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寝坊しました…。

「ネマ、今日はシーウィが一斉に花開いたよ」


「一緒に見に行きましょうね。もうすぐ夏ですし、何して遊ぼうかしら?」


楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

別荘で避暑でもいいし、ネマの好きな海でもいいね、なんて話が盛り上がっている。

私も参加させておくれ。


「おにぃ…ちゃん?」


目を開けると、そこには金髪の美青年がいた。

お兄ちゃんだよね?


「ネマッ!?」


「まぁ!ネマ、目が覚めたのね!!」


続いて鮮やかな赤い色。

顔を認識する前にぎゅーってされたので、お姉ちゃんに違いない。


「おねえ様…くるしぃ…」


「ごめんなさい。嬉しくてつい…」


お姉ちゃんから解放されると、お姉ちゃんが泣いていた。

凄く心配かけてしまったんだ。


「すぐに父上と母上も来るからね」


お兄ちゃんに頭を撫でられ、パパンとママンが来たら怒られるかもと不安になった。


「おにい様、ディーが女神様のもとにいっちゃった…」


「うん。ディーはネマを守ってくれた。僕は家族として、親友として、とても誇らしく思っているよ」


お兄ちゃんも悲しいはずなのに、その言葉には優しさしかなかった。


「ディーは女神様に望まれて、女神様のお側にいるんだ」


あぁ。女神様が、クレオ様が言っていたのはこのことか。

クレオ様の側なら、癒えるのが早いって。


「女神様が言ってた。側に置くと、早く転生できるって」


「では、またすぐに会えるわね!わたくしたちの大切な家族ですもの」


クレオ様は私たち次第だと言っていたけど、絆が強ければ再び会えると言われているらしい。


「じゃあ、ディーの好物を用意しないといけないね」


お兄ちゃんもお姉ちゃんも、ディーにまた会えるって信じているようだ。

だから、私も信じる。


「ネマッ!!」


ノックもなしに、勢いよく入ってきたのはパパンだった。


「どこか痛いところはないか?」


ベッドの側に駆け寄ると、覗き込まれて問われる。


「ないよ」


寝起きで思考が動いていない気もするが、痛みや気持ち悪さなどはない。


「よかった…。二巡も目を覚まさないから、凄く心配したんだぞ」


怒られる以前に、めちゃくちゃ心配をかけてしまったようだ。

……ん?二巡??


「えっ?にじゅん…??」


「そうだ。ネマがさらわれた日から、二巡経っているんだよ」


痛ましそうにするパパンだが、それどころじゃない。

二巡といえば二年じゃないか!

二年も眠っていたというのか!?

ってことは、私は七歳になっているのか!

通りでお兄ちゃんを美青年と感じたわけだ。

お姉ちゃんは…相変わらずの美少女だけど。


「…シアナ計画は?」


「それはあとでお話します。今はわたくしに元気な姿を見せてちょうだい」


「おかあ様!!」


ママンも瞳に涙を浮かべていた。

ママンに抱きつくと、パパンが頭をポンポンとしてくれた。

どこに行っていたわけでもないのに、無性に帰ってきたんだっていう思いが強くなる。

ここが私の居場所なんだって。


「貴女のことを、女神様がずっと守ってくださっていたのよ」


二年も眠り続けていて平気だったのは、女神様のおかげらしい。

あとでお礼の祈りをしておこうと思う。


「心配かけてごめんなさい」


「いいんだよ。ネマが無事だったんだから」


「ディーのことは、辛いかもしれないけれど…」


パパンとママンは、私がディーのことを気に病んでいるんじゃないかって心配もあるのだろう。


「ディーは女神様のお側にいたよ。またねって約束したの!」


私だけじゃなく、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、ディーに会えるのだと信じている。

それを言ったら、パパンもママンも嬉しそうに微笑んだ。

どんな形で会えるのかはわからないが、お兄ちゃんの子供かもしれないねとパパンが言った。

…そうか。ディーが人に生まれる可能性もあるのか!!

もし、ディーがお兄ちゃんの子供として生まれてきたら……。

お兄ちゃん、私は(とつ)がないから養っておくれ!


