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いっぱい仲良くなりました!

なぜか、テオさんに手を引かれ、学校の中を案内されている。


お姉ちゃんが通うことになる学校は、宮殿の近くにあった。

学校とは言わず、学術殿(がくじゅつでん)というそうだ。

その学術殿にもランクがあって、一番上が最上(さいじょう)学術殿、次が一等学術殿、二等学術殿とある。

中学、高校、大学みたいな感じかな?


最上学術殿はガシェ王国の学院と一緒で、国がお金を出していて、身分に関係なく、能力が認められれば入学できる。

ただし、完全推薦制らしい。

一等学術殿の学長や皇族、高位貴族の推薦がない限り、入学は認められない。

というのを、お姉ちゃんに教えてもらった。


でだ、お姉ちゃんを待っている間、テオさんが学術殿を案内してくれるというのでお願いしたのだ。

しかし、手を繋ぐ必要はあるのだろうか?


「テオ様、あれはなんですか?」


目の前に現れたのは、巨大なドーム。

透明な膜のようなもので覆われていて、ビニールハウスに似ていなくもない。


「温室だな。カイディーテ様の力をお借りして、珍しい植物を育てている」


温室だと!?

嫌な記憶が蘇る。

王立魔術研究所の特別な温室。

ここよりも小さいが、中には肉食系の植物がうようよしていた。

見た目からして気色悪いんだよ。


テオさんが温室の扉を開けると、暖かい空気がまとわりついてきた。

でも、湿度の高い嫌な暑さではなく、カラッとした暑さだ。


「わぁーすごい!!」


温室の中は、見たこともない色とりどりの植物であふれていた。

南国らしいハイビスカスっぽい花もあれば、毒々しい紫のヒマワリっぽい大きな花も。


「これは見事ですね」


「あ、果物がなっていますよ」


パウルとスピカも、温室の凄さに驚いている。

森鬼はしゃがみ込んで、動こうとしない。


「森鬼、どうしたの?」


「見たことのない虫だ」


森鬼の足元を見てみると、なんとも奇妙な虫がいた。

ぱっと見、アリに似ているのだが、腹の部分に大きなキノコが生えている。

アリの部分は2センチくらいなので、アリとしては大きすぎる。

キノコの部分も2センチくらい。見た目は有名なお菓子にそっくりなので、ちょっと美味しそう。


「ヤドリガサという、寄生植物だ」


テオさんがそう言い、寄生植物とやらから視線が離れた一瞬だった。

私の頭に隠れていたグラーティアが飛び出した。

頭の違和感に、すぐにグラーティアを視界に捉えると、寄生植物に牙を深く突き刺しているところだった。


「グラーティア!?」


これには森鬼もテオさんも、もちろん私も驚いた。


毒でも注入したのか、牙を離したグラーティアはいそいそとキノコに向かい、キノコを抱え込むようにして食べた。

牙を器用に使い、キノコの傘を噛み切り、はむはむと凄い勢いで食べ尽くしていく。

キノコの部分がなくなると、今度はアリの部分に取りかかる。


「……グラーティア?」


アリの部分も綺麗になくなり、食べ終わったあとの顔回りや前脚の掃除を始めたグラーティアに声をかける。

グラーティアは美味しかった!とでも言うように、上機嫌で牙を鳴らした。


「テオ様ごめんなさい」


寄生植物と言っていたので、あれも温室で育てていたものと思われる。

それをグラーティアが勝手に食べてしまったのだ。


「いや、フローズンスパイダーもヤドリガサを食べるのだな」


無表情のまま、なぜか感心しているようだ。


「ヤドリガサは南の乾燥した地域に生息している。フレイムスパイダーの大好物だというのは有名な話だ」


フレイムスパイダーっていうのは、フローズンスパイダーの近縁種だ。

