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「待たせたでな。……何の肉祭りだか?」
作業場で肉を解体していると村長に聞きに行ってくれていたおばちゃんが戻ってきた。そして、辺り一面の肉の量に驚いていた。
「今日は人数が多かったのでな、肉も多めだ」
「ありがたいんだけんど、良いんけ?」
「かまわんよ」
「なら遠慮なくもらうべさ。そうそう、村長からの返事もらってきただ。チーズを売られるのは困るだが、自分達で使うだけなら問題ないそうだ」
「おおそうか、助かる」
「「「ありがとうございます!」」」
「んだども、見学は明日だなや。時間も遅いしこの肉をなんとかしねぇとまずいだな」
ということでチーズ作りの見学は明日になり、渡した肉の処理を全員でする事になった。その為今日はこの村に泊まることになった。おじいさんも昔から一泊していたみたいなので予定通りではある。
「美味い!」
「おいし~」
その夜は村をあげての宴会となった。おじいさんが泊まったときも宿というか集会所でちょっとした宴会をしていたみたいだが、今日は子供が多くいるので村の広場で皆で食事だ。
「これも食べなよ」
「これはこうすると美味しいよ!」
「なぁ、これはもう食べても平気か?」
俺達の周りには村の子供達が集まっていた。村で暮らす子供達にとって同い年位の村人でない子供はかなり珍しい。モンスターがいるので子供が旅をするのが珍しいからだ。幸いにもこの村の子供達は妹ちゃん達に対して偏見を持っていないようですっかり仲良くなった。
「おにいちゃん、おいしいね!」
「シュウくん、これどうぞ……」
「うん、美味しいね。サクヤちゃんもありがとう」
今日出された料理は狩ってきた肉にこの村特産のチーズ、そしてこちらが提供したシャルちゃん特製の素で作ったスープだ。やはりチーズは特産と言うだけありそのまま食べても美味しいのだが、火に炙って溶けたチーズをパンにかけたり、焼いた肉に絡めた物はとても美味しかった。妹ちゃんやサクヤちゃんも嬉しそうに食べている。クルスくんは村の子供と大食い競争でもしているのかすごい勢いで食べていた。
おじいさん達大人組はおじいさんが出したお酒を飲んで盛り上がっている。女性陣も少しは飲んでいるがスープを気に入ったようで余っていた素を皆で研究しているみたいだ。まだ少し残っているから後でチーズと交換してもらおうかな。
「なあ、シュウ」
大食い競争が終わったのかクルスくんがこちらに戻ってきた。どうやら勝負には勝ったようで向こうで村の子供達がお腹を押さえて倒れていた。周りにいる子は笑っているので食べ過ぎたのだろう。
「どうしたの?」
「いや、ここにはチーズの作り方を聞きに来たんだよな?」
「そうだよ」
「わざわざ聞かなくてもここで売ってもらえば良いんじゃないか?」
どうやら作らなくてもここのチーズを使えば良いと思ったみたいだ。まぁ、美味しいからその気持ちもわからなくはないんだけどね。
「ん~、理由は色々あるんだけど例えばミルクが余ってるのと孤児院の仕事が増える事。後はこの村でどれだけ買えるかわからないのと、そもそもここにはおじいさんしか買いに来られないのが一番の問題かな」
「あ~、そういやそうだった。師匠に連れてきてもらってたんだった」
「だから、もし屋台で定期的に使うなら作った方がいいんだよ。もちろん自分達が食べるように少しは買っていくけどね」
そうして俺達はチーズの美味しさを楽しんで村で一泊した。
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