ママンとパパンにたっぷり甘えたあとは、ご飯が待っていた。

パウルが珍しく優しい笑顔でご飯を運んでくれた。

パウルを見て思い出した。


「森鬼は無事なの?」


お茶を飲んだあと、森鬼は倒れてしまった。

毒がなんの毒かはわからなかったので、もし猛毒だったら…。


「大丈夫だよ。シンキは今、レイティモ山へ行っている。ネマのことを知らせたから、すぐに戻ってくる」


パパンが教えてくれて、ホッと安心したのもつかの間だった。

いつもの姿が見えないし、あの子たちの気配もない。


「ノックスたちは?私に寄生してた子たちは?」


慌てて聞くと、お姉ちゃんが窓を指差した。


「ノックスは庭で遊んでいるわよ。もちろん、ハクとグラーティア、プルーマと一緒にね」


窓から外を覗くと、お庭にプルーマがいた。白とグラーティアは小さくてわからなかったが、ノックスが羽をバタバタさせているので、そこら辺にいるのだろう。

うん。普段通りに生活できているのなら、心配はいらないだろう。


「ネマに寄生していたスライムは、僕が面倒みているよ」


面倒って、もしかしてお兄ちゃんに寄生しているの!?


(はい)銀鼠(ぎんねず)薄墨(うすずみ)(こく)はちゃんといる?」


「名前までは覚えていないけど、灰色の三匹は僕の中にいるよ」


離れているせいか、三匹の気配は感じることができなかった。

もしかしてと思い、お兄ちゃんにぎゅーっと抱きつくと、お兄ちゃんの中にいるのがわかった。


「黒は?」


お兄ちゃんの中には、灰、銀鼠、薄墨しかいないのは間違いない。


「わたくしが預かっておりますよ」


……えっ!?ママン!!


「特異体のスライムですもの。じっくり観察させてもらったわ」


こここ…こくぅぅぅ!!!

生きてるよね?ちゃんと無事だよね??


たぶん、私の顔が凄いことになってたんだと思う。お兄ちゃんもお姉ちゃんも笑ってるし…。

ママンもクスッて笑うと、安心しなさいと言った。

ママンの安心は、安心できないのだよ。


「スライムたちのことが心配なのもわかるが、まずは食事をしなさい。コクはあとで連れてくるからね」


パパンに促され、パウルが運んできてくれたご飯が目の前に置かれた。

二巡も寝ていたためか、胃に負担のないようスープだけだった。

野菜がとろっとろになるまで煮込まれたスープはいい匂いがして、つられてお腹がグーと鳴る。


「ほら、口を開けて」


パパンがスプーンを口元に持ってきたので、あーんと開ける。

口の中で野菜が溶けるように崩れ、スープの旨味と野菜の旨味が合わさり、めちゃくちゃ美味い!

胃が拒否することもなく、すべてを平らげる。

私が食事をしている間に、パウルがノックスたちを連れてきてくれたようだ。


「ネマお嬢様、みんなを連れて参りました」


一番最初に動いたのはグラーティアだった。

パウルの肩にいたようだが、ぴょーんと大きく飛躍すると、私の真ん前に落ちてきた。


「グラーティア!」


一回りほど大きくなったかな?

意外と成長に時間がかかるタイプだったのか!


グラーティアはいつも通り、よっというふうに前脚を上げた。

そのグラーティアを押し退けるように、白もベッドの上にジャンプしてきた。

グラーティアが白に文句を言うように牙をカチカチと鳴らしたので、グラーティアを定位置である肩に移した。

白の感触を楽しむために両手で持つと、相変わらずの柔らかさに感動した。

この絶妙な柔らかさは、赤ちゃんのふくふくしたほっぺやお手て、猫のぷにぷに肉球、ふくよかなおっぱいに並び立つ癒しの柔らかさなのだ!


-みゅぅぅ〜


白が甘えるように手のひらにすりすりしてきた。

うちの子、なんて可愛いんでしょう!!

白を愛でていたら、突然白が飛ばされた。

何が起こったのか理解できないでいると、手のひらには黒がいた。

お前、姉を押し飛ばすとは…。


「黒、めっ!」


怒ると、黒はプルプルしながら何かを訴えた。


-にゅ〜にゅっ!


