★4巻発売お礼小話 恋の季節
間に合った!
4巻の内容とは、全く無関係です(笑)
王宮に向かう馬車の中で、街並みを眺めていて気づいた。
やけにカップル多くね?と。
王宮につくまでは暇なのだ。
何が答えなのかわからないことを、一人で考えてみる。
すると、気づけば王宮に到着していた。
すぐに獣舎に向かい、レスティンにノックスを預ける。
定期訓練の日だからだ。
ノックスの運動量は少なくないのだが、せっかく覚えた命令を使う機会がほとんどない。
なので、忘れないよう訓練が必要なんだって。
「ノックス、がんばってね」
ノックスの頭を撫でて励ますと、ピィ!と元気な返事をしてくれた。
ノックスの訓練中、私は獣舎の子たちと遊ぶ予定だ。
私がノックスの訓練について行くことは禁止されている。
ノックスが私を気にして、訓練に集中できないからと言われた。
いいもん。お家に帰ってから、ノックスといっぱい遊ぶから!
いつも通り、レスティンの案内で獣舎を回る。
「ネフェルティマ様、今日はどこをご覧になりますか?」
ふむ。どこって言われると悩むなぁ。
「うーん…」
「特にご希望がなければ、鳥舎へ行ってみませんか?面白いものが見れるかもしれません」
「面白いもの?」
レスティンは、内緒ですと言って教えてくれなかった。
ケチー。
鳥舎につくと、ピピピッチチチッとずいぶん賑やかだった。
「あそこを見てください」
レスティンが指差す方を見ると、やや大きな鳥が三羽いた。
白と青のコントラストが美しく、頭にはピョーンと毛が飛び出している。
「あの子たちは?」
「セルリアーナという鳥です」
「あの、まぼろしと言われている!?」
レスティンの口から出てきた名前に驚いた。
セルリアーナは、このアスディロンで一番美しい鳥と言われるほどだ。
その美しい羽を欲した者は数知れず、今では生息数が激減した絶滅危惧種だ。
ママンのセルリアという名前は、この鳥のように優雅で美しい女性になるようにとつけられたらしい。
「今、求愛行動をしているのです。ああやって、雌の周りを飛び跳ねて、羽の美しさを見せているのです」
改めてセルリアーナを見ると、確かに一羽は動いておらず、首を小刻みに動かして、飛び跳ねるセルリアーナを眺めている。
「めすを取り合いしてるの?」
飛び跳ねているセルリアーナは二羽いるのだ。
つまり、雄が二羽で雌が一羽。見事な三角関係ではないか!
「いえ、片方は弟子です」
「……え??」
「ですから、弟子です」
んんん??
意味がわからん!
「セルリアーナの雄は、成体になる前に、成体の雄に弟子入りします。餌の取り方や巣の作り方、そして求愛行動のやり方を学ぶのです」
鳥なのに…鳥なのに弟子入りって…。
なんて厳しい世界なんだ!!
しかし、雌に向かって、飛び跳ねながら翼を広げているセルリアーナを見ていると、確かに玄人感が出ている。
師匠と弟子の差は一目瞭然だった。
「ほんとにきれいだねー」
体は純白で、翼は徐々に青く染まっていくグラデーション。
それが、木々の緑によく映える。
セルリアーナに別れを告げ、次に行くと見慣れた鳥が。
「レインホーク!」
猛禽類の中では小型だが、やはり翼を広げた姿は格好いい!
