★コミカライズスタート!お礼小話
ついに、コミカライズの掲載が始まりました!
ネマ3歳児のときです。
「ネマお嬢様、朝でございますよ」
使用人に起こされ、寝ぼけながら身仕度をし、ほかほかのタオルで顔を拭くのが気持ちよくて、そのまま寝るところだった。
「今日はとてもよい天気ですよ」
カーテンを開け、お外の天気を見てみると、雲の少ない綺麗な青空が広がっていた。
こんな日は、お外に出ないともったいない!
お外で何して遊ぼうかと考えているうちに、食堂の方まで連れていかれてた。
食堂にはもうみんな揃っていて、私が席につくと、女神様にお祈りをしてからご飯を食べる。
我が家のご飯は本当に美味しい。
こればかりはラッキーだと思う。
「ネマ、これ美味しいわよ」
そう言ってお姉ちゃんがあーんさせようとするので、遠慮なくあーんしておかずをもらった。
もぐもぐすると、食材の旨味が口の中いっぱいになった。
お肉のような気もするが、溶けてなくなったので違う気もする。
まぁ、美味いことには変わりはない!
「おいちー!こりぇなーに?」
「でしょう!ヘラの葉といって、熱を通すと溶けちゃうのよ」
ほうほう。
つまり、調理が難しい食材ってことですな。
和やかに食事が終わると、お兄ちゃんとお姉ちゃんは学院だ。
玄関までお見送りすると、お姉ちゃんがぎゅーっとしてきたので、お兄ちゃんが笑いながら引き離す。
「帰ってきたら遊ぼうね」
「あい!」
学院が終わったら遊んでくれるというので、それまではディーと遊んでいよう。
そのあと、パパンもお仕事に行くというので、ママンと一緒にお見送りした。
「あぁ。行きたくない。ネマと一緒にいたい…」
私を抱っこして、頬ずりする残念なパパン。
ママンは微笑んだまま、何も言わないので、ここは私が一つ。
「おとーしゃん、めーなの!」
「仕方ない。ネマのために頑張ってくるよ」
パパンよ。そこは家族のためって言うところではないのか?
「あなた、陛下をお待たせすることなきよう」
そろそろ時間だから、さっさと出勤しろって遠回しに言われてる。
「あぁ。行ってくるよ」
「はい。お気をつけて」
「きをつけてー」
パパンからママンに抱っこが代わり、パパンに手を振ると、笑顔で手を振り返してくれた。
本当、子煩悩でいいパパンだ。
「わたくしは仕事があるので少し籠るけれど、ネマは何して遊ぶのかしら?」
ママンはお仕事かぁ。
「おしょとでディーとあしょぶの!」
「そう。では、光の風(お昼前くらい)になったら、一度お茶をしましょう」
「あい!」
光の風っていわれても、いまだにピンとこない。
たぶん、向こうの感覚で10時か11時くらいかな?
よくわからん!
さて、気を取り直して、お外で遊ぶ準備をしよう!
「マージェしゅ!」
我が家の家令のマージェスにまずお外で遊ぶことを伝える。
すると、子守役をつけてくれるのだ。
この子守役がいないと、お外というかお庭で遊んではいけない。
「今日は庭で遊ばれるのですね。では、侍女を一名つけますので、少々お待ちください」
マージェスに言われるがまま、お部屋で待っていた。
私にも専属の侍女がいるのだが、なにぶん彼女は忙しい。
いわゆる侍女頭ってやつで、本来なら専属にならず侍女に指示を出す立場だ。
だが、ママンの教育方針というか、ママンも子育てをするが、経験豊かな人についていて欲しいということらしい。
「明日は私も一緒に遊べますから」
「ほんとっ!」
よし。明日の予定は決まったな。
本を読んでもらおう!
ただの読み聞かせじゃないよ。
彼女の場合、一人朗読劇だから。
初めて聞いたとき、めっちゃ感動したんだよ!