寒い地域に生息するフローズンスパイダーに対して、フレイムスパイダーは乾燥した暑い地域に生息している。

フレイムスパイダーを退治するときは、ヤドリガサを使っておびき出すのが一番だと言われているほど、食いつきがいいのだとか。

近縁種が大好物なのだから、フローズンスパイダーが大好物でも不思議ではないということか。


「グラーティア、かってに食べたらダメだよ」


本能的なものかもしれないが、グラーティアにダメだと言いきかせる。

不満そうに牙を鳴らすグラーティア。


「食べたいときは私に言うこと。毎回は無理だろうけど、食べさせてあげるから」


そう言うと納得したようで、大人しく頭の中に入っていった。

グラーティアのために、ヤドリガサの育て方を勉強しておこうかね。


「ヤドリガサを用意しておこう」


テオさんの厚意に甘え、ヤドリガサをもらえることになった。

ついでに育て方も専門家に教えてもらえることになった。

お家に帰っても、日光室で育てられるだろう。


温室をあとにして、次に向かったのがなんだか既視感のある場所だった。


「ここは…?」


「ネマが好きそうだと思って」


テオさんともだいぶ仲良くなれたと思ったので、様付けをやめてもらった。

いつまでも大国の皇子に様付けされるのは、こう据わりが悪い。


竜舎に似た雰囲気の場所で、リンドブルムに似た生き物もいた。


「彼らはライナス帝国軍飛竜兵団の退役兵士たちだ」


竜舎のリンドブルムの中で、一番大きなギゼルよりもさらに大きい。

リンドブルムはワニやトカゲといった爬虫類に似た顔つきだけど、こちらはソルに近いドラゴンタイプ。

ゴツゴツした印象だけど、尻尾の先には大きな棘があって、あれで薙ぎ払われたらひとたまりもない。


「ワイバーンですか?」


パウルの質問に、テオさんがそうだと答える。

森鬼は平然としているが、スピカは耳がぺたんこになっている。

ライナス帝国が大陸一と言われるのは、何も面積の大きさだけではない。

我が国の竜騎部隊よりも強いと言われる、この飛竜兵団を筆頭とする軍事力もだ。


「怪我や体力的な理由で、軍にいれなくなったワイバーンたちはここで生活している」


「どうしてがくじゅつでんで?」


退役したのなら、もっと自然の多いところで、のびのびさせてあげればいいのにと思った。


「彼らがそう望んだと聞いている。学術殿側としては、この国を守ってきたワイバーンに恥じぬ行いをせよという、学生たちへの戒めの意味もあるらしい」


ほうほう。

こっちだと連れていかれた先には、のんびりと寛ぐワイバーンたちがいた。

テオさんが言うには、退役と同時に真名での契約もなくなっているので、逃げることも可能なのに、みんなここにいるんだって。

まぁ、安全な寝床とご飯があるからじゃないかな?


「ここの長をしてくれているカルスだ」


一匹のワイバーンを紹介された。

ワイバーンは寝そべっていて、こちらを見ようともしない。


「カルス、私はネマっていうの。よろしくね」


うっそりとまぶたを開けたカルスは、何度か瞬きをして、クワッと大きな口を開けて咆哮した。

ビリビリとした空気が襲ってきたが、竜玉(オーブ)によって変換された言葉が聞こえた。


-炎竜殿の気配…竜の娘か!?


ギゼルにも言われたことがあるね、竜の娘って。


「ソルの竜玉持ってるよ」


-よくぞ来られた。歓迎しよう。


ソルの威光によって、あっさりと受け入れてもらえたよ。

ソル様々だな。


カルスは大きく伸びをすると、立ち上がり、何度か翼を羽ばたかせる。

強い風で飛ばされそうになるも、パウルが支えてくれた。


「カルス、さわってもいい?」


-背に乗るといい。


触るどころか乗せてくれると!

