第17話 山の中
「養って頂けるのは魅力的なのですが……私も妹と世界を旅したいので」
「そうなの?残念。その力だけでもお金稼げそうなのに」
「お金……そうですね生きて行くには必要ですからね」
「そうよ。魔獣の肉なんて食べなくてもいい生活が出来るのよ」
「あれは違います。命を頂いたからその分無駄にしたくないだけです」
「でもね、多分生きていたら近くの人が襲われたわ。私の友人もね……魔獣は敵なのよ」
「そうなのですか」
「ごめんね、こんな話して。でも私は魔獣が憎いのよ。だから倒してくれた貴方には感謝してるのよ……」
「ありがとう」
風呂から上がり外に出えてもお姉さんと話していた。
「そうだ、どうやって切ったの?その刀本当に重いの?」
「まあ普通に持ち歩くものでは無いですね」
「ちょっと持ってみて良い?」
「怪我しないで下さいね」
「ありがとうって……重っ!……手を離さないでね。これ無理私では持ち上げれない」
「では戻しますね」
「それ自分より重くない?どうやって持ってるの?何処で作ったの?」
「秘密です」
「いい性格してるね。気に入ったわ……というよりどう考えても私より強いよね」
「強いのでしょうか?客観的に見てそう思います?」
「難しい事言うね。貴女が弱いならここの皆が弱いわ」
「そうなのですか。ではこれからは少し自信を持ちます」
「何で自信ない人が魔獣を倒せるのよ?」
「なんでって、そこに居たから。御者さんと妹を守るためよ」
「……そう。でも本来は魔獣を見付けたら誰かに伝えて。一人で向かったら貴方が負けたら終わりだから。かたきも討てないから」
「分かりました先輩」
「そういう素直なとこ好きよ。疲れたらいつでもお姉さんの所においで」
「帰るところがまた一つ増えたわ、サザンカ」
「良かったですねお姉様」
色々有ってもう既に良い時間になった。
「そう言えば御者さん帰ったのかな?まだ御礼言ってないのに」
「そうですね。私達がお風呂上がっ手出て来た時には既に見かけませんでしたよ」
「サザンカそこまで見てたの?」
「はい」
「あれ?何か馬車の音がしない?」
「どこですか?お姉様ってどんな目や耳してるのですか?」
「これよ」
「いやあの、別に指で指さなくても、見たいわけではないのですがお姉様」
「ほらあれ、馬車じゃない?」
「今気付きました」
「とりあえず今日どこに泊まるのか考えないとねサザンカ」
「そうですね」
馬車が私の前に来た……
「ツバキ、お客さんだ」
「お客様?」
「会いたいって」
「私に?」
「初めまして。この山の中の代表だ」
「貴族の方ですか?」
「そんな警戒しないでくれ。貴族は貴族だが騎士爵だし、この馬車見てもわかる通り金もない」
「確かに貴族が乗る馬車では無いな俺は愛着が有るが」
「ごめんなさい。貴族にあまりいい思い出がないので」
「それは気にしないでくれ。この国は貴族と平民の距離が近い。まあ貴族ってだけで偉そうなやつも居るがな、儂はそう言うやつは嫌いだ」
「本題話さなくていいのか?」
「そうだった。今日泊るところあるか?それと谷の上に行きたいそうだな?明日行くのだがお礼を兼ねて一緒に行かないか?」
「御礼ですか?」
「そうだ。魔獣を倒してくれたらしいな。この街を救ってくれたんだ礼は当然だろ」
「そう……なんですか?」
「ギルドまで見に行ってもいいか?」
「ではギルド方面に戻られる方達も一緒で良いですか?」
「当然だ」
「あとで請求しますよ」
「かまわん。死者が出なかったのは奇跡だ。今日位金を使っても怒られないだろう」
「冗談だって。付き合い長いのだしな」
「いつも悪いな」
「納税額を減らしてくれたら助かるが」
「それは俺が助からん」
「仲いいのですね」
「まあ長い付き合いだ。ここの馬車使わないとこいつ商売下手だから破産しそうでな」
「そこまでではないだろ」
その後ギルドに行き、魔獣を見た代表が驚き、残った肉を切って代表の家に泊めてもらう事になった。
「ここは建物は古いが部屋は多い。好きな所を使ってくれ」
「ありがとうございます。調理場って借りられますか?」
「良いが何をする?」
「肉を調理したくて」
「先程の魔獣か?そうだな魔獣の肉は処理が必要だからな。使ってくれ」
肉の中から魔力を抜いて……切って焼いて食べる。
「おいしい」
「お姉様、魔獣の肉を今食べませんでした?」
「食べたよ」
「食べたよでは……気分は悪くありませんか?お腹が痛くは?」
「大丈夫!普通においしい」
「普通に食べては駄目なやつです」
「魔力がダメなら、魔力を抜けば、いいじゃない?」
「そう言う事ですか。では私も食べて大丈夫ですね」
「大丈夫よ。鑑定した結果も異状ない。でも少し不安」
「鑑定って……ではいただきます」
「おいしいですね。何も起こりませんし」
「でしょ?」
「なんかいい匂いがしてきたが……何を食っているんだ?」
「先程の魔獣を私達秘伝の方法で加工し焼きました。美味しいですよ」
「魔獣が……食えるのか?」
「私たち姉妹が先ほどから食べてます」
「では儂も頂けるか?」
「疑わないのですか?」
「儂に危害加える気ならもう生きてないだろ。あの魔獣を倒せるのならね」
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。




