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神様が実は凄いやつだっただと!?

「ネマお嬢様、起きてください」


誰かが何か言っている…。

ハンレイ先生のぬいぐるみに顔を埋めると、再び眠りに誘われた。


「山への視察、置いて行きますよ」


山?視察??


「おきたー!!」


ふわもこからの誘惑を振り切り、勢いよく起き上がる。

お留守番なんて冗談じゃない!


「まもなく朝食ですので、急いでご準備をお願いします」


すかさずシェルに誘導され、顔を洗ったり、服を着替えたり、髪を整えたりと、なすがままになっていた。


今日は、ヒールランの案内でレイティモ山を視察する。

全員が集合すると、かなりな大人数でちょっと驚いた。

やっぱり、冒険者がいるとなんかかさ張るな。

体格がいい人が多いからかな?


まずヒールランに案内されたのは、転移魔法陣がある仮施設。

今は騎士団の詰め所と併設されているが、のちのちわける予定である。

そして、この転移魔法陣、定員が六名なんだが、ランダム設定なのでどこに転移させられるかわからない。

なので、裏技というか、転移魔法陣の管理のために出張している王立魔術研究所の研究員に、転移先を固定してもらった。

全員が転移し終わると、まずは結界を見にいくらしい。

あのバリアー感たっぷりの結界の手前には、柵が張り巡らされている。

この柵は、コボルトが誤って結界に触らないようにするために作ったらしい。

しかも、柵に触れると大きな音がなるとか。

さすが、匠の氏。仕事が早い。

大きな音がなると、騎士団が駆けつけるようになっているとヒールランが言った。

匠の氏だけでなく、ヒールランの仕事も早いようだ。

結界を離れ、ゴブリンの洞窟へと向かう。

途中で狩りに出ていたゴブリンたちに遭遇したが、驚いて逃げていった。

森鬼が、あいつらってぼやいていたけど、今回は正しい判断だと思うぞ!

こんなに人間がいっぱいいたら、逃げるが勝ちだ!


その人間たちも、一気に緊張が走り、冒険者たちが長さんたちを庇うように前に出てた。


「こういうふうに、山を調べていると魔物と遭遇することになります。山の下層部分はゴブリンの縄張りです。他にも、スライムがいることもあります」


淡々とした口調で説明するヒールラン。

長さんたちはちょっとざわついたけど、何か問題があるわけではないみたい。

ゴブリンの洞窟に到着すると、そこにはフィリップおじさんたちがいた。

そういえば、フィリップおじさんたちはどこで寝泊まりしているんだろう?

まさか、いまだに野宿ってことはないよな?


「紫のガンダル!?」


アドがいち早く反応した。

紫のガンダルの出現に今度は冒険者たちがざわつく。


「よぉ!なんだ、結局お前も来たのか」


冒険者組合の長に対して、フランクすぎやしないか?

まぁ、フィリップおじさんたちの実力ならば許されるのかもしれんが。


「シアナ計画に協力していただいている紫のガンダルの皆様です」


ヒールランが紹介すると、フィリップおじさんはニヤリと笑った。

ちょい悪おやじって感じだな。


「ここにいる魔物たちは一部を除いては新人でも十分に対処できる」


フィリップおじさんの発言に対して、アドが質問をする。


「一部ですか?」


「あぁ。ゴブリンの群れでいうならば、スズコとトーキは赤くらいにならないと無理だな」


「フィリップおじ様、どうしてわかるの?」


私ですら、鈴子と闘鬼の強さなんてわからないよ。


「実際にやりあったからな!」


なんですと!?

急いで二人を探すと、鈴子がめっちゃ怖い顔してた。

闘鬼は地面に倒れたままだ。


「鈴子、闘鬼、けがはない?」


「あるじ様、まけた。くやしい…」


泣くのを我慢しているのか、唇を噛み締めたせいで血が出ている。

よしよしと頭を撫でて慰めるが、どうやら怪我はないようだ。


「私が治したから、安心してね」


紫のガンダルで唯一女性の人が、治癒魔法をかけてくれていたみたい。

それを聞いて一安心する。


「強くなる!あいつ、やる!」


やる気満々なのはいいが、殺すのはやめてくれ。


「ころさないていどにお願いね」


「おいおい、物騒な話はやめてくれよ」


だから一応、殺すなと止めているじゃないか。


「まぁ、お前たちはもう少し連携をどうにかしろ」


「…フィリップおじ様が鈴子たちにけいこつけてくれる?」


「そうきたか。まぁ、いいだろう。ちょうど、拠点をここにしようとしていたしな」


あれ、あっさり引き受けてくれたよ。

つか、勝手に決めちゃっていいのかな?

