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戦いが終わった後

 俺はそのままリアンの元へと歩く。

 リアンは警戒するかと思ったけど、無防備のまま立ち尽くしている。


 そして、俺はそのまま近づき手を向ける。


「リペア!!」


 リペアを唱えると、リアンの服と身体の傷が治っていく。


「……なんで?」


 俺がした事を黙って受け入れたリアンは口を開く。



「なんでって傷ついている人がいたら助けるのが当然だろ?」


「……そんなの偽善」


「んー……まぁそうかもそれないな。世の中そんなに甘くない」


「じゃあーー」


「でも、俺は修復魔法使いだから!!」



 そう言って俺はビシッと親指を立てる。

 困った人がいたら助ける……なんでそれをするのかは分からない。

 ミーアの時も自然と身体が動いて助けていた。


 なんでだろうか……もしかすると、今まで俺が助けて欲しかったからかもしれない。

 孤児院ではいろんな人に助けられていたけど、やはり心の中では我慢している事があった、寂しい事があった、遠慮している事があった……中には俺達孤児に責任をなすり付ける奴もいた、それでも俺達を信じてくれない大人が多かった……辛い、悔しい……そんな感情を出せない自分を助けて欲しかったのかもしれない。


 だから、俺は困っている人を見過ごせないし、悪い奴は嫌悪するのかもしれない。


「まぁ信じたくなければ信じなくていい。無理強いはしない。俺は助けたからと言って何も求めないから」


 俺は修復魔法で強くなった。

 それのおかげで人を助ける事が出来るようになった、いろんなものを直せるようになった。


 でも、人の心はそう簡単に直せない。


 リアンは今までいろいろあっただろう、人間に酷い目に遭わされただろう、それをいきなり出てきた男のやった事、言う事を信じるなんて出来ないと思う。

 だから、ただこれからリアンが自由に生きて自分の望む人生を送れたらいいなと思う。


「……そんなの嘘」


「そうです! 嘘です! リアンちゃん、騙されてはいけません!!」


「なっ!?」


 俺が真面目に格好良い事を言っていると、ミーアが入ってきた。


「タクト君は詐欺師で金の亡者でケダモノなんですよっ!! 私なんてお腹が減って倒れていたところ、服を直してもらって、ちょっと食べ物もらっただけで金貨一枚ですよ!? 挙げ句の果てにはリペア一回銀貨一枚でって言い出すんですよ!?」


「おいミーア!? 何言ってるんだ!?」


「本当の事じゃないですか!!」


「まぁそうだけど、その言い方だと誤解を招くだろ!? 俺は魔物がいつ現れてもおかしくないような危険な場所に倒れていたところを助けて、ちょっとって言う程の量じゃないくらい食べたじゃないか!! それにリペアだって、当たり前のように言ったからだ!」


「うっ……でもでも! タクト君なんて『借金は身体で払ってもいい』なんて言ったじゃないですか! ケダモノッ!!」


「あれも冗談だ!!」


「冗談に聞こえません! リアンちゃん? タクト君はこんな人だから気をつけた方がいいですよ?」


「だから、誤解を招く言い方をするな!!」


「だから、誤解じゃなくて本当の事じゃないですか!!」


 そうして、俺とミーアはリアンをよそに言い合いを続ける。

 くそ、ミーアの奴、俺が格好良く決めたところを……。


 ふと、リアンの方を向くと、無表情だったリアンの口元が微かに緩んでいた。

 まさか、俺とミーアのやりとりを見て笑っているのだろうか?


 ……これは悔しいけど、ミーアのおかげか。

 修復魔法は素質とか物質は直せても心までは修復できない。

 俺が修復出来ないものをミーアとのやりとりで少しでも直せるならそれはそれで良いか。


 俺はしばらくそのままミーアとの言い争いを続けた。

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