石鹸を削ろうとしたところ……。


「痛いっ!」

「お嬢様!?]


 私は手を切り、血まみれになる。


 勝手な行動をした私は悪いと思う。だが兄は「僕のナイフを許可なく使ったマリエットが悪い。リーシア先生は何も悪くない!」と、大好きなリーシア先生を庇う。


 兄のお気に入りの若いリーシア先生も「マリエットお嬢様は注意力が散漫で、身勝手な行動が多く、実はずっと困っていました。その上で、坊ちゃまと比べると、何もかもが不器用で……。失礼ですが、お嬢様は食事の最中でもよくスプーンやフォークを落としていらっしゃいますよね? 手の力が弱いというか……」と言い出す。


 私が勝手にナイフに触れられないようにする……それぐらいその場にいる大人として、するべきだったと思う。そうはせずに出来上がったシャボン玉液で、リーシア先生は私のことをそっちのけで、兄と遊んでいたのだ。それなのに自身は非がなく、完全に私だけが悪い、怪我をした責任は自分にないと言うのは……。子ども心ながら「ずるい」と思ってしまう。


 だが、この事件で私は知ることになる。


「マリエット! なんて勝手にお兄ちゃんのナイフを使ったんだ! リーシア先生にもご迷惑をかけて! 謝りなさい!」


 いつも私には無関心の父親。その父親が私の名前を呼び、真剣に向き合ってくれた。


(なるほど。私が悪いことをすると、お父様は私を見てくれるのだわ!)


 ここから私は父親の注目を集めたいと一心に願い、悪戯ばかりするようになる。


 最初はあちこち怪我をしていたが、私自身が怪我をしても「またか」と飽きられ、相手にされなくなってしまった。そこで知り合いの令嬢を突き飛ばし、池に落とすと……。


「マリエット! なんてことをしているんだ!」


 父親に三時間も叱られた。


 三時間。


 父親が私だけのために三時間も使ってくれた!


 この成功体験をもとに、私は自分に逆らえない立場のメイドや侍女に手をあげたり、お茶会に招待してくれる令嬢に悪戯をするようになったのだ。


 その結果、父親だけではなく、母親まで加わり、なんとか私の更生を試みるようになる。


 一人で何でもできる兄は放置され、問題児の私に両親はつききっり。


「なんだよ、お父様もお母様も、無能なマリエットばかり相手にして! あんな奴、放っておけばいいのに!」


 兄が悔しそうにするのを「しめしめ」と見ていたが……。


「マリエット。お前を更生させることは諦めた。……修道院に入りなさい」


 父親は私の更生を諦めてしまった。

お読みいただき、ありがとうございます!

読者様のリアクションを見て、この時間に更新してみました☆彡

明日は夜希望の読者様に向けて、19時までに公開しますね!

そしてついに婚約式に向けた布石となる物語が始まりましたよ~

彼女が物語にどう絡んでいくのか。

推理しながらお楽しみくださいませ!

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