初めて黒の鳴き声を聞いた気がする。

白ばかりズルいって言っているけど、君、ずっと寄生してたじゃん。

さすがの私でも、体内にいる子はなでなでできないよ?


-にゅ〜にゅ〜


撫でろと催促されれば、喜んで撫でてやろう!

黒をもみもみすると、白よりも固めだった。

ビーズクッション的な、手が埋もれるけど反発もあるみたいな。

黒、早く大きくなりなさい。

そして、私の専属クッションになるのだ!

ちょっとひんやりしているところもなおよし!

夏にはぴったりな癒しだね。


プルーマも頭を伸ばして、撫でてと催促してくる。

今日は特別にお家に入れてもらったのかな。

プルーマの頭を撫でると、その感触に思わず唸ってしまった。

なんだ!この柔らかな羽毛は!!

表面の羽毛なのに、内側の毛並みに匹敵する柔らかさだと!

アイルめ、いったいどんな手入れをしたんだ!!


-ピュィッ!


止まり木にいたノックスが一鳴きすると、黒は私の頭の上に移動した。

プルーマも少しだけ離れる。

白は黒に飛ばされたことがショックだったようで、グラーティアによしよしと慰められていた。

…やっぱり、うちの子可愛いわぁ!


二匹にほのぼのしていると、ノックスがこちらに飛んできた。


「ノックス、いい子だね」


ちゃんと兄貴分として、下の子たちを優先してくれたようだ。

自分も甘えたかっただろうに。

ノックスの胸元を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じる。

私が眠っている間も、使用人たちはしっかりとお世話をしてくれたようだ。

長距離飛行の訓練後、傷んでいた毛並みが元に戻っている。

ん?

以前に比べると、胸元の筋肉が発達している?

気になって、他の部分も調べてみる。

ノックスはなすがままだが、お尻の方の筋肉もキュッと引き締まっていた。

つまり、無駄のない美しい体と言えよう。


「ノックス、何かくんれんしたの?」


私はノックスに聞いたのだが、答えたのはお姉ちゃんだった。


「さすがネマね!触っただけでわかるなんて」


私が眠ってからしばらくは、ノックスたちは私の側を離れようとはしなかったらしい。

しかし、動かないでいるとノックスの持つ能力も落ちてしまうからと、レスティンが訓練に参加させるように言ってきたらしい。

パパンやお兄ちゃんがノックスを説得しても、私から離れなかったのに、森鬼の一言で動いたらしい。

森鬼、何を言ったんだろうか?


「ノックス、すごいね!」


頑張ったノックスをたくさん褒める。

すると、白が自分も!と来たので、一緒に撫でてあげた。

グラーティアに慰められて、なんとか復活したようでよかった。


「さぁ、ネマ。もう少し休みなさい。シンキが到着したら、シアナ計画のことをお話ししましょう」


ずっと寝ていたので、休めと言われても…と思っていたが、ママンが胸元をポンポンと叩くと眠気が来るから不思議だ。

ノックスたちも、それぞれ場所取りをして、一緒にお昼寝するようだ。

森鬼、早く帰ってこないかなぁ。



いつの間にか寝ていたようで、目が覚めると夕暮れ近かった。

ベッドのすぐ側に森鬼がいて、ビビったのは内緒だ。


(あるじ)…」


「森鬼、おかえりなさい」


本当はおはようかもしれないが、夕方におはようはねぇ。

森鬼は片膝をついて、頭を垂れると謝罪してきた。


「主のことを守れなくてすまない」


森鬼は森鬼で、ずっと後悔を抱えていたのだろう。

森鬼の頭を撫でる。


「森鬼が無事でよかった」


心からそう思う。

これで、森鬼まで失っていたら…。

私は自分を保つことができなかったかもしれない。


「…主はお人好しだな」


感極まったというよりは、無事を確かめるように森鬼が抱きしめてきた。

そう言う森鬼は、ますます人らしさが出てきたね。

私が眠っている間、辛かったよね。

よしよしと再び頭を撫でる。

すると、咳払いが聞こえて我にかえる。

これ、ヤバい光景じゃね?