レスティンが指笛を吹くと、何羽ものレインホークが私たちのもとへ飛んできた。
事前にレスティンから渡されていた、革の手袋をつけて、一羽を迎える。
こうして間近で見ると、羽毛の色合いや体つきがノックスと違う。
この子の方が体つきはがっしりしているし、羽毛もやや固い。
「ネフェルティマ様、どうぞ」
レインホーク用の餌を受け取り、腕にとまっている子にあげる。
すると、レインホークは咥えたものの食べなかった。
どうしたのかと思っていると、そのまま飛び去ってしまった。
「あれ?」
「今、ザラフはウェリーに夢中なんですよ」
ふむ。あの子はザラフ君というのか。
で、ウェリーという雌に夢中ってことは…。
「えさをあげるの?」
「えぇ。レインホークの求愛行動は、給餌です。雌が卵を温めている間も、獲物を取ってきて養える力があることを主張しているのです」
なるほど。
動物の求愛行動は奥が深い。
そういえば、地球の鷹も面白い求愛行動する種類がいたな。
お互い脚を掴んだまま落下するってやつ。
「美しい歌声や巣を作ることが求愛行動の子たちもいます」
他にも、フェロモンのような匂いでアピールする種類もいれば、体の一部を擦りつけることでアピールする種類もいる。
「一番変わっているのは?」
「ジシヘルゲでしょうね」
ジシヘルゲといえば、ゴリラに似た全身苔色の生き物だ。
以前会った、キービラというジシヘルゲは踊りが大好きな子だった。
「どんなきゅうあいするの?」
「雌に向かって、自分の糞を投げつけるのです」
なんですと!?
糞!!!
「…うんち投げちゃうの?」
嫌がらせじゃなくて?
求愛行動でうんち……。
どうしてそうなったの??
「その理由は謎です。どうして糞を投げるのか、我々にもわからないのです」
動物博士と言っても過言ではないレスティンですらわからないのか。
うーん、やっぱり臭いとか?
人間も、臭いで相手を判別できるとかって研究があったよね。
好ましい臭いは、遺伝子上の相性がいいとかなんとか。
「めすはにおいでわかるのかも。強いとかじゃなくて、びょうきになりにくいとかそういうの」
「…そうか!」
びっくりしたー。
いきなり大きい声出されたから、心臓がギュってなったよ!
「失礼しました。つい、興奮してしまい」
珍しいね、レスティンが素を出しちゃうなんて。
「ほとんどの動物は、優劣で雄を判断します。しかし、ジシヘルゲは知能も高いので、優劣以外の要素で判断していてもおかしくはありません」
まぁ、強さとか美しさとか器用さとか、それも遺伝による要素が強いとは思うけどね。
強ければ強いほど、弱肉強食の世界では生き延びれるんだし。
「試してみる価値はありそうですよ」
ニコニコと嬉しそうなレスティン。
何か実験でもする気なんだろうか?
それはそれで面白そうだな!!
「私もきょうりょくする!」
「えぇ。頼りにしています、ネフェルティマ様」
こうして、ジシヘルゲの繁殖計画がスタートしたのであった。
帰り際まで、どういうふうに実験をするかで盛り上がっていたのだが、ふと疑問を思い出した。
「そういえば、まちにもこいびとどうしがたくさんいたけど、こいのきせつ?」
「あぁ、貴族の方々には、あの風習はありませんでしたね」
あの風習?
なんだろ?
「新年の祝いは、出会いの機会でもあります。つまり、意中の人に思いを告げる日でもあるのです」
あー。
それでカップルが多かったのか。
人も動物も、寒くなる前にくっついて、寒くなったらアツアツのイチャコラするってわけですな。
けっ、リア充どもめ!!
「我が国では、確かに恋の季節ですね。我々には関係ないですけど」
レスティンが遠い目をしている。
獣騎士や竜騎士って、王立騎士団の中でも汚れ仕事だからってモテないらしい。
まぁ、恋人よりも動物や竜を取っちゃうような集まりだからねぇ。
「レスさんにとっては、ここの子たちがこいびとみたいなものだもんね」
「えぇ。みんないい子たちばかりで、どんなに苦労かけられても、甘えられれば癒されます」
うん、もう重度で末期だ。
ダメな男に引っかかった女の人みたいなこと言ってるよ。
レスティンに春が来るのは無理かもしれない。
ジシヘルゲの繁殖計画より、騎士たちのお見合い企画でもやってあげた方がいいんじゃなかろうか…。
またもふもふしていないですが、動物たちの求愛行動の動画が可愛かったので。
やっぱり、ハエトリグモの仲間のピーコックスパイダーの求愛行動は可愛い!!
求愛行動で糞を投げるのはゴリラです(笑)
ハクトウワシやオジロワシの求愛行動は死の螺旋と呼ばれるらしいです。
最後に、ご報告です。
無事に五巻のお話をいただけました!
まだまだもふもふ書くぞー!!