カルスは再び寝そべった。

ただ、その大きな体に乗るのが大変で、滑落防止も兼ねて、森鬼と一緒に乗ることになった。

森鬼は私を抱っこすると、素晴らしいジャンプでカルスの背中に飛び乗る。

私と森鬼がしっかり座ったのを確認すると、カルスはゆっくりと立ち上がった。


「おぉぉ!」


カルスが歩くと、ズンズンと衝撃が伝わってくる。

なんだか、恐竜に乗っている気分だ。

…似たようなものか。

触り心地は、鱗なのにザラッとしている。

よく見てみると、鱗自体がヤスリのようにギザギザしている。

だけど、私と森鬼が座っている部分の鱗はスベスベになっているのが不思議だ。


カルスとの散歩を楽しんでいると、他のワイバーンたちが話しかけてくれた。


-竜の娘御か。長生きするもんだな。

-小さくてめんこいのぉ。

-いつでもおいで。


と、竜舎の子たちに比べると、しゃべり方が年寄りっぽい。

そういえば、ソルもよく古い言葉を使うね。


ワイバーンたちはみんな、動き回るよりものんびりお昼寝したり、日向ぼっこしている方が多かった。

二匹ほど、どこかに飛んでいくのを見かけたけど、カルス曰く空のお散歩らしい。

いいなぁって思ったが、カルスに乗る前に飛ぶのはダメだと、パウルに言われているので今日は諦めるしかない。


お散歩を終えて、テオさんたちの元へ戻ると、お姉ちゃんとルイさんがいた。


「おねえ様、しけんはどうだった?」


「もちろん、全力で楽しませていただいたわよ!」


…あれ?

筆記じゃなかったの?実技で魔法をぶっ放すやつだったの?


「カーナディア様はお噂に(たが)わぬ実力だった。いいものを見せてもらったよ」


「ありがとうございます。それと、カーナとお呼びくださいませ。わたくしも、ルイ様と呼ばせていただきたく」


「好きなように呼んでもらって構わないよ、カーナ」


むむ。

何やらいい雰囲気だな。

私がいない間に、何があったんだ!?

テオさんも二人の雰囲気に驚いている。

珍しく表情が動くくらい驚いている!

宮殿に戻るときも、ルイさんは上品にお姉ちゃんをエスコートしていた。

これは、ロマンスが生まれちゃったりするんだろうか?

むむむむぅ。


「あ、カイディーテ様だ」


宮殿に着いて馬車を降りると、テオさんが呟いた。


テオさんの視線の先を追うと、そこには色合いの違うラース君が!!

輝く銀色と黒の毛並みは、縞模様の対比が美しい。


「カイディーテがいらしたということは、皇太后様がお呼びということかな?」


-ガウ


ルイさんの言葉に、そうだと一鳴きするカイディーテ。

ラース君と比べると、体は一回りほど小さいかもしれない。

彼は、私の前に来るとお座りをした。


「あなたはカイディーテというのね。私はネフェルティマ。ネマって呼んでね!」


自己紹介をすると、カイディーテがもう一鳴きして、今度は伏せの態勢になった。


「…乗れってこと?」


ラース君と同じようなことをするので、とりあえず聞いてみる。

カイディーテはゆっくりと頷いた。


「ネマ様が乗らないと、カイディーテは動きそうにないですね」


面白そうに笑っているけど、いいの!?

…そっか。いいのかぁ。

ルイさんもいいって言っているので、カイディーテの背中に乗せてもらった。


ラース君はふんわりサラサラ系の毛並みだが、カイディーテはしっとりツヤツヤ系の毛並みだ。

綿と絹、毛布とシーツ、ゴールデンレトリーバーとラブラドールレトリーバーくらい違う。

指が滑るように、肌に吸いつくという、相反する感触が楽しめる。

でも、首回りの毛はボリュームがあり、しっとりツヤツヤ系ではない、ふんわりな毛も混じっている。

尻尾やお腹側の毛並みも気になるところだが、ここは首回りの毛並みを堪能することにしよう。


カイディーテの首にぎゅーとして、手をワキワキ動かすと、カイディーテがグルルと喉を鳴らした。


「皇太后様のお側以外で上機嫌なカイディーテ様を見るのは初めてだ」


「まぁ、珍しくはあるけれど、カイディーテは子供にはお優しいよ」


テオさん、ルイさんの会話に耳を傾けてみると、どうやらお二人とも小さいときにカイディーテに遊んでもらっていたようだ。

でも、テオさんの兄弟は、ユーシェと遊んで、というか悪戯をして、カイディーテともう一頭の水の聖獣に怒られたりしているらしい。

聖獣に対して、丁寧な言葉を使っていることからしても、敬ってはいるけれど、家族としての愛情も感じられた。


「カイディーテはおにい様みたいだね」


ラース君も頼れる兄貴って感じなので、天虎(てんこ)地虎(ちこ)はそういう性格なのかもしれない。

カイディーテはどこか不服そうにしていたけどね。


さて、警備の厳重な場所に来てしまったようだが、このまま進んで大丈夫なのかな?

警備に当たっている人が、私を見てめっちゃ驚いているけど。

でも、止められることはなく、カイディーテも気にする様子がないので大丈夫みたい。

テオさんやルイさんも何も言わないので、ある意味顔パスみたいなものかな?


