令和元年5月20日(月)「可恋って何でもできるよね」日々木陽稲(おまげ)
おまけの短編です。
「ケアレスミス減ったね」
「可恋のお蔭だよ!」
可恋の言葉にわたしは満面の笑みで応える。ミスがゼロになった訳じゃないけど、目に見えて減っている。試験の前にとにかくリラックスすることを心がけた成果なのだろう。
「ひぃなはやればできる子だから」と可恋が笑う。
「可恋って何でもできるよね」
勉強でも運動でも可恋ができないことが思い浮かばない。
「そんなことないよ」
わたしは疑わしそうな顔で可恋を見る。
「勉強だって中学のレベルならなんとかなるけど、ちょっと上のレベルになると全然分かんないし」
「上のレベル?」
「私は読書が趣味だけど、小説にしても専門書にしても読んでいて自分の知識不足をよく感じるし、発想もありきたりだし、論理的に考えることもまだまだできてないと思ってるし……」
いったいどんな本を読んでいるんだろうと思ったけど、聞いてもわたしには分からないだろう。
「それに……私、泳げないしね」
「そうなの?」
わたしは小さい頃にスイミングスクールに通ったので、一応泳げる。走るのと同様、無茶苦茶遅いけど。
「そもそも、泳いだことがないのよ。普通のプールは身体冷やすから入らなかったし。温水プールなら平気だと思うけど、特に必要性を感じなかったしね」
今は泳げなくても、温水プールに行ったらものの5分で追い抜かされてしまいそうだ。
「ひぃなにはひぃなにしかできないことがあるし、私はひぃなが羨ましいよ」
可恋が澄ました顔で言った。でも、そこにちょっぴり本心が感じられて少しホッとする。
「胸が邪魔で邪魔で仕方ないから」
「そこかー!」




