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さて、トレントを狩りに行くならやはり斧は必要だろう。
トレントがどれくらいの太さかはわからないがさすがに剣で切るのは無理があると思う。
斧と言っても片手斧から両手斧、両刃斧など種類がある。そこに柄の長さや刃の長さ、重さなど考えるとけっこうな数を作らなくてはいけない。
また、これだけの数の斧を作ると材料も少し不安になってくる。
となるとトレント狩りのついでにまた採掘に行くのもありかもしれないな。
あれから一週間、鍛冶組、木工組と協力しいくつかの斧を作ることに成功した。
おかげで鉱石類がほぼ無くなってしまったが…。
トレント狩りに出掛けるのは俺達いつもの四人に冒険者組の前回行かなかった子達を中心に六人、鍛冶組の二人に木工組からも二人。
それにおじいさんとサクヤちゃん。
従魔達はクイーンと大人狼の六匹、ピーちゃんとシャドウオウルの索敵が得意なメンバーにリンちゃんだ。
今回の採取?討伐?採掘?は色々な事情により目的が増えた。
まずはトレント狩り。素材としてトレントを手に入れ杖や弓を作る。
次に採掘。斧を大量に造ったので鉄が無くなったのが原因だ。出来れば魔鉄もそれなりに手に入れたいところだな。
お次は採取、採掘練習。木工鍛冶に必要な材料は専属で集める人がいる。(木こりや鉱山で働く人々)しかし、木工鍛冶をやるなら自分でも集められるようにしろとおじいさんに言われ、鍛冶組木工組も今回参加する事になったのだ。
最後は護衛練習だ。普段森へ行かない生産組四人がいるので、経験の浅い冒険者組と新入りの狼達の護衛練習の場にちょうどいいとなったのだ。
森の中を護衛というのもあまり無いかもしれないが、難易度的に高いので練習にはもってこいだろう。
「やっぱり歩きにくいな。」
「まわりの気配もよくわからん。」
森へ入り洞窟に近づくにつれて生産組から不平とも不安ともとれる言葉が聞こえてきた。
普段森に入らない人からすれば森の中で行動するのはやっぱり大変なんだろう。
それでも先頭でクルス君が鉈を振り回し枝や草を切り払っているので多少は歩きやすいはずなんだけどなぁ…。
普段より多めに休憩を取りつつ進み日が暮れる前には洞窟にたどり着いた。
「じゃあ今日はここで野宿しようか。」
冒険者組の子の声に皆うなずき、野営の準備をし始めた。
「洞窟の中で寝た方が良いんじゃないのか?」
「あ~、一応シュウが入口塞いでるから大丈夫だとは思うけど、中に何があるかわかんないからな。確認してるうちに暗くなっても困るから今日は外で寝るんだ。」
「なるほど。」
せっかく洞窟に来たのに中に入らないことに疑問を感じた鍛冶組の子の質問に冒険者組の子が答えてあげた。
「手際がいいな。」
冒険者組の子達がてきぱきと野営の準備をしているのを見て生産組の子達がつぶやいた。
「まぁ、これも経験だな」
そのつぶやきが聞こえたのか返事をする冒険者組の子。もちろん手は動かしたままだ。
「お前らも慣れない事して疲れただろ?少し休んどけよ。」
「良いのか?」
「助かるぜ。」
やはり疲れていたのか生産組の子達は邪魔にならない所で座り込んでしまった。
夜ご飯はスープにパン、それに肉たっぷりだ。
野営の準備を始めたらクイーン達が交代で狩りに出掛け獲物を沢山獲ってきたからだ。おかげで解体作業が少し大変だった。
夜の見張りはおじいさん達、俺、リンちゃんに別れ無事に過ごすことが出来た。
忘れていたけどゴースト対策に属性剣みたいなのも作れないかな?
次の日生産組の子達はしっかり眠れたようで疲れた様子は見られなかった。
「よし、じゃあ洞窟を調べて採掘頑張るぞ!」
「「「「「おー!」」」」」
クルス君のかけ声と共に俺達は洞窟に進んだ。
【HJネット小説大賞2018】受賞しました。
2019年書籍化決定です。
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