さらに進んで、お庭に出ると、四阿(あずまや)に二人の人物がいた。

そして、その(かたわ)らに、ユーシェではない水の聖獣の姿もあった。


四阿の手前でカイディーテが止まり、伏せたので降りようとしたら、後ろからテオさんがひょいっと抱えて下ろしてくれた。


「ありがとうございます」


気にするなとでもいうように、無表情のまま頷くテオさん。


「まぁ、珍しいこともあるのね。テオが笑う姿なんて、いつぶりかしら?」


柔らかい、上品な女性の声だが、テオさんが笑ったっていう方に驚いた。

いつ笑ったんだ!?


太上(だいじょう)陛下、皇太后様、ガシェ王国からの客人を紹介いたします」


「ルイ、私的の場だ。畏まらずともよい」


太上陛下と呼ばれたおじいちゃんがそう言うと、ルイさんも表情を和らげ、はいはいと気軽に応じた。


「では、父上、母上。ガシェ王国からの可愛いお客様、カーナディア・オスフェ公爵令嬢と妹御のネフェルティマ嬢です」


「お会いできて光栄です。ガシェ王国が宰相、デールラント・オスフェの長女、カーナディアと申します」


私的な場と言われたためか、お姉ちゃんは公用の礼ではなく、敬意の礼をする。


「次女のネフェルティマです」


「楽にしてくれ。私はバルガディーノ・ヴィ・ライナス。息子にこき使われている、しがない老人だ」


えーっと、笑うところなのかな?

いや、でも……。


「バルガディーノ様、こんな可愛らしいお嬢様方を困らせては駄目ですわ。わたくしは、アイデリーナと申します」


バルガディーノ様は格好いいおじいちゃん。

為政者としての威厳というかオーラが凄いんだけど、お茶目な一面もあってギャップがヤバいね。

アイデリーナ様は上品なおばあちゃん。

(ほが)らかで優しい雰囲気は、王妃様に通じるものがある。


-ブルルルゥ


お二人の間から、顔をぬっと差し込んできた水の聖獣。


「わかっているよ。彼女はサチェといって、私の聖獣様だ。ネフェルティマ嬢と仲良くなりたいらしい」


サチェは、ユーシェと比べると濃い青色で、光の加減によっては紫がかっている部分もあった。

ユーシェも綺麗だけど、サチェも凄く綺麗だ!

うちの国には、こんなに綺麗な聖獣がいるんだぞって、ルイさんが自慢したくなるのもわかるわぁ。


「愛し子のお迎えを、カイディーテに取られてしまったから、拗ねてしまったようなの」


アイデリーナ様がクスクスと笑いながら、カイディーテを撫でる。

猛獣を(はべ)らす美魔女みたいで、凄く似合っていた。


「サチェ、よろしくね!」


私の側まで来てくれたサチェに抱きつく。

水の聖獣でしか味わえない、この不思議な感触が堪らない!


「ルノハークのことは、ガシェ王国の国王から聞いている。そなたらのことは守るゆえ、安心して過ごすといい」


「御心遣い、ありがとうございます」


お姉ちゃんがお礼をしたので、私も慌てて礼をする。


「さぁ、みんなでお茶しましょう。よければ、リリーナがどう過ごしているのか教えていただけないかしら?」


リリーナって誰?

って思っていたら、パウルがそっと王妃様ですと教えてくれた。

いつも王妃様としか呼んでなかったから、すっかり忘れていたよ。

王様とヴィの正式名称も危ういな。

あとでおさらいしておこう。


王妃様と一緒にいる時間は私の方が多いので、しゃべるのはほとんど私だった。

お姉ちゃんは私をフォローしつつ、国民からどんなふうに慕われているかなど、王妃様が行った慈善事業を含めて説明していた。

さすが、お姉ちゃん!


「そういえば、二日後に行う歓迎の宴に着ていく衣装は準備できていますか?」


「はい。おうひ様がおねえ様とおそろいで作ってくれました!」


ライナス帝国に行ってしまうと、しばらく遊べなくなると言って、王妃様に着せ替え人形をさせられた。

そのとき、お姉ちゃんも誘われて、二人お揃いのドレスをプレゼントされた。

なぜか、ライナス帝国に行って最初の宴で絶対に着て欲しいとお願いされたのだ。


「それは楽しみね。付き添いも決まっていて?」


「それはまだ…」


お姉ちゃんが言いよどむと、アイデリーナ様の目が光った。


「まぁ!うちの男性たちは何をしているのかしら?そうねぇ、年頃を考えると、アイセとダオがいいわね」


アイセとダオっていうのが誰だかわからないのだけど?


