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祖父母と叔父とママン。 後編

本日、2回目の更新です。


お部屋に戻ると、森鬼は(はく)をぶん投げているところだった。

え!?何やってんの!!


「森鬼、どうして白を投げたの?」


「投げて欲しいと言われたからだが?」


そのまま、今度はグラーティアをぶん投げる。

ブンッて凄い音がするんだけど…。

ぶん投げられた先には、ハンレイ先生のぬいぐるみがあった。

グラーティアはポスッと軽い音とともに、お腹部分のもふもふに埋まる。

……なんて羨ましいことやってんだーー!!

ハンレイ先生の極上もふもふに、超高速ダイビング!

この子たち、体の小ささと、魔物の丈夫な体を利用して、とことん遊びを満喫している。


ーみゅっ!


もう一回という白の催促に、森鬼は躊躇(ちゅうちょ)なく投げる。

私もやってもらいたいが…、怪我しそうだよね。

ここは、普通のダイブで我慢しておこう。


「白、次は私ね!」


勢いよく、ベッドの上のハンレイ先生に飛び込む。

ぽふんというベッドの反発と、お腹の長い毛が触れる感触がたまらん!

柔らかくて、サラサラで、思わず唸っちゃうね。

ぎゅーって力を込めると、高級毛布…いや、綿花をいっぱい集めたやつか?

とにかく、アンダーコートも絶品!

毎日やっても飽きないね。


ハンレイ先生のぬいぐるみに抱きついたまま、眠ってしまっていたようだ。

お兄ちゃんがご飯だよって呼びにきてくれたけど、よだれの跡が…。

パウルに綺麗にしてもらってから、お兄ちゃんにエスコートされて食堂へ。

あ、今日はメラニーお祖母ちゃんがいるよ。

ちょっとは元気出たみたい。

メラニーお祖母ちゃんが笑顔を見せてくれたので、私も笑顔をお返しする。

そんな、メラニーお祖母ちゃんの様子に、みんな驚いていたようだけど、ママンだけは違った。

視界にすら入れていないのだろう。お祖母ちゃんの笑顔に気づいていないみたい。


「いつの間に、お祖母様と仲良くなったの?」


「ひみつ!」


お兄ちゃんにそう言うと、お姉ちゃんも加わってきた。


「女性は秘密を抱えると、魅力が増すんですのよ。わたくしとも、秘密なことあるものね!」


お姉ちゃんとの秘密は結構あるな。

ばれたら説教コース確定のやつがいっぱい。


「カーナばかり狡いな。僕とは秘密を作ってくれないの?」


いや、お兄ちゃんの性格上、無理かと。

私が内緒にしてって言っても、優しく諭されて、ママンのところに一緒に行って、一緒に怒られてくれるっていうのがお兄ちゃんだもん。


「お兄様に秘密って、なんだか似合いませんね」


「そうかな?僕にだって、妹に話せないことはあるんだよ」


お兄ちゃんの秘密って気になるけど、なんか怖い感じがするからやめておいた方がいいかも?


「おしゃべりはそのくらいにしなさい」


パパンから注意されて、三人で謝ったあと、ご飯に集中する。

まぁ、ご飯中の会話も、物作りメインだったのが面白かったけど。


食後のあとは、またもや開発会議。

それが終わるまで、大人しく待ってた。

パウルから、ママンがお部屋に戻られたようですよと言われ、行動を開始する。

パパンとママンの部屋をノックすると、オルファンが開けてくれた。

オルファンがいるってことは、まだお仕事してたりするのかな?


「おかあ様とお話したいの」


「畏まりました。お飲み物は、いつものでよろしいですか?」


「うん!」


夜、パパンやママンのところに行って飲むものは決まっている。

砂糖もどきが入っていない、ホットミルクだ。


「おかあ様」


パパンは何かの書類を読んでいたようだけど、ママンは読書中だった。

ママンに抱きつくと、パパンの恨めしそうな視線が飛んでくる。

パパンはあとでね!早くお仕事終わらせて!


「ネマは夜になると甘えん坊さんになるわね」


夜くらいしか、甘える時間がないんだよ!

もっと構ってくれてもいいんだよ!


