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次の日になり、俺達は洞窟を出発した。

洞窟はまたゴブリン等の巣穴にされないように入口を地魔法で塞いでおいた。


帰りは赤ちゃんがいるのでまっすぐ帰る。が、せっかく普段来ない所まで来たので目につく範囲の薬草類や実を採取するのは忘れない。


周囲の警戒はクイーン達がしてくれているが、やはり普段見かけない動物がいるらしく狩りに行きたそうにしていた。


「クイーン、休憩するから狩りに行っても良いよ。」


「ウォフ!」

「「「ウォン!」」」


クイーンに声をかけると子狼達を連れて走っていった。どうやらまだ獲物を捕捉していたみたいだ。


洞窟への道のりは行きでは半日程で着いたが、帰りは赤ちゃんがいるので休憩を多く取ることにした。その為、おじいさんの家に着くのが遅くなればおじいさんの所で一泊する予定だ。

元々今回は一週間の予定だったので問題はない。



道中の採取、狩り、休憩をしつつ帰ると日が暮れる前に森を抜け、おじいさんの家に帰ることが出来た。

皆で家に入るとおばあさんはすぐに赤ちゃんに気付いて赤ちゃんの寝床を作ってくれた。


夜はおばあさんが食事を作ってくれた。

夜になると妹ちゃんとサクヤちゃんが赤ちゃんと一緒に寝ることになった。

明日は孤児院に帰るのでサクヤちゃんとはお別れだからだ。夜泣きが少し心配だが、洞窟内よりはましだろう。



次の日の朝、俺達は孤児院に帰ろうとしていた。

サクヤちゃんは赤ちゃんと離れるのが寂しくて泣いているけど、おじいさんが来週町に行くことを約束したら、なんとか泣き止んでくれた。


おじいさんの家から孤児院までは狼車を使えるので休憩を取らずに進むことが出来た。


「おう、お前ら無事に帰ってきたな!」


相変わらずいつもいる門番さんが声をかけてきた。そして、いつも通り俺達の確認をし荷台を確認すると動きを止めた。


「おい、荷台にいるのはなんだ?」


ああ、説明し忘れてた。


「えっと、新しい従魔なんだけど…」


「なんだ、また従魔を作ったのか?で、なんのモンスターだ?小さいのはわかるが…?」


「………えっと、ゴブリン…。」


「は?ゴブリンってあのゴブリンか?」


「多分そのゴブリン…。」


「はぁ…。で、なんでまたゴブリンを従魔にしたんだ?」


そこで俺は洞窟での出来事を話した。


「なるほどなぁ、ゴブリンの巣か。潰してくれたのはありがたいがゴブリンを従魔にするか?」


「じゃあ、あのゴブリンの赤ちゃんを取り上げられます?」


狼車の中では妹ちゃんが赤ちゃんを抱いてあやしている。


「俺には出来ませんよ?」


「あ~、俺にも無理だな。」



なんにせよ、赤ちゃんとは言えゴブリンなので問題あるかと思ったが、成長してもゴブリンだから大丈夫だろうと無事に町に入ることができた。



門を抜けるとまっすぐ孤児院に向かう。冒険者組とは途中で別れた方がいいのだが、留守番していた狼達を引き取るために孤児院に来てくれるようだ。


孤児院に着くと狼車に気づいた子達がこちらに集まってきた。


「「「ただいま!」」」


「おかえり~」「お疲れ様~」


あいさつを交わすと子供達の何人かは狼車の片付けを手伝ってくれた。

そうすると気付くわけだ、赤ちゃんに


「赤ちゃん?」「でも人間じゃない?」

「じゃあ、なんの赤ちゃん?」


見た目は赤ちゃんだが、あきらかに人ではないその姿に皆戸惑っていた。


「みんな、し~っ!なの!」


ざわざわし始めたので赤ちゃんが起きないように妹ちゃんが怒ってる。


俺は皆にゴブリンの赤ちゃんで従魔になったことを説明した。小さい子や女の子はわりかし好意的だったが、ゴブリンを倒したことのある子達は微妙な表情をしていた。


そうこうしていると建物から院長先生とシャルちゃんが出てきたので、赤ちゃんの話をすると無事に孤児院で世話する許可を貰えたのであった。

【HJネット小説大賞2018】受賞しました。

2019年書籍化です。

応援宜しくお願いします。

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