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現れたのはコボルト。クルスくんの周りにいる毛玉コボルトよりも大きいので、毛玉コボルトは子供、現れたコボルトは大人なのかもしれない。

その新しいコボルトだが、数は二匹。手? に木の棒を持ってこちらに構えているのだが、尻尾を股に挟んでブルブル震えている。毛玉コボルト達と同じようにクイーン達の事を恐れているのだろう。


「シュウ、あれってもしかして?」

「うん、多分このコボルト達の仲間だと思うよ」

「あぁ、だからクイーン達がなにもしなかったのね」

「クルスくんがふえた!」

「いや、俺は元々一人だよ!」


さっき毛玉コボルト達に襲われたので周囲の警戒は怠らず新しいコボルトの存在には気付いていた。おそらくクイーン達も気づいていただろう。だが、毛玉コボルト達は特に害は無かったのでこのコボルト達も大丈夫だと思ったので何もしなかったのだが……。


「お前達、あのコボルトは仲間か?」


クルスくんが毛玉コボルト達に話しかけた。毛玉コボルト達は恐る恐る確認するとやはり知り合いだったのか尻尾をフリフリコボルトに向かい走りだした。


「やっぱり仲間みたいだな」

「探しにきたのかしら?」

「木の棒を持ってるから俺達から、というかクイーンから助けようとしたのかもよ?」

「ワフ?」


クイーンとしては何かをしたつもりはなかったので困惑しているが、見ようによってはクイーンが誘拐したようなもんなんだよね。

毛玉コボルトが仲間の元にたどり着くと木の棒を持ったコボルトは毛玉コボルトを後ろに庇い俺達を睨み付けていた。


「ほら、やっぱり警戒してるよ」

「これはクイーンのせいなのか?」


「キャンキャン」「ワンワン」


しかし、ここで毛玉コボルト達が何かを話始め、コボルトはクイーン達とクルスくん、それと毛玉コボルトを交互に見ていた。その後も「ワンワン」「キャンキャン」と話し合い? は続けられ、話がまとまったのか木の棒を下ろしてこちらに近づいてきた。

そして、俺達と話し合いをするのかと思いきや肉串やスープの方を見てよだれを垂らし始めたのだった。



ガツガツガツ


クイーンに頼み、新しいお肉を調達しコボルトに渡したのだが毛玉コボルトに勝るとも劣らない勢いで肉串を食べ始めた。毛玉コボルト共々よっぽどお腹が空いていたのだろう。

お腹がふくれたのかようやく話が出来る状況になった。横にはなぜかまた肉串を食べ始めお腹がポンポコになった毛玉コボルトが倒れていた。



「ワンワン」「キャンキャン」「ウォンウォン」


クイーン、コボルト、毛玉コボルトと話始めて十分程、何を話しているのかさっぱりわからない。が、クイーンとコボルトで話が通じるみたいなので待つ。とりあえず待つ。


話し合いの結果わかったのはこうだ。コボルト達は小さいながらも集落を作り人間に見つからないようにひっそりと暮らしていた。ある時、村を蟻のモンスターが襲ったらしい。急に現れ何かに怒っていたようだが理由はわからないらしい。うん、心当たりがある気がするが、もし予想通りなら蟻の巣広すぎないかな? まぁ、蟻の話はとりあえず置いといて、集落にいたコボルト達は着のみ着のまま(といってもコボルトは服を着てないが……)逃げ出したそうな。そして、このコボルト達は家族らしいのだが途中で子供がはぐれてしまい探していたそうだ。


「なるほど、だいたいの事はわかったよ。で、なんでこいつら俺にくっついてたんだ?」


コボルトがここにいた理由はわかったが、クルスくんにくっついていた理由は話していない。というか、そのまますぎて言い辛い。


「聞きたい?」

「おう!」

「えっと、仲間だと思ったらしいよ?」

「…………俺をコボルトだと思ったって事か?」

「うん……」


予想通りな答えを聞いてクルスくんはショックを受けたのか固まってしまった。

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宜しくお願いします!

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