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病の原因

「……」


「ほら、どうした? これでも飲んで落ち着いて話そうぜ?」


 俺はそう言って男に水が入ったコップを出すが、男は受け取らず何も言わない。


「そんな警戒すんなよ。さっき井戸で汲んできた新鮮な水だからさ?」


「……なんで分かった?」


 すると、男はどうしようもないと思ったのか俺に聞いてくる。


「何がだ?」


「ふん、下手な芝居を……良いだろう。なぜ私が井戸に毒を入れたのが分かったと聞いているのだ」


 商人は自分のした事を隠さずに、そう言って鋭い視線を俺に向ける。

 後ろでは男の言葉に村の人達が商人達に罵声を浴びせているが、商人達は微動だにしない。


「まぁ分かったのは俺と一緒に行動してる奴の中に、水も野菜も食べない奴がいてな。俺が村人みんなを治した翌日に俺を含め、そいつ以外の人が体調悪くなってな。それでピーンと来たんだよ」


 体調を崩した俺達とミーアの違いはここの村の水を摂取したかどうかだ。

 ミーアは夕食の時、水も摂らずに肉ばかり食べていて、水を飲んだのは部屋を移って持参した水を飲んだだけで、ここの水を摂取していない。


 それに比べ、俺やリアン、他の人達は野菜のスープや水を飲んだりした。

 あと、パンもこの村で手作りしていると聞いたからそこにも水が使われている。


 それで、ミーアを除く俺達は体調を崩した。

 なんせ、村には中心に共同の井戸が一つあるだけだから。


 それで、水が原因の可能性を考えて調べると、やはり水が原因だった。

 そして、村人に話を聞くとみんなが体調を崩す直前に解毒ポーションを売りに来る商人が村に寄ったらしい。

 それで、症状が出始めた時に、商人が行商にやってきて、それ以降、定期的に解毒ポーションを仕入れてくるようになったようだ。


 それを聞いて俺は商人が黒幕だと確信した。


 それで、井戸の水をリペアしようとしたけど、商人の毒が強力なのか、毎回ここに来る度に混入したのか分からないが、リペア出来ないくらいになっていたので、俺はもしやと思い、リカバリーを使い水を初期化した。

 リカバリーはこういう使い方もできる。


 ちなみに、リアンの症状が強く出たのは、つい昨日まで奴隷だったし、栄養が取れてなくて身体が弱くて症状が強く出たのだろう。

 その辺に気を配れてなかったのは反省点だ。


「そうか、まさか水を摂らない奴がいるなんてな」


「えへん! ミーアのおかげです!」


 そう言ってミーアは胸を張るが、そこは威張るところじゃないと思う。

 それより……。


「悪事がばれたってのに、余裕なんだな」


「ん? あぁ、絞る取るだけ絞り取ろうとしてたんだけどな。まぁいい。どうせそろそろ終わりだと思ってたところだ。ちょうどいい」


 商人がそう言うと後ろの護衛二人が剣を構えた。


「おいおい、なんだ? 元々みんな殺すつもりだったってのか?」


「いや、殺すつもりはなかったんたけどな。でも、まぁそろそろこの村は金が尽きかけていたし、毒で死ぬか、口封じに殺されるかって違いだけだ。……殺れ!!」


 商人がそう言うと護衛二人が駆け出した。


「リアンは村のみんなを! ミーア行くぞ! クイック!!」


「了解」


「了解です! 行きますよ!」


 俺の声と同時にミーアが瞬時に双剣を構え男達と肉薄する。

 俺もミーアに負けじと、もう一人の男に向かう。


「武器もないくせに舐めやがって!!」


 護衛の男は俺に向かって剣を振るう。


「別に舐めてないって!」


 俺はクイックであげたスピードで軽々と男の剣を躱す。

 男の剣筋を見る限り、素人目からしてもなかなかのものだと思う。

 しかし、俺にとっては問題ない。


「おまえ如き武器なくても充分! リメイク!」


「な、なんだ!?」


 俺は避けざまに剣に触れ、剣をリメイクして手錠にする。

 

「まぁ、手品みたいなものだ。リカバリー!」


 そして、この前のように男の素質を初期化して、首に衝撃を与えて気絶させる。


「いや、本当タクト君の魔法は反則ですね!」


「いや、ミーアこそ、素でそれだけ余裕って反則だろ」


 俺は素質をリメイクで作り直して、最高の補助魔法でスピードを上げて戦ったというのに、ミーアは俺と同じくして男の意識を刈り取って無力化していた。


「えへん! 炎狼族は強いんです!」


 そう言ってミーアは威張る。

 もし、ミーアと付き合えたとして、ミーアを怒らせた場合、俺は生きていられるのだろうか?


「って、それより」


 俺は気をとり直して商人に向き直る。

 商人は忌々しげに俺達を睨んでいた。


「で、どうする? 自慢の護衛もこの通りだぞ?」


「くっ、調子に乗りやがって……俺を甘く見るな」


 なんだ?

 この追い込まれた状況でこの余裕は……まさか!?


「俺を見くびるな! ストーン・ニードル!!」


 すると、予想外の事に商人は魔法を使い、無数の岩の針が宙を舞って俺やミーア、そして、後ろの村人たちの方へと向かってきた。


「……させない」


 それを見たリアンがすぐさま精霊魔法を使い、俺達の前に風を巻き起こす。

 すると、商人が放ったストーン・ニードルは風に巻き上げられた。


「なに!?」


 商人は自分の魔法が無効化された事に驚く。


「観念しろ!!」


「ぐおっ!」


 商人が驚いている間に俺は詰め寄り、頬に一撃を食らわした。

 そして、俺は男達に告げる。


「さて、おまえ達はもう終わりだ!」

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