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雲の上と草の根~実は高スペックなことを本人だけが知らない~  作者: あかかど


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到着

しばらくメニューを見ていると秀明さんが席に来た。


「二人ともお待たせ。食べたいものもう決まった?」

「俺生姜焼き定食」

「俺は~…サバの味噌煮定食でお願いします」

「生姜焼き定食とサバの味噌煮定食ね」


秀明さんはメニューに少しだけ目を通し店員さんを呼ぶ。


「すみません、生姜焼き定食とサバの味噌煮定食とから揚げ定食を一つずつお願いします」

「生姜焼き定食とサバの味噌煮定食とから揚げ定食を一つずつですね!かしこまりました、少々お待ちください!」


注文を聞くと店員さんはキッチンの方に入っていく。


俺は水を一口飲み一息つく。


「目的地まであとどれ位かかりますか?」

「このままのペースで進めたら二時間位かな」

「そうなんですね。そう言えば俺完全に今回は秀一に頼ってたのでどこ行くのか分かんないんですけど、行くのって海ですか?川ですか?」

「今回は海に向かってるね、そっちの方に知り合いがいるから道具とかいろいろ借りれるし」

「へ~、ちゃんと海で釣りをするなんて初めてなので楽しみです」


昔海に行ったときに海堤防のようなところで多くの人が釣りをしていたのを覚えている。その時から少しやってみたいなと思っていたため海で釣りができる事が少しうれしい。


俺達は料理が来るまでの時間談笑をしたりスマホを触ったりし時間を潰した。そして10分ほど経ったところで店員さんが料理を持ってきた。


「おまたせいたしました、最初に生姜焼き定食、お次にから揚げ定食、最後にサバの味噌煮定食です。ごゆっくりどうぞ!」


俺達は店員さんからお盆にのった定食を受け取りテーブルに置いた。


「それじゃあ頂こうか、いただきます」

「「いただきます」」


俺は割り箸を割り最初に味噌汁を啜る。濃い目の味付けとシンプルな具材なためとてもご飯が進む。そして次にサバの味噌煮を一口食べる。こちらも甘じょっぱい味付けとサバ本来の味でとてもご飯が進む。


とても美味しく夢中になって食べていると秀一が俺に声をかける。


「誠翔、俺の生姜焼き分けるからサバの味噌煮俺にも一口くれよ。俺も食べてみたい」

「勿論。秀明さんもどうですか?とっても美味しいですよ」

「じゃあ是非頂こうかな。じゃあはいこれ、から揚げと交換で」

「親父、俺にもから揚げくれ!」

「分かってる分かってる」


俺達はおかずをシェアし朝食を楽しんだ。


ご飯を食べ終えしばらく談笑した後に俺たちは車に戻りまた目的地に向け車を走らせ始めた。


「それにしてもこんな朝早くなのによく空いてるお店見つけられましたよね」

「前に海に行ったときにあのお店に行ったことがあってね」

「そうだったんですか、とっても美味しかったです。ごちそうさまでした」

「いえいえ!まだ海まで距離あるからゆっくりしていきな」


俺はスマホで釣りについての情報や知識を調べたりして時間を潰した。20分ぐらいスマホを触り、調べたいことを調べ触るのをやめると秀一がノートPCを開いていることに気が付いた。


「秀一がノートPCを使うなんて珍しいな。何見てるんだ?」


俺が少しノートPCをのぞき込むとそこには何やら大量の文章が書かれていた。しかしどうやら電子書籍を読んでいるというわけでもなさそうだ。


「なんだこれ?見た感じ電子書籍ってわけでもなさそうだけど」

「あぁ、これ生徒会PC借りて仕事してるんだ」

「え、生徒会の仕事?」


俺は会長から頼まれたときだけ仕事が振られるため普段どのような事をしているかはあまり知らなかったがこんなことをしていたなんて。


「これ何の内容なんだ?」

「夏休みに中学生の体験入学があるの知ってるか?」

「年間行事の予定に入ってたのを見た記憶があるな」

「それに毎年生徒会が運営に携わってるんだって。その時の資料の一部の作成を担当することになってな。とりあえずこの休日の間に詳しい内容はあとに詰めるとして大まかな部分は作ろうと思って」