つか、パウルもいたんなら、早く止めようよ。

森鬼をゆっくりと離すと、白とグラーティア、黒が森鬼に飛び移った。

何をするのかと思えば、グラーティアは頭の上でもそもそ動き、白と黒が頬に擦り寄る。

彼らなりに、森鬼を慰めているらしい。

森鬼は何も言わず、させたいようにしていた。

相変わらず、仲良しでよきかな、よきかな。


「パウルもありがとうね」


突然私にお礼を言われ、微かに首を傾げているパウル。


「私がさらわれて、パウルにもめいわくをかけたでしょう?」


「迷惑だなんてとんでもない。わたくしの方こそ、ネマお嬢様を守れず申し訳ございません」


深く深くお辞儀をするパウル。

お辞儀の角度が120度くらいあると思われるお辞儀は、深く反省し謝罪をするときに使われる。

つまり、土下座みたいなものだ。

私はやったことないが、体が硬い人には厳しいよね。


「…私はパウルをゆるします。これからもオスフェ家に尽くしてくれますか?」


「もちろんでございます」


許すと言わない限り、パウルは頭を上げなかっただろう。


「ネマお嬢様の体調がよろしければ、食堂にお連れするよう言われておりますが、いかがなさいますか?」


なぜ、食堂?

たぶん、シアナ計画のお話だとは思うのだが。


「行くので、じゅんびをお願い」


ここから、お風呂とお着替えと髪のセットとしなければならないのは面倒臭いが、ずっと寝たきりだったと思うと、お風呂は入りたい。


お風呂に入り、自分の体を見下ろして気がついた。

まったく変わっていない。

二巡も経過しているのに、変わっていないとはどういうことなんだ!?

お風呂から上がり、鏡を見せてもらったが、顔つきも変わっていなかった。

…つまり、私は五歳のときのままということだ。

こればかりは、ショックだった。

貴重な成長期を二年も無駄にしたことになる。

のんきに寝ていた自分が憎い!


絶望に打ちひしがれながら食堂に向かうと、家族のみんなと使用人も総揃いしていたことに驚いた。


「ネマ、こちらへおいで」


パパンに促され、パパンの隣りの席に座る。


「この通り、ネマは元気になった。皆が支えてくれたおかげだ。礼を言う」


パパンが胸に手を当て、頭を下げる。

感謝を伝える礼だが、公爵家の当主が使用人に頭を下げるとは異例である。

使用人たちも驚き、中には涙している者までいた。


「頭を上げてください。我々は、当然のことを行っただけです。礼には及びません」


家令のマージェスが、使用人を代表して発言した。

本当に私は、たくさんの人に支えられ、助けられて、ここにいるんだと強く思った。


「マージェス、それとみんなも、本当にありがとう。おとう様と私からのかんしゃ、受けとってもらえるとうれしいわ」


私もパパンに倣い、感謝の礼を取ると、あのマージェスが泣き出した。


「ネマお嬢様、こちらこそ嬉しいお言葉をありがとうございます。使用人一同、オスフェ家の皆様について参ります」


「マージェス、泣かないで」


マージェスにハンカチを差し出し、涙を拭おうとするが、手が届かなかった。

私の成長期…。

マージェスはありがとうございますと笑顔でハンカチを受け取ってくれたからよかったけど…。


「おとう様、どうして私はそのままなの?」


「そのまま?」


「二巡たっているのに、大きくなってない…」


ぼそりと、小さいままが可愛いのにってパパンの呟きが聞こえた。

子供の成長を楽しみにしてくれよ!

ずっと五歳のままは勘弁して欲しいんですけど!!


「おそらく、女神様がネマのことを守っていたからだと思う。昔、異国の姫が、ネマのように眠りについたが、老いることはなかったと記録が残っている」


あー、なんか絵本で読んだことあるな。

そのときは、いばら姫みたいな話だなぁって思ったけど、女神様のせいだったのか!


「大丈夫だよ。目を覚ましたのなら、ちゃんと大きくなれるから」


お兄ちゃんの言葉に希望が灯った!

よかった!成長期よ、いつでも来い!!


「ネマはそのままでも、十分可愛らしいわよ」


お姉ちゃんもパパンと同じか。

小さいといろいろと大変なんだぞ!