部屋がノックされると、子守役の使用人と一緒にディーもいた。
「ディー!」
ディーはいつも、朝のお庭をパトロールしているので、抱きつくと微かに草の匂いがした。
さぁ、お庭へレッツゴー!
「ネマお嬢様、今日は何をなさいますか?」
え?
私が外で遊ぶっていったら、だいたい動物呼んでもふもふしてるだけだけど…。
あと、ディーとかけっこしたり、変な生き物観察したり。
「うーんと、みんなとあしょぶの!」
「みんな?あぁ、動物たちですね」
なんだ、知ってたのか。
まぁ、毎回、使用人がびっくりするくらい動物呼んじゃってるから今さらか。
というわけで、お外に出て、早速おいでおいでをする。
私の声が届く範囲の子たちはみんな来てくれるのだ!
チチッと鳴く小鳥たち、ヘタレ耳が可愛いポテ、最近赤ちゃんを生んだ通いリア。
みんなが揃うと結構騒がしい。
-みぃぅー
赤ちゃんリアはよちよち歩きを卒業しているので、元気に走り回る。
ポテを追いかけ回して、驚いたポテが木の上に登ると、さらに追いかけようとしたので慌てて止める。
「あぶないの」
-みぃぅぅぅ
抱っこすると、柔らかい毛がくすぐったい。
というか、未練たらしく木の上を見つめているけど、君はまだ登れないから諦めなさい。
ディーは日向ぼっこしているけど、その背中は小鳥たちの休憩所になっていた。
ディーの上で、一緒に日向ぼっこしていて可愛い。
ふと、陽が陰ったので、雲でも出てきたのかと空を仰いだら……。
なんか降ってきた。
-ギェェェェ!!
なんか不吉な声だな、ヲイ。
これには、動物たちも驚いて、一目散に逃げた。
まぁ、動物としては正しい。正しいが、ちょっと薄情だなぁとも思ってしまう。
上から降ってきた不吉なものは、地面に墜落すると、勢いよく転がっていった。
「ネマお嬢様、危険ですので近づかないでください」
うーん、でも、気になる。
生き物だったら、まず大丈夫だろうし、ちょっと行ってみよう。
「ちょっとだけー」
念のため、使用人の手を繋いで、一緒に不吉なものに近づく。
「…なんでしょう?」
不吉なものは、白い丸みを帯びたもふもふだった。
-ギェェェェー
見た目と鳴き声に差がありすぎて、余計に恐ろしい。
もごもごと動いて、ようやく姿がわかった。
白いもふもふの中に、申し訳程度についている嘴。
細く小さい脚は、ほとんどもふもふに埋まっていた。
「とりしゃんかなー?」
-ギェェェェ…
段々鳴き声に元気がなくなってきた。
どうしよう…。
「どこかいたいいたいの?」
お兄ちゃんがいないので、治癒魔法はかけてあげられない。
「詳しい者を呼んで参りますか?」
確か、使用人の中にバードウォッチングが趣味な人がいたっけ。
動かして、さらに具合が悪くなるのも可哀想だから、そっちの方がいいかも。
そう思ってお願いしようとしたら、ママンが声をかけてきた。
「ネマ?約束の時間よ?」
え!?
もうそんな時間?
動物と遊んでいると、あっという間だから気づかなかったよ。
って、それどころじゃない!
「おかーしゃん、このこがげんきないの」
「…あら。珍しいこと。ポリクの雛ね」
ポリクというのは初耳だが、雛というからにはやっぱり鳥なのか。
「調理場にヘラの葉があるから、取ってきてちょうだい」
ママンが使用人にお願いすると、すぐにと返事して走っていってしまった。
それにはママンも少し驚いたようだが、緊急時ということで許してやって欲しい。
「ポリクはね、魔力で育つ野菜を食べるの」
魔力で育つ植物があるとは聞いていたが、朝食べたヘラの葉がそうだったとは!
