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パンケーキを食べたおじいさんに笑顔は無かった。
と言っても不味かった訳ではなく、ただ単に甘いものが得意ではないだけのようだ。
パンケーキでは笑顔にならなかったが、パンケーキで笑顔になったサクヤちゃんを見てニコニコしていた。
お昼のパンケーキを食べ終えた俺はクルス君、おじいさん、冒険者予定の二人の男の子と武器屋へ向かった。
妹ちゃん達は女の子が集まって生地屋へ行くらしい。ハニービー達のスカーフもまだまだ足りないので後でお願いしておこう。
俺達が武器屋に向かう理由は冒険者予定の二人の武器を買うためだ。
そろそろ二人も自分の武器を持って手に馴染ませないといけないと思ったからだ。
おじいさんからの報酬が多かったというのも買う決め手になっている。
そして、俺達5人は武器屋に到着するとそれぞれ行動を始めた。
「それじゃあクルス君、二人の事お願いね!」
「任せとけ!良い武器を選んでやるよ!」
「…シュウ、クルスで大丈夫なのか?」
「一応前回来たときにどんな武器を選ぶか教えたから大丈夫だと思うよ?最後には一応俺も確認するから。」
「そうか、ならクルスと一緒に選んでくるよ」
「シュウ、また後でな。」
そう言って三人は剣が置いてある辺りに移動した。
俺とおじいさんはまた掘り出し物がないか、安売りコーナーへ向かった。
ちなみに前回購入した呪われた剣は未だに呪いを解けていない。
森への行き来や寝る前など解呪を試みているが、俺のレベルが低いのか、呪いが強すぎるのかわからないがまだ解けないでいる。
それでも一応は魔法の流れも良くなっているし消費魔力も少なくなっているので効果はあると思う。
安売りコーナーへ着くとおじいさんとは別々に探し始める。俺は有用な武器を、おじいさんは面白そうな武器をだ。
30分程探したが、今回は特に付加が付いた武器も良い素材の武器も見当たらなかった。
俺とおじいさんは安売りコーナーを諦めクルス君達の所へ向かった。
クルス君達の所へ着くと、三人は言い合いをしていた。
話を聞くと原因は単純でまたクルス君が見た目が良い武器を選んで、他の二人は使いやすそうなそこそこの値段の剣を選び、どちらが良いかと言い合っていたようだ。
クルス君は前回と同じ行動をしてちょっと呆れるが、二人はさすがだなぁ。年長なだけあり最善ではないが失敗はしないだろう。多分自分達でも色々勉強しているのだろう。
「クルス君、だからそういう武器はダメだって言ったじゃん。二人の剣はそれでも良いけどもう少し予算はあるから丈夫そうなのえらんでくれる?」
「なんでだよ、格好いいだろ!?」
「わかった」
「じゃあ、もう少し良いのを選んでみるよ。」
二人はきちんとしたものを選んだが、貧乏孤児院にいるため、安いものを選ぶのはしょうがないが、冒険者の武器は命に直結するのであまりケチケチするのも問題だろう。高すぎるのも問題だが、それなりの物を大事に使った方が良いと思う。
二人が剣を選んでいる間に俺とおじいさん、クルス君は他の武器を探し始めた。
鍛冶作業を始めるにあたり、やはり見本となるものが欲しいのが理由だ。
今は森の中で活動しているから剣を使っているが、場所や相手によって違う武器の方が良いときもある。
また、鍛冶も剣だけでなく他の武器を作ればそれだけ鍛冶技術も上がるだろう。
技術が上がれば斧や鉈、大工道具等も作れるだろうから損にはなるまい。
俺とおじいさんは性能を見ながらも造りと値段の安い槍や斧や鎚等の武器を選び、剣を選んできた二人の分と合わせて俺は武器を購入した。




