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いざ、敵討ちへ

「さて、行くか!」


 俺は意気揚々と、ミーアとリアンを連れて酒場で会ったおっちゃんの家族の敵討ちをする為に、街から出て歩き出す。


「……うん」


 そして、俺の掛け声に続いてリアンが返事をして、勢いこのまま盗賊退治へーー。


「さて行くか、うん……じゃないですよ!! 盗賊退治に行くのはともかく、その姿は何なんなんですか!?」


 勢いそのままに、意気揚々と歩き盗賊退治に向おうとする俺の後ろで、ミーアは叫ぶ。

 

「だって、油断させるにはこうする方がいいだろ?」


 俺は盗賊退治に行くに際して、盗賊を油断させる為、襲われやすくする為にリメイクで女性に変身した。

 見た目はこの前の、リアン流に言うなら『クーちゃん』ってところだ。


 もちろん好き好んで女装……女体化している訳ではない。

 あくまで目的を達成する為だ。


「それはそうですけど……なんでそんな胸を大きくするんです!?」


 そう言われて俺は自分の胸を見る。


「見ちゃダメです!!」


 怒られた。


「いやいや、仕方ないだろ? 最初になった時がこうだったんだから、こうイメージしてしまうんだ」


 リメイクするにはイメージが大事だ。

 でも、そのイメージの元になっているのが、ミーア……なんてのは口が裂けても言えない。



「……羨ましい」


「羨ましいじゃないですよリアンちゃん!! この人は変態です! ケダモノです! 女の敵です!!」



 ミーアは顔を赤くして怒りまくっている。

 そんな女の敵と言われるのは納得出来ないんだけどな。

 どちらかというと俺は女の味方だ。


 でも、今そんな事を言ったら余計にミーアが怒鳴りそうな気がする。


「いいから行くぞ」


 そう言って俺は歩き出す。

 すると、後ろからミーアが「ちょ、ちょっと! ガニ股じゃなくて、歩き方気をつけてください!!」と叫んでいた。

 女ってのはなかなか面倒なものだ。


 そんな事を思いながら、俺はミーアの言葉に従った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「なかなか来ないな」


 俺たちは街を離れ、ぶらぶらと三人で歩く。

 街から結構離れたが、未だに盗賊は来ない。


「そりゃ都合良く襲ってくるとは限らないですよ〜」


 ミーアは欠伸をしながら口を手で塞ぎ、俺の言葉に答える。

 こいつ、完全に油断してるな。



「ミーア、いくらなんでも油断し過ぎじゃないか?」


「そんな事言ったって、全然盗賊が現れる気配がーー」



 いやいや、そういうやりとりをフラグとかって聞いた気がーー。



「……来た」


「えぇ!?」


 俺とミーアがフラグを立てるような事を言っていると、馬の足音が聞こえて来て、リアンがそれを証明するように言葉を発した。

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