使用人がヘラの葉を持って戻ってくると、あげてみなさいとママンに促された。
葉っていうけど、分厚すぎるよこれ。
しかも、色が真っ黄色ですけど。
小さく千切れるのか試してみたら、簡単に千切れた。
お子ちゃまの力で簡単だったので、たぶんレタス並みに柔らかいんだと思う。
「どうじょ」
ポリクの雛の前に、小さく千切ったヘラの葉を置く。
すると、もごもごっと動いて、小さな嘴でパクッと食べた。
-ギェ!
もっと寄こせと催促してきたので、せっせと千切ってはあげ、千切ってはあげを繰り返した。
よっぽどお腹空いてたんだな。
満足するまで食べると、けぷっと小さくゲップした。
まぁ、赤ちゃんだしな。
「きみのおかーしゃんどこでしゅかねー」
今がチャンスとばかりに雛を撫でてみる。
すると、雛特有の密度の高い綿毛の柔らかさが手のひらから伝わってきた。
羊の毛のような、ふわふわしているけどしっかりもしているみたいな…。
でも、繊維っぽくはなくて、ファーみたいに指通りもいい。
触ったことないけど、ペンギンの雛と同じようなものなのかな?
もふもふに魅了されていると、ママンが提案してきた。
「ここに来る動物たちに、この子の親を探すようお願いしてみたら?ネマのお願いなら、みんな聞いてくれると思うわ」
そうか!その手があったか!!
再びみんなを呼び集め、雛の親を探すのを手伝って欲しいとお願いしてみる。
上手く伝わったのかは謎だが、小鳥たちが一斉に飛び去ったので、伝わったと思いたい。
さすがに、ポテやリアは移動範囲が限られているので、ここに留まっている。
赤ちゃんリアが雛にちょっかいをかけるが、あの不吉な鳴き声に驚いて、母親のもとへ逃げ戻った。
赤ちゃんリアは、他の子も挑戦しに行くが、ギェェッという鳴き声には勝てなかった。
雛も落ち着きがなくなってきたので、大丈夫だよと声をかけながら、その毛並みを撫でる。
しばらくして、またも空が陰ったので、もしかしたらと姿を探す。
「さすがネマね。あれがポリクよ」
あーうん。
雛の大きさからして大きいとは思ってたけど…。
お庭に降りてきたポリクは、重低音でギェェェと鳴いた。
ちょっと恐竜っぽいというか、残念というか、裏切られたというか…。
お前、毛がないじゃんかっ!!!
ポリクはプテラノドンだっけ?あの有名な飛ぶ恐竜に似ていた。
親ポリクは雛を器用に咥えて、背中にポイッとすると、ギェェェェッと力強く鳴いて飛び去っていった。
最後の一鳴きはお礼かな?…たぶん。
あとで知ったんだけど、ポリクは雛が生まれると、雛を連れて飛び回るんだって。
そのため、背中は器のように窪んでいて、雛が落ちないようになっているとか。
まぁ、落としちゃうのもいるけどね。
そして雛は、大きくなると毛が抜けていき、親と同じ姿になる。
ある意味、凄く貴重な体験だったというわけだ。
あの雛が、また落っこちないことを祈ろう。
「おかーしゃん、おなかしゅいたー」
「もうお昼ですものね。さぁ、行きましょう」
ママンに手を引かれ、食堂へと向かった。
早くお兄ちゃんたち帰ってこないかなぁ。
ポリクの雛のこと、自慢しちゃおう!
リア→マヌルネコっぽい
ポテ→垂れ耳リスっぽい
ポリクの雛→ペンギンの雛を丸くした感じ
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございますm(_ _)m
さて、久しぶりのネマ3歳でした。
舌が回らないので、サ行とラ行が上手く言えていません(笑)
おかげさまでコミカライズも始まり、12/15にはもふなでの4巻発売となりました。
ここまで来れたのも、皆様の温かいお言葉と応援があったからです。
本当に感謝しております。