「あのね、おかあ様にお話があるの」


「何かしら?」


「おばあ様のこと」


とたんに、ママンの表情が冷たくなった。

これは根が深そうだぞ。


「あの方に、何か言われたの?」


「おばあ様、さびしそうだったし、つらそうだったの。だから、動物をかってみたらってすすめたよ」


ママンは私の言葉を吟味してくれているんだと思う。


「あの方が寂しいと?」


「…うん。おばあ様、泣いてたの。だから、何かしてあげたくて」


訝しんでいるようだけど、私が嘘をついているとも思えなくて、ちょっと困惑しているようだ。


「ネマ、メラニー夫人とのお話は、セルリアには内緒って言われたのかい?」


さすがパパン。

察しがいいね!


「うん。でも、明日、ごめんなさいする!おかあ様もおばあ様も、笑っていてほしいもん」


メラニーお祖母ちゃん側の事情を説明せずに、ママンの説得は無理だ!

ここは潔く謝る方向で行こう。


メラニーお祖母ちゃんと話したことをママンに一生懸命伝える。

やっぱり、話があっちこっち飛んじゃったけど、パパンもママンも真剣に聞いてくれた。

話終わったあとは、パパンが(ねぎら)ってくれたけど、ママンは悲しげな様子だった。

パパンが、ママンの背中を優しく撫でる。


「大丈夫だよ、セルリア。一つ一つ、また積み重ねていけばいい。ご両親にとっては、嫁いだとしても、母親になったとしても、かけがえのない娘なんだよ。セルリアだってそうだろう?カーナやネマが嫁いだって、母親になったって、僕たちの宝物であることはずっと変わらないだろう?」


「…えぇ。そうね」


これは、パパンに任せた方がよさそうだ。

じゃ、パパン、あとは頼んだ!

そーっと、気づかれないように、部屋をあとにしようとしたけど、最後の最後でパパンと視線があった。

さり気ないウインクが飛んできて、あとは大人の時間だと言わんばかりだった。

…弟か妹ができたりして。

まぁ、なきにしもあらずだな。


弟か妹かぁ。

どんな感じなのかな?

前世も含めて末っ子だから、自分より下がいるって感覚がよくわからない。

親戚の年下の子とはまた違うよね?

お姉さん風を吹かすんじゃなくて、本当のお姉さんってことだもんね。

うーん。めちゃめちゃ可愛いかな?

でも、男の子だったら生意気になったりするかも。

いや、お兄ちゃんみたいだったら絶対可愛い!マジ天使!!

お姉ちゃんみたいな妹だと、一緒に悪戯(いたずら)なんかしちゃったりして。それはそれで楽しそう!

弟と妹という存在について妄想していたら、寝落ちしてた。


翌日、また会議やるのかなって思ったら、今日はやらないらしい。

でも、ママンたちは用事があるとかで、姿を見かけなかった。


「おにい様、弟か妹が生まれたらうれしい?」


「ネマの下にってことだよね?生まれたら嬉しいけど、少し複雑かな?」


「どうして?」


「お兄様もお年頃ですものね。お兄様の子供と思われてしまうかも」


あー、確かに年の差ハンパないね。


「母親が違ったり、養子だったら、ずいぶんと年の離れた兄弟がいることもあるけどね」


「でも、可愛がるわよ、お兄様なら」


それはお姉ちゃんも同じだと思うよ。


「ネマがお姉さんって姿が想像つかないな…」


「そうよね。ネマは可愛がられている方が似合っているもの」


…え、つまり、弟か妹に面倒を見てもらう姉になるってこと!?

…ありえるだけに、否定できない!


「世話焼きな弟か妹になりそうだね」


「世話を焼かれているネマも、可愛らしいに決まっています!」


結局、弟か妹が生まれても、私のポジションは変わりそうにないってことだよね?

それはそれで、楽しいかもしれないけど、姉としての威厳はなくなるんだろうなぁ。


兄弟談議で盛り上がっていたら、パウルが一つ質問なんですがと聞いてきた。

それによって、兄妹の絆が深まったんだけど、お兄ちゃんとお姉ちゃんにハグしてもらっていたら、パパンが乱入してきた。


「私にもネマを補給させてくれ」


なんか、いつもと様子が違う気がする。


「おとう様、何かあったの?」


「凄くいい事があったんだよ。そうしたら、ネマに会いたくなってね」


いい事と私が繋がるのが謎だが、いい事があったのならよかったね。


「本当に、ネマは私の宝物だ」


「あら、お父様。聞き捨てなりませんわ!」


そうだよね。

私だけじゃなくて、お兄ちゃんもお姉ちゃんも宝物だよね。


「わたくしたちの宝物ですわ!」


…そっちかい!!

文句言う部分、間違ってるからね!!


