表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/23

病の調査

「具合はどうですか?」


 起きた俺達は部屋から出て、昨日御飯を食べた部屋に向かった。

 そして、先に起きていた男に声をかける。


「えぇ、だいぶマシです。昨日は完全に治ったと思いましたが、そうはいきませんね」


「そうですか……奥さんや子供さんはどうですか?」


「妻や娘はおかげさまで動けるようになりました。まだ、少し身体がだるいようですが……タクトさんが仰る通り、体力が落ちているんでしょう。でも、動けるくらいなんで、今は久しぶりに外に出てますよ。ささ、どうぞ朝ごはんを」


 どうやらこの人達もまだ完調ではないみたいだ。

 ひとつの可能性として、俺達に毒を盛ったのかと疑ってもいたけど、そういう訳では無さそうだ。

 一応そういう可能性もありえるという事でミーアとリアンにはその事を伝え、様子を見るように言ってある。

 でも、その可能性は無さそうだと二人に視線を送ると二人とも頷く。


「あっ、いえ、昨日いっぱい食べたんで良いです。それに、昨日言った通りこの病の原因も調べてみたいんで。あまり長居も出来ませんし。あっ、あとまたあとで皆さんに回復魔法かけますから言っておいてください。ほら、行くぞ!」


「了解」

「えっ? いや、私は……ごはんーーっ!!」


 俺はごはんを食べようとしていたミーアの首根っこを掴んで家を後にする。

 

 リペアで回復するとは言え、村人全員が病にかかるなんてのは普通じゃないと思った俺はこれ以上被害が広がらないようにこの原因を調べる為に許可を得ていた。

 そして、俺とリアンもかかった以上、ほっておく訳には行かない。


◇◆◇◆◇◆


「さて、調査をするか」


「はい、タクト君」


 俺達は家を出ると、村の中心まで出てきた。

 すると、昨日とは違い、今日は人の姿も見える。

 しかし、どこかまだ本調子ではないような様子だ。


「でも、タクト君どこを調べるの?」


「それが問題なんだよな〜」


 俺達が奴隷商人と出会った街とここは歩いて半日の距離だが、街にはそう言った病が流行っているとは聞いてなかった。

 

「……いつまで拗ねているんだ?」


 外に出て以降、ぶつぶつと言っているミーアに声をかける。


「だってタクト君のせいで朝ごはん食べ損ねたから当然でしょ!?」


「昨日あんだけ肉ばっかり食ってたから一食くらい良いだろ? それに一応警戒して朝ごはんやめておくって言ってただろ?」


 一応、俺達が泊まった家の男も家族も調子は完調ではないと言っていたが、まだ男の口から聞いただけで、毒を盛られた可能性もゼロではないから朝食を食べずに出てきた。

 でも、外に出るとみんな昨日は本調子に戻ったみたいだったけど、今は本調子じゃないように見える事から男の言う事は本当なのだろう。


「うぅ〜……そうは言ってましたけど、別にみんな体調悪いなら御飯が悪い訳じゃないですか。私、昨日お肉ばっかりだったからせっかく作ってくれたんだし、野菜も食べようと思ったのにぃ〜」


「それは昨日肉ばっかり食べたミーアが悪い」


「いや、私は昨日はお肉、今日は野菜食べようと思ってたんですよ! ちゃんとバランス考えているんです! それに私は昨日ちゃんとお肉で元気つけたから体調も良いんです! タクト君とリアンちゃんこそたゃんとお肉食べないといけないですよ!」


 そう言ってミーアは胸を張る。

 いや、肉ばっかり食べたからって病にかからないって訳じゃないだろう。

 それに、昨日のミーアみたいに肉ばっかり食べるのは……ん?

 肉ばっかり?

 そう言えば昨日、ミーアは肉ばっかり食べていた。

 それに対して俺やリアン、村の人達は……。


「もしかして……」


「タクト君、どうしたの?」


「リアン、ミーアもちょっと調べたい事がある! 行くぞ!!」


 俺に尋ねて来たリアンに言葉を返すと俺は村の中心に歩き出した。

 後ろではミーアが「えっ? なに!? ちょっと待ってくださいよ!」と言っているのが聞こえた。


◇◆◇◆◇◆


「皆さんこんにちは! 具合はどうですか? 解毒のポーションを入荷してきましたよ!」


 村に聞き慣れない声が響く。


「あぁ、おかげさまで元気だよ」


 その声を聞いた俺はお世話になっている家から出て答える。

 そして、俺に続いてミーア、リアンも出てくる。


「……誰ですか? あなたは?」


 すると、俺を見て男は怪訝そうな顔をする。

 その男だけじゃない。

 男の後ろに控えている護衛だろう男達も俺を見て怪訝そうな顔をした。


「通りすがりの新人冒険者ってところだな」


「……そうですか。なぜあなたが答えているのか分かりませんが、私は苦しんでいる村の人達に解毒ポーションを届けに来たのです」


「あぁ、言い忘れてた。俺だけじゃなくて村の人達もみんな元気だから。なぁ! みんな?」


 俺は振り向いて大きな声で言うと村の人達が出てきた。


「なぜ……どういう……」


「まぁそんな驚くなって。とりあえず落ち着いて話そうぜ?」


 そう言って俺はあるものを差し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