「おしゃべりはそれくらいにして、シアナ計画のことを説明しましょう」


ママンが切り出してくれたおかげで、パパンたちも一度口を閉じた。


パパンの話によると、シアナ計画の場所は、シアナ特区と呼ばれるようになったらしい。

シアナ特区のおかげなのか、ジグ村は町にまで成長し、多くの移住希望者がいるんだって。

ただ、ジグ村の希望だった、そのままの生活を叶えるために、シアナ特区の隣りに移住地区がある。

ジグ村、シアナ特区、移住地区をまとめて、ジグ町となっていた。

で、魔物たちと冒険者はどうなったのかというと、死なせない魔道具の開発に成功したようだ。

発想の転換というか、最初は攻撃をどう防ぐかに焦点を当てていたが、私が女神様の力に守られていることに着目したママンが、一定の怪我を負うと治癒魔法が発動する魔道具を発明した。

治癒魔法の効果を一時的に保存するらしいのだが、治癒術師がいないと作れないアイテムなんだって。

この魔道具に治癒魔法を込めるのを、コボルトの癒しの氏にお願いしているとのこと。

この魔道具が発動したら、死亡したことになり、魔物はアイテムを冒険者にあげなければならない。

冒険者の方は魔道具が発動すると、同時に転移魔法が発動し、誓約商(せいやくしょう)のもとへ飛ばされるんだと。

どんなに足掻こうとも、レイティモ山に入る前に、魔道具が発動したら魔物の条件に従うと契約するので逃げられない。

ちなみに、魔物の条件は、ゴブリンが出産か保釈金。

ただし、女性は一度の出産、男性はゴブリン三匹に性行為となっている。

女性の方は、十日たっても妊娠の兆しがなければ、即解放になる。

コボルトの方は、狩猟の氏の祭りに参加して逃げ切るか、縛人(ばくじん)となるか、保釈金の三択だ。

保釈金は、金貨一枚で分割返済も可能なんだとか。

ゴブリンにやられた女性のほとんどが分割返済で解放されている。

まぁ、当たり前か。

ただ、男性は少なからず、性行為を選択する人もいるらしい。

コボルトにいたっては、縛人となり返済が終わったあとでもコボルトのもとに残る人もいるらしい。

その人たちは、冒険者としてではなく、職人として生産に協力しているんだって。

世の中、もの好きが多いんだねー。


「今は、イクゥ国との国境沿いに、シアナ特区と同じものを作っているところだ」


イクゥ国の国境沿いということは、ミューガ領か。

よくサンラス兄ちゃんが許可したな。


「サンラスにいちゃんがいいって言ったの!?」


「いや、ミューガ領の特区は国の管理となる」


えーっと、シアナ特区は我がオスフェ家の管理だ。

シアナ特区での何かしらの効果が認められて、国の事業としてやろうってことになったのかな?

ただ、国の事業とするのは、リスクが高いんじゃなかろうか?

そう質問すると、さらに驚きの答えが返ってきた。

なんでも、魔物が生態系の鍵だということが証明されたらしく、ガシェ王国だけでなく、ライナス帝国やミルマ国でも、魔物を保護する動きがあるらしい。

そのため、先陣を切ってガシェ王国でテストケースを行うようだ。

それで上手くいけば、そのノウハウを他国に売りつけると。

上手くいくといいけどね。


「でも、魔物がいっぱいになっても困るでしょう?」


保護という人の手が入ると、どうしてもバランスは崩れやすくなる。

数が減っている今はいいかもしれないが、後々増えたらどうするのか?


「そのために、ヴェルシアが中心となり、去勢の魔法を使える治癒術師の組織を作った」


ん?去勢の魔法で減らすの?


「去勢の魔法が使える者は、種が増えすぎたときにお告げのようなものを受けるらしい」


そのお告げにより、数を減らさなければならない種類がわかるんだとか。

ならば、そのお告げがあった魔物の討伐許可を一時的に許可をすれば、バランスは保たれるだろうと。

冒険者の必要性も損なわずにすむし、一石二鳥ってこと?

なんか、思っていたより大掛かりになってない?


「とりあえず、すぐにでもジグ村へ行きたい!」


「気持ちはわかりますが、なすべきことが他にもたくさんありますよ」


ママンに言われ、他に何があるのかと疑問に思っていると、告げられた予定の多さに、再び絶望した。


ネマ、寝坊しすぎだよ…(´Д` )

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