第11話 自分の価値
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久々の連載なので嬉しいです
何故か気が合う二人……
「美少女。なるほど確かに整った顔をされている。そしてなぜ気付かなかったんだ黒目に黒髪。我が家に伝わる勇者様の特徴ではないか」
「ごめん。やめて、美少女はちょっとした冗談だったのよ。何か畏まった雰囲気だったから重い空気は嫌いなの」
「意地悪をする気はないが、本当に勇者だと公表しないでいいのか?正直生活には困らないぞ」
「でもどうやって証明するんですか?私勇者です!って言って信じて貰えると?それに実はこの国を離れたい理由が他にもあるのです」
「お聞きしても?」
「その前に敬語やめてもらっても?そうですね先生の為にならないと思うので少し濁しますが、私はある貴族家の令嬢として生まれました。でも母が亡くなると新しい継母が来て子供が出来ました。その子供がかわいいらしく私が邪魔になり食事も与えられなくなったのです。生きる為勝手に家の名を捨てて逃げ出しました」
「すまない。そんな理由があるとは思わなかった。そうか、今勇者だとなったらその貴族が……」
「そうです、自分の功績とするでしょう。親の発言と子供の発言どちらが信じられるか分かりませんしあの家のために働くくらいなら貴族の称号なんてものは不要なんです」
「そんな家なら捨てたくなるか。あまり知られてないだけで貴族の家では暗殺とか有ると聞く。こういう時平民で良かったのかもな」
「そうですよ。出る杭になる必要はないのです。普通が一番。でも普通っでいるって結構難しいですよね」
「そうか?」
「努力しなくては普通にもなれないですよね。でもしすぎてもだめ適度ってどこなのかな?」
「普通の定義か」
「だから今子供なんで助かってる。子供だから無知でも許される部分ってあるから。でも別に人を傷つけたりはしないわ。必要にならなければ」
「そうだな確かに急に勇者だとか言われても困るよな」
「そうよ。それは過去の勇者に似ているというだけで私を見てないわ。私自身が何かした結果と言うなら甘んじて納得できるけどね」
「10歳の設定を忘れ始めているぞ」
「設定って言わないで。でもそうね。熱くなってしまったわ」
「まあ明日から3人で勉強していきましょうか」
「よろしくお願いいたします。先生」
次の日から私たち姉妹の勉強が始まった。
「今日から成人までここで色々教える予定のユートだ。サザンカさんは今日からだったな。よろしく」
「サザンカです。宜しくお願いします。さんとかは不要です」
「ではサザンカ。敬語はやめよう」
「え?」
「庶民の姉妹で敬語で話してたらその方が目立つ……なんだツバキ不服そうな顔して」
「わかりまし……わかった。敬語やめる」
「発言よろしいですか?」
「何だツバキ」
「あの先程成人までと言いませんでしたか?」
「言ったし男爵からはそう聞いてるが」
「12歳」
「何がだ?」
「この国を出る予定です」
「そんなに早く?どうやって生活する」
「冒険者の見習いになれると聞いて」
「確かにそうだがあれは報酬安いぞ」
「大丈夫です。食料は自分で探しますし」
「儂なに教えたら良いの?いや違うせめて14歳までは教育を受けてくれ」
「何か有るんですか?」
「いや……な。男爵に折角孫に会えたのだから出来るだけ家に留まるようにとなお願いされてな」
「そうですか。直接言ってくれたらいいのに。大丈夫ですよそのうちすぐに戻れるようになりますから」
「あのな、君の元の世界は知らんが国境なんて簡単には越えられないのだよ」
「大丈夫ですよ多分」
「何か有るのか」
「転移魔法で」
「「はい?」」
「では先生の後ろに”転移”」
「こんな感じです」
「後ろから聞こえる?いやツバキよこれは非常識も甚だしい」
「非常識ですか?では常識とか法律に転移魔法の使用を禁ずるとか有ります?」
「いやないよ。というか転移魔法って何?だからな」
「ではモラルの問題として転移魔法で他人の部屋とかに行かない限り迷惑かけませんよね?私悪くないよね?」
「悪くはないが誰かに見られたら大変だぞ」
「知られなければ何の罪にもなりませんよね?ただしまだ5mほどが最大の移動距離なんです」
「まだと言う事は増えるのか?」
「はい。増えます」
「何でこんな魔法を知った?」
「まあ魔法はイメージです」
「儂にも使えるか?最近階段が辛くてな。もう先生変わってくれ。儂が魔法教えて欲しいよ」
「私の授業は高いですよ」
「出世払いで」
「あら?払って頂けるのですか?」
「払い終わる前には別世界に逃げてるから大丈夫だ」
「簡単には逝かせませんよ」
「怖いよ」
「冗談です。魔法を教えられるかもわかりませんし。でも本気で長生きしてくださいね。せっかく出会えたのだし」
「ツバキきはずるいな。君の為にこの老体はこの世界に長く留まる事にするよ」
「長生きしてくださったら若返りの魔法も出来るかも」
「そうなったら世界中の人間を味方にできそうだな」
「大儲けね」
「多分そんな次元の話じゃないぞ」
「大儲けして別荘作ったら一部屋進呈するので旅行しましょう。でも一番はお爺様にお金を返さないと」
「男爵に借りているのか?」
「直接ではないけどね。ユートさんのお給金もそうですし」
「それは孫なのですから返す必要は」
「そうね。でも私は貴族を捨てた身よ。本来なら扶養義務もないわ。恩義には何か返したいのよ。それは自己満足だと思われてもね。家族を捨てる親も居るのよ。良い人が損するのが常識って悲しいじゃない?」
「損とは思ってないでしょうあの方は」
「でも貴族なのだからお金が有れば領民にも還元できるじゃない。政治の事は知らないけどね」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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