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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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新緑のある日、パスタ料理のお店にて

「さぁ、今日は女子会だよ! 飲める女は飲む。飲めない女は食べる! そして語り尽くす! まずは乾杯!」


 赤いドレス姿の鍛冶職人のダイアンの音頭で始まった女子会。これはコルネ伯爵の発案で、彼女に関わる女性たちが、王都の貸切にしたパスタ屋に一堂に介していた。


 出席しているのは、コルネ伯爵、ルベール嬢、テレンス嬢、テレンス嬢のお友達で、宮殿のメイドとして働くことになったオルリック嬢など、コルネ嬢付きの侍女やメイドが勢揃いしている。


 ヒルトン子爵令嬢、ハイアット伯爵令嬢といったレグルス王太子殿下の婚約者候補だった令嬢も何人も参加している。


(本来はライバルだった人たちよね? 彼女たちからしたら、侍女の身分から殿下のハートをかっさらったと、コルネ伯爵に怒り心頭でもおかしくないわ。でもみんな、コルネ伯爵と殿下の婚約を祝い、今日のお誘いにも嬉々として応じている。これも……コルネ伯爵の人徳の成すところよね)


 それだけではない! リーヴィエル侍女長とマルグリット夫人まで参加しているのだから!


 私にとっては上司になる二人。普段は二人とも……特にリーヴィエル侍女長はいつもキリッとしているのに。今はにこやかにマルグリット夫人と談笑していた。


「モンクレルテ嬢、ぼうっとしない! ほら、これは絶対に出来立てが美味しいはずよ!」


 グレープ色のドレスを着たルベール嬢が、トマトとバジルがのったパンを、私のお皿に取り分けてくれる。焼きたてのパンにはガーリックオイルが塗られており、美味しそうな香りが漂う。


「ありがとうございます!」


 パクりと頬張ると、ガーリックの風味にトマトとバジルが合う!


 夢中で食べてしまいそうになるが、そこは女子会。おしゃべりにも花が咲く。


「それではルイーザ様は、その休憩室でスコット筆頭補佐官から告白されたのですか!」


 修道院で知り合ったという、イエローのドレスのオルリック嬢は、テレンス嬢のことを名前で呼び、しかも心から尊敬しているようだ。瞳をキラキラと輝かせ、テレンス嬢がスコット筆頭補佐官と婚約するに至った話を聞いている。


 そう。テレンス嬢は、レグルス王太子殿下の右腕とされているスコット筆頭補佐官と、婚約することになったのだ!


(まさか毎晩のように届けられていた美味しい差し入れ。匿名のテレンス嬢のパトロンが、スコット筆頭補佐官だなんて、ビックリだわ!)


 スコット筆頭補佐官は、レグルス王太子殿下と並んでも、かすむことのない眼鏡のハンサム。かつては殿下の妻と言われていた彼が、ついに婚約すると宮殿では大騒ぎだった。しかも相手がテレンス嬢なのだ! みんな驚き、そして……。


(心から「お幸せになってください」と声をかける人ばかりだったわ)


 本人はそんなそぶりを見せないが、テレンス嬢は苦労人だ。公爵令嬢から平民へ転落し、昔の面影はいずこにという状態だった。それがスコット筆頭補佐官の愛のある差し入れで、かつての華やかさを取り戻し、今は──。


「なんかさ、テレンス嬢はただの侍女には見えないよね。肌艶も良くてさ、髪もキラキラしてるじゃないかい! しかも今日のシャーベットピンクのドレスも……スコット筆頭補佐官のプレゼントなんだろう? 貴族のお嬢様みたいじゃないか!」


 ダイアンがそう言えば、ルベール嬢が我が事のように反応する。


「スコット筆頭補佐官は殿下の右腕ですから! お給金は私たちの何倍もあるんです! それにあれだけ優秀なら、いつか爵位を賜ります! テレンス嬢はどん底から一転、社交界に華麗に舞い戻りますわ!」

「そうだね、きっとそうなるよ! そうしたら語り継がれるよ、テレンス嬢のことが! 演劇や戯曲になるかもしれないよね!」


 ダイアンが煽るのでテレンス嬢は「そんなわたくしのことより、コルネ伯爵を題材にしたオペラやお芝居の方が意味がありますわ!」と慌てる。それを見たコルネ伯爵は……。


「私はテレンス嬢をモチーフにした舞台を見たいわ。特にスコット筆頭補佐官からの告白シーンが楽しみね」

「えええ、コルネ伯爵まで! 無茶振りはダメですわ!」


 顔を赤くするテレンス嬢は、いつものしっかり者の彼女とは違う。私と同い年だと分かる表情をしていた。


 その姿を見ると、胸に迫るものがある。


「モンクレルテ嬢、良かったらどうぞ」


 コルネ伯爵が素敵なレースのついた水色のハンカチを差し出してくれる。ドレスとお揃いのハンカチを、なぜコルネ伯爵は私に渡してくれるのか。最初、分からなかった。でもポタリとテーブルに出来たしみに、自分が涙を流していたことに気がつく。


「ありがとうございます、コルネ伯爵……! その、人前でつい泣いてしまい、失礼しました」

「おめでたいことでこぼす涙なのよ。自然とわき上がる喜びを我慢する必要はないわ。それにね、誰かの幸せを心から喜べる人には、幸運が巡ってくると思うの。嫉妬したり、妬んだりなんて、体に毒よ。『良かったね』と笑顔になれば、Laughter is the best medicine.(笑顔で健康になれる)でしょう?」


 そう言って笑うコルネ伯爵は……。


(なんて素敵なのだろう。最初、宮殿勤めを両親から勧められた時、私を厄介払いをしようとしている……そんなふうに感じてしまった。でも今は違う。毎日がとっても楽しく、コルネ伯爵の侍女になれて良かったと心から思っている)


 今日の主役はテレンス嬢だった。でも季節は新緑、そして間もなく――。


 コルネ伯爵とレグルス王太子殿下の婚約式だった。

お読みいただき、ありがとうございます!

笑う門には福来る――。

本作でまた一組、幸せなカップルが誕生しました♡

そして主人公カップルにも動きがでます!

な、なんと!

ついに婚約式ですって!

平穏無事な婚約式になるのか。それとも……?

明日からの更新もお楽しみに~


時に読者の皆様、朝更新の方が読みやすいのかしら?

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