69
晩ごはんを食べ終えた俺は呪われたナイフを持って魔法を使っていた。
夕方おばあさんに光魔法の『解呪』を教えてもらっていたのだ。
そのお陰でなぜ武器屋でこの呪われたナイフが安売りされていたか理解できた。
すでに30分程は『解呪』を使っているのだが、未だに呪いが解けないのである。
おじいさんに聞いた話で俺は呪いを解けば良い武器になると思っていた。しかし、これ程までに呪いが解けなかったら商売は難しい。
神聖魔法ならば、もっと早く呪いが解けるかも知れないが、神聖魔法は聖職者限定魔法で、 もし頼むとしたら高額なお布施を渡さなければならないらしい。
かといって、神聖魔法の劣化版と言われる光魔法ではいつまでたっても呪いが解けない。
これは詰んだな…。
とりあえずはどうなるかわからないからこのまま『解呪』を続けておこう。普段使わない光魔法の良い鍛練になるかもしれない。
俺は光魔法を使いながら昼間の事を考えた。
孤児院の子が冒険者になるかもしれないという話だ。
クルス君とイリヤちゃんは人族ではないので将来は冒険者になるしかなかった。その為早いうちから冒険者の練習として採取を一緒におこなっていた。
その頃はまだ孤児院の子供も少なく、俺達以外の子供は院長先生の知り合いの所で働けていた。
しかし、最近は子供達の数が増え働ける子が減っていたのは事実だ。
それに、今回の子供達はクルス君達よりも年上だから、冒険者になるのももうすぐのはずだ。
そうなると、ちょっと緊急性が高いかな?
前回おじいさんが来て皆が剣の練習したときにもう少し考えておけばよかった…。
まずは、院長先生に相談して一緒に採取に行くところから始めようかな?そこでレベル上げをしながら採取や狩りの仕方を覚えてもらおう。
あの子達は木工を習いたいと言っていたが、冒険者になるなら先に鍛冶、というより武器の研ぎ方を覚えるのが先だろう。
女の子ならおばあさんから薬や魔法薬の作り方を教えてもらうというのも良いかもしれない。
次の日、さっそく院長先生に相談した。
「そうね、今のままだと5~6人は冒険者にならなくてはいけないわね…。」
「だったら、今まではクルス君とイリヤちゃんしか冒険者になるための練習をしてないからその子達も一緒に練習した方が良いと思うんだ。」
「そうできればありがたいけれど、いきなり6人も増えて危なくない?」
「さすがに同時は怖いから二人ずつに分けて順番に行こうと思ってるよ。それに、基本安全第一だから危険な所には行かないよ!!それに、最近はクイーン達の索敵能力が凄いから森の浅い所なら突然襲われることも無いしね。」
「そうなの?でも、気を付けてね?シュウ達はまだ小さいのだから。」
「うん。」
そうして院長先生から許可を取り冒険者になりそうな子供達の採取参加が決まった。
子供達に伝えようと探したら外でおじいさんと剣の練習をしていた。
ちょうど良いのでおじいさんに子供達の事をお願いしてみたら、孤児院にいる間は修業をつけてくれることになった。
また、おじいさんがいない間はクルス君と模擬戦をすることになった。
また、小屋が完成したらそこへ連れていき、研ぎ方等も教えてくれるそうだ。
その後、おばあさんの所へ行き冒険者に役立ちそうな技術を教えて貰えないか頼んでみた。
おばあさんは簡単な薬の作り方を教えてくれると言ってくれた。
また、おばあさんも小屋が完成したら魔法薬にも挑戦させてくれるといってくれた。
薬の方は孤児院でも必要なので、時間のある子は皆参加することになった。
二人にはまた恩が出来てしまった…。