「なるほどな、ちょっと俺に見せてくれよ」


俺は秀一からノートPCを借りて資料を簡単に査読した。


内容は一日の日程や去年の先輩方の進学実績のまとめ。更に授業の方法なんかも書かれていた。深く読んでみるとあまり気にしていなかったような事についても深く書かれていた。


「へ~あんまり意識してこなかったけどやっぱしっかり深いところまで考えられてるんだな」

「俺も過去の資料を参考にしながら作成してるけど初めて知るような事が多くて意外と面白いよ」

「確かに面白いな。何か手伝えることあるか?」

「じゃあスマホに過去の資料数年分送るから照らし合わせて確認してくれ」

「オッケー分かった」


俺も生徒会の一員としてしっかりと仕事をしなくては。結構量があるため少し時間はかかるだろうが幸いなことに今は時間がたっぷりある。しっかりと集中しよう。


俺秀一が送ってくれた資料と秀一の資料を比較しながら気になった部分をメモをした。




―――――――――――――――――――――

「二人とも!もうすぐ海が見えるよ!」

「お!やっとか長かった」


あと少しで資料の確認が終わるというところで秀明さんが俺達に声をかけてきた。


車がカーブを曲がると同時に真っ青海が現れた。


「うわ~!綺麗だな~」

「良い感じ雲もあるし絶好の釣り日和だな!」

「そうなのか?」

「あぁ!釣りは晴れよりも雲があったり雨が降ってる時の方が釣れるんだよ。だから釣りをするなら晴れよりもこれくらいの天気の方が良いんだ」


もし海水浴をするならもっと晴れている方が良いのだろうが、釣りとなるとこのくらいの天気が一番いいのか。


「海に着いたって事はあと少しで秀明さんの知り合いがいる場所に着くんですか?」

「そうだね、あと5分くらいかな。最初は海に向かわずにそいつの家に荷物を置きに行くから荷物まとめておいてね」

「わかりました」


特に汚していたわけではないが俺はしっかりと自分の荷物を集め整理しいつでも降りれる準備を完了させた。しばらく海の景色を堪能していると恐らく秀明さんの知り合いの家だろう。和風な家についた。


その家は一般人が住んでいるにしては立派すぎるぐらいの外観だった。


「いや~何度見てもこの家立派だな~」

「秀一はこの家に何度も来てるの?」

「あぁ、海水浴だったり釣りするってなったら良くここに来るからな。中はもっと立派だぞ~」

「マジかよ、気になって来たな」


キャンピングカーから荷物をまとめて家の敷地とさらに凄かった。庭も広く大きな池があり、その中には錦鯉だろうか、きれいな魚が泳いでいていかにもお金持ちの家という感じだった。


周りの景色に気圧されていると家の玄関から秀明さんともう一人男性が出てきた。しかしその男性は俺が予想していたような見た目とは違った。


俺はすごく大人しく穏やかな男性が出てくると予想していたが、実際出てきた人物はものすごく筋肉質で体が黒光りしていた。しかも外国人と言われる方が納得するほどの顔の濃さだ。和風要素は甚平を着ているぐらいだろうか。


「お~おっちゃん久しぶり!」

「よぉ秀一!相変わらず元気そうだな!そっちの子は誠翔だな、よろしく!よく秀明と秀一から話を聞いてるから初めましてってかんじはしないけどな!」

「初めまして三葉誠翔です。今日はよろしくお願いいたします」

「おうよろしく!俺は西村(にしむら)だ!そんなかしこまんなくて大丈夫だぞ!家の中でも実家のように寛げ!」

「分かりました、じゃあ失礼します」


第一印象で気圧されたが西村さんがとてもいい人安心した。俺は荷物を持ち改めて玄関をくぐった。

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