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令和元年6月19日(水)「姉として」日々木華菜

 ヒナからメッセージが届いていた。


『可恋が体調悪いの。

 テストだから学校には来ていたけど。

 できれば、明日のお昼のお弁当(3人分)を作ってください。

 お願いします』


 ヒナたちは期末テストの真っ只中だ。

 期末テストは午前中だけで終わる。

 今日はお母さんが休みだったのでヒナたちのお昼を頼んだ。

 明日はどうしようか悩んでいた。

 日野さんならヒナたちを昼食に誘うかもしれないと思っていたから。


 しかし、彼女が体調が悪いのならこちらで用意してあげたい。

 わたしは病気とはあまり縁がないが、それでも病気になった時の心細さは覚えている。

 日野さんは母ひとり子ひとりの家庭だし、その一人きりの肉親は仕事の虫だと聞いている。

 わたしの家で一緒に夕食を囲む時に彼女の母親の話題がけっこう出て、その仕事ぶりは彼女の持ちネタになっている。

 それがあるから、本当に病気がひどかったら仕事よりも子どもを優先するだろうけど、学校に行ける程度なら仕事を優先しちゃうんだろうなと想像してしまう。


 なんでもこなすスーパーマンのような彼女といえど、病気の時は食事の準備も大変だろう。

 ヒナのリクエストはお弁当だが、これからの時期は傷みやすい。

 学校で食べる訳じゃないから、うちか日野さん家の冷蔵庫に入れてもらった方がいい。

 食べる時に温めればより美味しく食べられる。

 ヒナに調理を任せるのは不安だから、レンジで済むようにしたい。


 高校からの帰りにスーパーマーケットに立ち寄る。

 晩ご飯の献立はすでに決まっているので、明日の分を考えながら買い物をする。

 純ちゃんも一緒なので、ある程度ガッツリと食べられるものが必要だ。

 肉類は鶏の胸肉をボイルして使おう。

 野菜は生ではなく火を通したものを。

 スープも欲しい。

 でも、どうやって運ぼうか。


 買い物を済ませて、家に帰ると休憩中だというヒナが迎えてくれた。

 帰るなり、日野さんのことが心配だと延々と語り出す。

 わたしが明日のお弁当についてのアイディアを話すと、ヒナはすぐにメッセージを送った。

 直後に日野さんから電話がかかってきて、ヒナは嬉しそうに喋っている。

 わたしはそんなヒナを横目に夕食の準備に取りかかった。


「可恋が言うには、今日より悪くことはなさそうだって」


「そんなことが分かるんだ」


 電話を終えるとヒナがキッチンにやって来た。


「子どもの頃から寝込んでばかりだったって話だしね……」


 ヒナの心配がわたしまで伝わってくる。


「今日の晩ご飯はひとりで平気なの?」


「買い置きがあるって言ってた。前も簡単にできるストックがいっぱいあるって話してたし」


 食べるものはあってもひとりだと寂しいだろう。

 こういう時は少し強引に押しかけた方がいいのではと思ってしまう。

 でも、ヒナは気を遣うからできないか。


「わたしのテストが終わってから、ヒナにもっと料理を教えておくわ」


「ホントに!」


「日野さんのためでもあるけど、自分の分は自分で作れないと看病にも行けないじゃない」


 ヒナはやる気になっている。


「ほら、夕食までにはもう少しかかるから、勉強でもして待ってて」


「うん、ありがとう」


 キッチンから出て行くヒナを見て、わたしは苦笑する。

 ヒナを取られたくないのに、最近のわたしはその背中を押してばかりだ。

 だけど、楽しそうなヒナを見てるとそうしてしまう自分がいる。

 仕方ないよね。

 わたしはヒナのお姉ちゃんだから。

今日の2本目です。

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