「そうだね。私たち家族の宝物だ」


修正しなくていいよ、パパン。

ほんと、この親娘、どうにかして。


「セルリアがお話したいって言っていたから、ネマ行っておいで」


ママンのお話って、昨日のことかな?

まぁ、ここから離れられるならなんでもいいや。


ママンの部屋に向かうと、ママンが泣いていた。


「おかあ様どうしたの!?どこかいたいの?」


「…大丈夫ですよ。わたくしはまだ至らないのだと、反省をしていたのです」


ママンで至らなかったら、世の中の人たちはどうなるんだ!?


「ネマ、ありがとう。わたくし、ずっとお母様に甘えていたようなの」


ママンは、静かに語り出した。

幼い頃、曾祖父ちゃんが夢中になっていた時計作りに憧れていたのだと。

一番最初の大きな時計が完成したとき、自分も何かを作りたいと思ったんだって。

曾祖父ちゃんに教えをこい、魔法がいろいろな道具になっていく工程が楽しくてしょうがなかったと。

そのために、勉強も頑張ったし、メラニーお祖母ちゃんに口を出されないよう、礼儀作法や稽古にも力を入れた。

ただそれは、好きなことを邪魔されないためのもの。

メラニーお祖母ちゃんが言うような、貴族として恥をかかないようにとか、何も考えていなかったって。

サザール先生に教えをこうようになり、兄弟子である王様のご厚意で王立魔術研究所で働くようになって、ますますメラニーお祖母ちゃんとの距離が開いていった。


「お母様がおっしゃることもわかるわ。でも、わたくしたち、ビーリスフは違うの。どうしてそれを理解してくれないのかしらって。親娘といえど、伝えなければ伝わらないのにね」


なんだか、ママンが幼く感じる。

しゃべり方がいつもと違うから?


「母親なのだから、言わなくてもわたくしのことをわかってくれると甘えていて。それなのに、わかってくれないと拗ねて。ネマはいつも、わたくしに一生懸命伝えようとしてくれているのに…」


「おかあ様…」


「わたくし、お母様に褒めてもらえたことがないの。ただ、凄いねって言ってくれるだけで、わたくしは…。でも、わたくしも貴女たちを褒めることをしていなかったわ」


「その分、おとう様がたくさんほめてくれるよ!おかあ様が苦手なことは、おとう様のたんとうだもん!」


ママンがめったに褒めなくても、パパンが些細なことでも褒めてくれるから大丈夫。

飴役がパパンで、鞭役がママンなのだ!


「おとう様が甘やかすから、おかあ様がきびしくしてくれているのでしょう?」


「確かに、デールは貴女に甘いわよね。わたくしができないことを、彼がやってくれているのね」


「おとう様はおかあ様のこと大好きだから。おかあ様ももっと甘えればいいよ!おとう様にも、おじい様やおばあ様にも!」


大人になって甘えるということに抵抗があるのか、ママンはそれはできないと言う。


「おとう様とおかあ様に甘えるのは、子どものとっけんなのにぃ」


甘える種類にもよるだろうけど、さすがにお金ちょうだいとか、ママンは言わないし。


「あら、ネマは大人になっても甘えるつもりなのかしら?」


「もちろん!大人になったら、今みたいに毎日会えないでしょう?だから、会ったときにはたくさんおしゃべりして、おさんぽして、頭なでなでしてもらうの」


「こんなふうに?」


そう言って、頭を撫でてくれるママン。

やっぱり、母親の手って気持ちいい。

パパンのなでなでも好きだけど、ママンが一番だね。


「だから、おかあ様もおばあ様とおさんぽしよ!」


「…ネマ、一緒にいてくれる?」


まだ二人っきりは気まずいのか。

ママンのお力になれるのなら、喜んで!!


「うん。あとね、おばあ様と動物を見にいきたいの」


「この屋敷で飼う動物ね。手配しておきますよ」


ゆっくりでいいから、ママンとメラニーお祖母ちゃんが仲良くなれるといいな。


「あ、おばあ様のところに行ってくる。やくそくやぶっちゃったから、あやまらないと!」


「急いだ方がいいわね。行ってらっしゃい」


まだ儚い感じの残る笑みだったけど、もう大丈夫そう。

メラニーお祖母ちゃん、怒ってないといいけど。


メラニーお祖母ちゃんの部屋に急いで行って、そしたらガルストお祖父ちゃんもいた。


「おばあ様、やくそく守れなくて、ごめんなさい」


「ネマ、おいでなさい」


メラニーお祖母ちゃんの側に行くと、しわしわの手が優しく両頬を包んだ。


「わたくしね、初めてあの子の心からの声を聞いたわ。やっぱり、わたくしは間違っていたの。あの子たちがなんと言われようと、素晴らしい子供たちなのだと、自慢の娘なんだと言い続けなければいけなかったのよ。周りの目なんて、些細なことなのにね」