「弟たちだ」


ライナス帝国には四人の皇子と一人の皇女がいるんだっけ?

それにしても子だくさんだなぁ。


「二人には、付き添いを申し込むよう言っておきますから、心配なさらないでね」


できれば仲良くなったルイさんかテオさんの方がいいんだけど、テオさんは婚約者候補がいるって言ってたしなぁ。

まぁ、なんとかなるか。


皇族の方々とお別れをして部屋に戻ると、どっと疲れが襲ってきた。

やっぱり、緊張してたんだな、自分。


スピカがお茶を用意してくれたので、一息つくことにした。


星伍(せいご)陸星(りくせい)は何をしていたの?」


今はクッションの上で寛いでいるけど、私たちがいなかった間はどう過ごしていたのか。


「探索してたー」


「隠し通路見つけたー」


皇帝陛下に許可はいただいているので、宮殿内を歩き回るのは問題ない。

行ってはいけない場所もないらしい。

皇帝陛下が、見られて困るものはないし、見られたとしてもどうにでもなると笑っていたのは恐ろしかったけど。

隠滅とか、暗殺じゃないことを祈るよ。


「ふたりともすごいね!」


生活する場を把握するためにいろいろと調べ回ったようだ。

しっかりと褒めてあげないとね。


「ほめられたー」


「ぼくもー」


ブンブン尻尾を振って喜ぶ二匹。

はぁ、癒される…。


「そういえば、(かい)はどこにいるの?」


朝別れてから、まだ姿を見ていない。

宮殿内で迷子になってんじゃなかろうか?


「カイ、ご飯探すって」


「あるじ様に悪いことする人探すって」


ん?どういうこと??


「カイはネマお嬢様に悪さを企てようとする者を探し、その者の欲を食べるようにと言われております」


パウルが星伍と陸星の言葉を補足説明してくれたのだが、誰がそんなことを言ったんだ!!


「おとう様に言われたの?」


考えられるのはパパンだと思ったのだけど。


「いえ、殿下からです」


ヴィめっ!

つか、海もヴィの言うこと聞かなくてもいいのに!!

(あるじ)は私なんですけど!


「カイが主を守るには、敵の欲を食らうのが一番だと。こちらの国で、人を殺すのはまずいのだろう?」


私が怒っていると、森鬼までもヴィの肩を持つような発言を…。


「えぇ。明確に敵ならば問題ありませんが、貴族となると厄介です。カイならば、人を傷つけることなく、お嬢様への害を取り除けます」


外交問題に発展しないために、海が選ばれたってこと?

それを見越して、ヴィがいろいろ教えていたの!?

私が驚いているところに、ちょうど海が戻ってきた。


「美味しそうなの、なかった…」


海の美味しいの基準がわからないけど、まずは…。


「海、戻ったときのあいさつは?」


「…ただいま戻りました?」


「そうよ。おかえりなさい、海」


人の中で生活するのであれば、まず挨拶を覚えようということで、海に少しずつ教えている。

ヴィが、貴族に会ったときの挨拶や作法は教えたらしく、問題はないとパウルも言っていた。

しかし、こうした日常的なことができていなかったのだ。


「お腹すいた…」


ふらふらと私に抱きつこうとした海だったが、お姉ちゃんに止められた。


「駄目よ、カイ。淑女に触れるときはどうするのか教えたでしょう?」


お姉ちゃんまでも、海に何かを教えていたのか。

海は私の前で片膝をつき、優しく私の手を取った。

そして、恍惚とした笑みを浮かべ……。

ちょっ、破壊力がハンパねぇぇぇ!!

物語の王子様がプロポーズするような態勢で、美少年のやっばい笑顔を真正面で見せられるとか、拷問に等しいぞ!!


「思っていた通り!絵になるわぁ」


…お姉ちゃんよ、妹で遊ばないで…。


ワイバーンやカイディーテを書くのが楽しくて、徹夜してしまった……。

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