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それは不思議な事だった。
外縁部を歩いていると森を流れる川に出くわしたので川から少し離れた所を森の奥に歩いていったはずだった。
しかし、いつも歩く距離程進んだはずなのにいつの間にか森の外縁部に出てきてしまった。
俺も従魔達も「???」と首をかしげている。
ぴーちゃんに空から監視をしてもらい、ミュウの聴覚クイーンの嗅覚、俺の魔力探知もフル活用だ。
もう一度進んでみたが、またしても森の外縁部に戻ってしまった。俺もミュウもクイーンも特に何かを感じることは無かった。
しかし、空にいたぴーちゃんだけは異変に気付いたようだ。どうやら俺達は途中でUターンしていたらしい。
ミュウとクイーンにも確認したが、俺達はUターンしたつもりもなく真っ直ぐ歩いてるはずだった。
不思議に思った俺達はモンスターを警戒しながらもう一度森の中を進んでいった。
しかし、またしても森から出てしまった。
ぴーちゃんに確認したところ、さっきと同じ位の場所でUターンを始めたらしい。
俺達はぴーちゃんに頼みUターンし始める場所迄案内してもらい、その場所を調べることにした。
何があるかわからないので警戒重視で移動を開始した。
空からぴーちゃんの合図が聞こえた。どうやらこの辺りからUターンし始めるようだ。
外縁部からの距離はいつも果樹を見つける位の距離なので、さほど遠くはない。
それに、ミュウもクイーンも俺も特に何かを感じることはない。だけど、俺達はUターンをしているらしい。
単純に考えるなら、この先になにかあると考えるのが妥当だろう。
俺は前方を中心に魔力探知を試みた。
じっくり調べていると前方に僅かながら魔力の反応があった。
距離が離れているので正確にはわからないが、確かに魔力の塊?みたいなものがあった。
俺はこの魔力の塊が気になり向かうことにした。
ぴーちゃんに空から指示をだしてもらい、なんとか進むことが出来た。
今までだと、ここまで森の中を歩くと動物やモンスターを何匹かみつけられるのに今日は一度も見つけることが出来なかった。
塊に近付くにつれ塊の全容がわかってきた。
孤児院程の大きさの魔力のドームだった。
魔力は目に見えないのでパッと見何もないように見える。しかし、魔力探知をすると魔力がドーム状になっているのがわかる。
そして、魔力は目に見えないのでドームの中も丸見えなのだが、何もない…。
いや、何もないと言うより周りと変わらぬただの森だ。
いったいなぜこんな魔力のドームがあり、ここにたどり着けなかったのだろう?
ぴーちゃんに上から見てもらったが、やはり普通の森らしい。
何かあると怖いので離れた場所から地魔法で石を出し、それをドームに向かって放った。石は真っ直ぐドームに向かい、ぶつかることもなくすり抜けていった。そして、すり抜けると同時に消えてしまった…。
これはどういう事だ?もう一度試してみたが結果は同じだった。
近くにある木の枝を拾い、慎重に近付いた。
そして、ゆっくりと枝をドームに近付けた。
枝はなんの抵抗もなくドームを貫通していった。しかし、貫通したはずの枝はドームを境に見えなくなった。
俺はゆっくりと枝を戻すとなんの変化もない元の木の枝があった。
これはドームが中の景色を誤魔化しているのだろうか?
アイテムボックス内にある色々な物で試したが結果は同じだった。
一応根に土が付いた状態の草花でも試したが結果は変わらなかった。
動物辺りで試してみたかったが、周りに動物はいないので意を決してドームの中に入ることにした。
深呼吸をして中に入ろうとしたら、ミュウが突撃していった。
呆気に取られているとドームからミュウが頭だけ出してきた。
どうやら無事だったようだ。
ミュウに勝手に行かないよう注意してから、俺とクイーンも入っていった。




