やっぱりフラグが立っていた
「ヒャッハー! おい、イイ姉ちゃん達がいるぞ!!」
すると、リアンの言う通り、盗賊達が馬に乗ってこちらに向かってやってくる。
「まさか、本当に来るなんて……」
ミーアは盗賊が本当に襲ってきた事に驚いている。
いや、それは俺も驚いたけど、聞いた話ではこういうのをフラグっていうらしいしな、事実はどんな物語よりも奇なりってのが相場らしい。
「いや、まぁ女性三人で無防備だからな。盗賊からしたら格好の獲物だ」
まぁフラグってのが全てではなく、こうやって美女が並んでいたら、良からぬ奴らにとっては格好の獲物だろうし、襲って来てもおかしくはない。
「いやいやタクト君! その格好だったら言葉遣いも女性らしくしてください!」
いやいや、今はそこが問題じゃないだろ。
まぁでも、そんな事言ってられるって事は気負いしてないって事だな。
「……ミーア、今そこは問題じゃない」
「えっ!?」
俺がツッコミたかったところをすかさずストレートにリアンがツッコむ。
今のはなかなかうまい間でのツッコミだったな。
最初はリアンも無口だったけど、こうやってツッコめるようになったってのは少なからず俺とミーアとは打ち解けて来たって事かな。
それは良い事だけど、今はこうやって思いふけるよりもやる事がある。
「確かにそうだな。でも、まぁそれはこれから善処する。それよりリアン、俺が合図したら精霊魔法で牽制してくれ」
「……分かった」
「いや、分かったじゃなくて!! あ〜!! もう!! とりあえずすぐに片付けます!」
俺がそういうとリアンは盗賊に向け手を出す。
そして、ミーアもそれに合わせて少し真剣になって盗賊を見据える。
「なんだなんだ!? 命乞いか!? 心配しなくても言う事を聞けばーー」
「今だ!!」
盗賊達が叫びながら近づいてきたところで、俺はリアンとミーアに合図を出す。
「な、なんだ!?」
すると、リアンの精霊魔法が盗賊達の馬を襲い、馬が暴れ出す。
詠唱もなく、発動された魔法によって、盗賊達は何が起きたか分からず、馬達も暴れてパニックになっている。
「行くぞ!」
そして、俺たちは盗賊がパニックになっている間に襲いかかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「これからどうするんですか?」
ミーアが返り討ちにしてのびた盗賊を前に問いかけてくる。
あれから俺たちは襲ってきた盗賊達を難なく返り討ちにした。
そして、意識を刈り取った上で、盗賊達の持っていた武器をリメイクして拘束している。
だが、こいつらはきっと末端で、本拠地にはもっとたくさんの盗賊……そして、ボスがいるだろう。
そいつらも捕まえない限りはあのおっちゃんとの約束は果たせたとは言えない。
「こいつらはきっと末端だ。だから、こいつらだけじゃ意味がない」
「それは分かりますけど……どうするんですか?」
「だから、こうする。リメイク!!」
そして、俺はリメイクを唱えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ボス、新しいの連れて来ました」
街から少し離れた山、そこの中腹にある崖下の洞窟の中にボスと呼ばれる盗賊のリーダーがいた。
そいつは岩の上にあぐらをかいて座り、槍を持っている。
「ほぅ、上玉じゃねぇか」
ボスはそう言うと、リアンとミーアを見て呟き、舐めるように全身を見ている。
「へい! そりゃ苦労しましたから」
「そうか……でも、どうやって格上の相手を捕らえて連れて来れたんだ? それも一人《・・》で」
ボスはそう言うと、俺の方を疑うように見る。
「ちっ、バレちゃあしょうがないな。リメイク!」
バレたらしょうがないと思い、俺はリメイクを唱えて盗賊の姿から自分の姿に戻った。