ママンに似た、でも、しわだらけの手は、とても温かかった。


「今なら言えるわ。セルリアは、わたくしたち夫婦の自慢の娘だと。こんな素敵な孫に会わせてくれたんだもの。ありがとう、ネマ」


ガルストお祖父ちゃんも、不器用な感じで頭を撫でてくれた。

お祖父ちゃん、器用じゃなかったの!?

それとも、小さい子供と接するのは苦手なタイプなのかな?

そのあとは、二人からママンの小さいときの話を聞かせてもらった。

ガルストお祖父ちゃん、ママンが布でできた転移魔法陣を作ったときは、凄く嬉しかったんだって。

物作りの才能が、自分の子供に受け継がれているって実感できたって。

ガルストお祖父ちゃんは、魔法の才能はあまりないから、魔道具を作ることができないらしい。

だから、魔道具を作る道具に興味を持ったし、魔力がなくても動くものにこだわったんだとか。

私も魔力がないから一緒だねーって言ったら、(あわ)れまれた。

ここは、同じだねって同調するとこでしょ!って思ってたら、土の下級は使えるってさ。

魔法は遺伝じゃないのって思ったら、メラニーお祖母ちゃんは水の上級だった。

やっぱり遺伝か…。

じゃあ、私に魔力ないのおかしくない!?

神様、クレーム案件だぞ!コラァ!!


魔力がないことに、改めて衝撃を受けていると、ノックの音が聞こえた。


「失礼いたします」


ママンの専属執事のフェーオが入ってきた。


「夫人のおかげんがよろしければ、ネマお嬢様とお出かけなさいませんかと、奥様が申しておりますが」


「お出かけ?」


「えぇ。ネマお嬢様が、夫人に動物を贈りたいとおっしゃっているとお聞きしましたが?」


動物を見にいくって話のことか。

つか、さっきの今だよ?

早くない??


「おばあ様がよければ、行きましょう!」


「そうね。ネマがいる間に、いろいろと教わりたいですしね」


ということで、早速お出かけすることになった。

おばあ様とママン、お姉ちゃんと私。パウルとフェーオが護衛を兼ねての同行。

森鬼たちはまたもやお留守番。

お外で、ノックスと遊んでていいから!


「動物のお店があるの?」


移動中の馬車の中で、気になっていたことを質問する。


「えぇ。といっても、獣舎のように珍しい動物はいませんよ」


獣舎はほら、サファリパークだから。

そのお店は、街中でも人通りの少ないところにあった。

看板には、見たことのあるマークが掲げられている。


「じゅうきたい?」


それはどう見ても、サイと剣がモチーフの獣騎隊のマーク。

動物繋がりで似ているだけなのか?


「いらっしゃい」


お店の中は、ペットショップというよりは、小動物ふれあいコーナーだ。

檻に入れられている子は一匹もいない。

柵に囲まれたスペースでは、犬たちが思い思いに寛いでいるし、鳥たちは店のあちこちにとまっている。

糞の処理が大変そうだなぁ。

下膨れ顔のワラビーに似たパバールがとことこと走り回る。


「おばあ様でもかえる子がほしいの!」


「ご夫人がご主人様ってことでよろしいのですね。それでしたら、やはり小さい方が飼いやすいかと」


お店の人はおじいちゃんっていうにはまだ若いかなってな年齢の人だ。

でも、見ていて動物の扱い方が上手い。


「小型のハウンド種、最近はフレアホッグも人気ありますよ。あとは、高いですが、バノールも可愛くておすすめです」


ダックスフンドにそっくりなカーギーは獣舎の中の犬舎にもいたね。

チワワとパピヨンを足したような子は初めましてだね。

テリア系の顔をした子も初見だな。

ヨークシャーテリアみたいな可愛い感じじゃなくて、ブルテリアみたいなキリッとした感じのテリア系。


フレアホッグも獣舎で見かけたな。

あ!あの子だ!

獣騎士の癒し担当、餌を食べることがお仕事の子!


で、バノールって……お姫さまじゃん!!

