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話し合いの次の日、俺は朝早くから出掛けていた。護衛代わりの援軍を連れてくるためだ。
なんとか交渉は上手くいき、屋台が始まる前に無事に戻ることが出来た。
「おいシュウ、それが俺達の代わりか?」
「そうだよ」
「グルルルル」
冒険者組が俺の隣にいるブルータイガーを指差し聞いてきた。
「多分強さだけなら俺達の中で一番かもしれないよ?」
そうなのだ、普段おじいさんの所にいるブルータイガーなのだがいつの間にやらレベルがトップクラスになっていたのだ。犯人はおじいさんしかいないのだが、おじいさんの所にいた従魔達は軒並みレベルが上がっていた。
「クイーンよりも強いのか!?」
クイーンが最強!と思っているクルス君がビックリしているがクイーンとは比べる方向性が違う。
「クイーンの場合は索敵や集団戦に強いからね、こっちは単体で強いんだよ。大きさも違うし」
例えるならクイーンは指揮官タイプなのだ。もちろん戦っても強いのだが、子狼達や新参狼達を指揮するとその脅威度は格段に跳ね上がる。
逆にブルータイガーは一騎当千タイプ、身体も大きく力も速さも兼ね備えている。そのくせ猫っぽく俊敏な動きも可能だ。
それに見た目に対する威圧感が違うのも大きい。クイーンは竜の森でよく見る狼種だがブルータイガーはおじいさんがどこからか連れてきたモンスターだ。あまり見たことのないモンスターならば冒険者もちょっかいをしづらいに違いない。
「でもよ、こいつだけで足りるのか?」
「それは大丈夫。他にも連れてきたから」
おじいさんの所から連れてきたのはブルータイガーだけではない。銀リスやウッドモンキー、ポイズンスネーク達も連れてきたのだ。
彼らのレベルも冒険者組に近いので十分護衛役は果たせるだろう。
時間も時間なので俺達は急いで屋台の準備をし出発した。何度か来たことがあるとはいえブルータイガーを見た人は驚いていたが背中に妹ちゃんが乗っていたので騒ぎ出すほどではなかった。
屋台は順調にスタートした。屋台の近くに座ったブルータイガーに驚く人は多かったが妹ちゃん含む孤児院の子供達が交代で近くにいるので予想以上に慣れる人が多く気づいたらいつの間にか頭を撫でる人も現れていた。
「思ったよりも大丈夫そうだな」
冒険者組もブルータイガー達に安心したようだ。
冒険者組と交代するために従魔を連れてきたのだがいきなり交代するわけにはいかないので2~3日は離れた所で様子を見ることになっている。
その数日の間に普段いる冒険者が見当たらないのを良いことに不届き者も現れていたが、酔って暴れた者はブルータイガーの肉球パンチで制圧し、スリは銀リスの魔法やウッドモンキーの投擲で転ばせた後ポイズンスネークが麻痺毒で痺れさせていた。
「これなら二人残せば問題なさそうだな。明日からギルドの依頼を受けよう」
護衛としての腕は確かだったのだが処理に人手が必要になったので冒険者組が順番に対応してくれることになった。
一週間もすると強い上に人懐っこいと言うことでブルータイガーは屋台のマスコットになっていた。
護衛役なのでいつもではないが、背中に乗って歩いてもらうのが子供達に人気になっていた。
やっぱり商売といったら招き猫だね。
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