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令和元年7月4日(木)「渡瀬ひかり」笠井優奈

 ひかりは危なっかしい。

 アタシが「援交するけど一緒に行く?」って言ったらホイホイついてくると思うほどには。


「優奈は歌いたい曲ある?」


 ひかりの意識はすっかりそちらに向いている。

 事件が公表され、周りがピリピリしていても、ひとりだけ別の世界にいるかのように振る舞っている。

 面と向かって誰かに非難されたらきっと傷付くだろう。

 でも、そこまで考えが及んでいない。

 暗く沈んでビクビクしているよりはよっぽどマシなんだろうけど。


「三島って歌うまいの?」


「え、泊里? うーん、普通?」


「普通ってどれくらい? アタシよりは上手いよね?」


「そうだね……合唱なら泊里の方が上手いかな。でも、すぐに追いつくと思うよ」


 有志による合唱がどれくらいのレベルのものになるのか心配したけど、恥をかくことにはならずに済みそうだ。

 そして、ひかりの上手さは抜きん出たものなのだろう。

 どうせなら独唱すればいいのに。

 日野なら考えてそうか。


「選曲はもう少しメンバーの人数とか決まってから考えた方がよくない?」


「そっか……そうだよね」


 今年の文化祭は激変だ。

 例年ほとんどのクラスが合唱だったのに、それが禁止された。

 いまそれぞれのクラスで何をするのか話し合いが行われている。

 自分たちで決められると喜んでいる生徒が多いらしい。

 ただアイディアは出ても、それをうまく実現できるかは別問題だ。

 あれこれ考える時間は楽しくても、文化祭が近付くと修羅場が待っていそう。

 日野なら他がコケてくれた方がうちが目立ってラッキーくらいに思ってる気がする。


 とはいえ、そうなれば有志の合唱にも影響は出るだろう。

 たぶん、文化祭実行委員の美咲がこちらをサポートしてくれるはずだから、アタシもしっかりと協力しようと思う。

 日野は信用ならないし、アイツを喜ばせる気はないが、友だちのためにできることはなんでもするのがアタシの信条だ。


「ひかりは合唱部に戻る気はないの?」


「うーん、美咲や優奈といる方が楽しいから」


 アタシが合唱に参加すると言った時の、三島のトゲトゲしい視線を思い出す。

 ひかりは信頼する人の言葉を疑いもしない。

 合唱だってアタシや美咲がダメだと言ったら断っていただろう。

 三島は当然それを知っている。


 谷がやったことも、ひかりがあまりにも言うことを聞くから調子に乗りすぎただけなんだとアタシは思ってる。

 いくら慕っていても普通はそこまでしない。

 アタシだって、あまりにもひかりが素直だから、ついそこにつけ込みそうになってしまう。

 友だちだから思いとどまることができたけど。


 本当にひかりは危なっかしいのよ!


 アタシはそう思いながらひかりに笑顔を向けた。

今日は二話投稿です。二話目です。

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