そうか、お姫さまって、バノールって種類だったのか。

分類まではわかんないけど。

ウサギなのかな?かろうじてウサギだよね?


「どれがいいのか、わからないわ」


「ちょっかん!こういうのはひかれあうから、ちょっかんでえらぶのよ」


おすすめしてもらった種類は、どれもお利口な種類だし、トイレとかも教えれば決められたところでしかしないし、臭いもそんなにないね。

犬の子たちなら、お水を怖がらなければお風呂も入れられるし。


「どのくらい訓練してあるのかしら?」


お風呂で思ったんだけど、躾をどうしようかと考えていたら、ママンが先に聞いてた。


「食事、排泄、簡単な命令、あとは水も怖がることありませんよ」


おぉ。基礎的なものがすべて終わっているだと!

お店の人が指笛を鳴らすと、わんこたちが一斉にお座りをした。

…なんか、凄く見慣れた光景だわ。


「じゅうしゃといっしょ?」


「お嬢様は獣舎に行ったことがあるのですか?」


「よく遊びにいくよ!レスティンがいろいろ教えてくれるの」


「レスティンですか、懐かしい名前です」


なんでお店の人がレスティン知っているんだろうって思ったら、この人、元獣騎士だったんだって。

それで見慣れた光景になったのか。

基本的な訓練方法も獣騎隊と同じで、ここにいる子たちはみんな獣騎隊生まれなんだとか。

獣騎隊でも、繁殖には気をつけていても、どうしても総定数より増えることがある。

それを一定期間が過ぎたら、元獣騎士がやっているお店に引き取ってもらうんだって。

もちろん、ちゃんと認められた一部の人たちだけで、その人たちは獣騎隊の仲間であるということで、獣騎隊のマークの使用が許されているらしい。


「私が獣騎隊にいたときは、まだ入ったばかりで、よく動物に振り回されていましたよ」


今の姿からは想像がつかないな。

動物に振り回されるレスティンって。

私がお店の人と話している間、メラニーお祖母ちゃんは動物たちと睨めっこしていた。

いや、どうしていいかわからないだけだと思うけどね。

お姉ちゃんが、可愛いですわと言いながら、犬を撫でているのを見て、おそるおそる手を伸ばしていた。

チワワとパピヨンを足したような、大きな耳をピンと立てている子が興味を示し、メラニーお祖母ちゃんの指先に鼻をちょこんとつけた。


犬の方から来てくれたのが嬉しかったのか、メラニーお祖母ちゃんはわずかだけど笑みを浮かべる。

メラニーお祖母ちゃんの反応から、遊んでくれる人とでも認識したのか、チワワ+パピヨンは尻尾を勢いよく振って、遊んでくれるのを待っている。


「おばあ様、その子に思いっきりなでなでしてあげて」


「…思いっきり?」


「そう!」


私に促されて、優しく頭を撫でる。

もっとだよ、もっと!!

嫌がらない様子に安堵して、頭から背中、両手でなでなですることにも成功した。


「相性はよさそうですね」


その様子を見て、お店の人も大丈夫だと判断したようだ。


「おばあ様、その子にしましょう!」


「えぇ。この子がいいわ」


というわけで、ビーリスフ家に新しい家族ができました!

名前は、まだない!

メラニーお祖母ちゃんが凄く悩んでいるからだ。

ちなみに、叔父さんはすぐに慣れたけど、ガルストお祖父ちゃんはなかなか触ることができなかった。

小さすぎて、壊しそうで怖いんだって。

まぁ、気持ちはわかる。

でも、この可愛い時期は今しかないんだから!!

今可愛がらなくてどうするの!!

って説得したら、頑張って触れるようにはなってくれた。


「ネフェルティマは、動物が絡むと人格が変わるな」


ふむ。今思えば、それも、ガルストお祖父ちゃんやママンと一緒だね。

二人も、魔道具とか、何か作るとき人格変わるよね。


「おじい様と同じね!」


そうか、としか言ってくれなかったが、たぶん怒ってない。

たぶん、照れている。

メラニーお祖母ちゃんがそう言ってた!


私たちが帰る日に、ようやくチワワ+パピヨンの名前が決まった。

リアンちゃん、メス、生後四ヶ月くらい!

今度来たら、いっぱい遊ぼうねー!!


メラニーばあちゃんとママンの関係修復、もう少し時間がかかると思いますが、いい方向に向かうでしょう。


ネマがおばあちゃんとママンの間を行ったり来たりしている間、森鬼は白とグラーティアの子守りをしていました。

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