周りを見ると、アドは呆れ顔だし、紫のガンダルのメンバーは笑顔だし、冒険者たちは羨ましそうにしていた。


「いいの?」


「構いませんよ。思っていたよりも、洞窟の探索が難しいですし、フィリップの相手をしてくれるものもいますし」


フィリップおじさんではなく、メンバーの魔術師の人が答えた。

そうか、いいのか。


「ゴヴァもトルフも、いい腕持っているからな」


あー、ゴヴァとトルフか。

確かにあの二匹は強そうだ。

フィリップおじさんの相手をして、より強くなって、進化しちゃったりしそうだな。

そうなると、冒険者たちがやられてしまう可能性が高くなりそうなんだが…。


「フィリップ、貴方は冒険者なのですから、冒険者を育ててくださいよ」


アドの言う通りだ。

人間の冒険者が魔物を強くするって、考えてみたらおかしかったわ。


「シアナ計画の施設かこの山で、俺たちに会ったら稽古をつけてやるさ」


フィリップおじさんの発言に、またもや冒険者たちがざわつく。

ひょっとして、フィリップおじさんたちって、冒険者に大人気だったりする?


「あぁ、それとなアド。ネフェルティマに余計な条件をつけたようだが、撤回しておけ」


はて?なんのことだ?


「余計というと?」


言われたアドもわかっていないようだ。


「冒険者が死なないようにするってやつだ」


それが余計なの?

アドの立場としては、当たり前だと思うんだけど。

誰だって、自分の組織の人間が死ぬのは嫌だよね?

だから、それを条件にするっていうのは理解できる。


「どうして?」


「ネフェルティマ、どうして冒険者たちが冒険者になったかわかるか?」


冒険者の人が冒険者になった理由?

そりゃあ人それぞれでしょ。

好きで冒険者になった人もいれば、冒険者でしか食べていけないとか。


「冒険者でしか食べていけないということはないな。戦うなら騎士団だってあるし、魔法が使えるならそれこそたくさん仕事はある」


それもそうか。

王国騎士団は一応試験はあるけれど、素質があれば受かりやすい。

というか、希望者はほぼ受け入れているような状態らしい。

ただ、訓練とかが厳しくて、離職率も高いんだって。

来る者拒まず、去る者追わずってか。


「冒険者を選ぶ理由は、自分が好きだからだ」


はい?

自分が好きってナルシストってこと?

うーん、まったくわからん!


「強い自分が好きってことだ。だから、常に強くあろうとする」


本当なのか?

紫のガンダルのメンバーが、フィリップが思っているだけとかぼやいているけど?

フィリップおじさんの自論ってやつ?


「でも、どうして死なないようにしちゃダメなの?」


「死ぬ覚悟のないやつは死ぬからな。いいか、ネフェルティマ。死ぬ覚悟ってのは、生きる覚悟でもあるんだ。死ぬって思った瞬間に、死にたくない、生き残ってやるって強く思う。それを経験した者が強くなるんだ」


フィリップおじさんの言葉に、ヒールランもパウルも冒険者たちも頷いていた。

ヒールランと冒険者たちはわかるが、なぜパウルも頷く。

不思議に思っていたら、パウルが私にも死にそうになった経験くらいありますと言ってきた。

いや、我が家に仕えてて、どうして死にそうな経験をするんだ!

つか、我が家の使用人って、ちょっとおかしいわ。


「アドの言うこともいちりあると思うの」


「冒険者組合に来る依頼で、どんなに簡単な依頼でも死なないってことはないんだ。薬草を集めていて、崖から落ちて死ぬかもしれん。護衛をしていて盗賊に殺されたり、魔物にやられるかもしれん。冒険者に絶対はないんだ」


それは理解できる。

どんなに平和で安全と言われる世界に暮らしていても、事件事故に巻き込まれることはある。


「覚悟のないやつがそんな目にあってみろ、困るのは依頼者や仲間たちだ」


そう言われても、冒険者組合がシアナ計画に参加する条件だったし、冒険者組合がいないとシアナ計画自体が成り立たないし…。


「さいしょはそうするつもりだったんだけど、アドが死なせたくないって言ったから、いっしょうけんめい考えて、ヴェルにも来てもらって…」


「ネフェルティマが悪いんじゃないからな。悪いのは全部アドだ」


たぶん、今凄く不細工な顔になっていると思う。

フィリップおじさんが慰めるように頭を撫でてきた。

泣きたいのか、怒りたいのか、悔しいのか、よくわからない感情がグルグルしている。


「私が悪者ですか」


「お前だって冒険者だったんだから、わかってんだろうが」


「えぇ、わかっていますよ。命を奪い奪われるということが、どれほど恐ろしく、何よりも尊いということはね」


今までにないくらい、アドは優しい顔をしていた。

命を奪い合うことが恐ろしいのはわかるが、尊い?

なんか、冒険者って変わった思考をしているのか、言っていることが理解できないものが多いな。


「とうとい?」


「自分自身が生きるために命をもらうのです。それ以上に尊いものはありません」


そうか…。

目から鱗ではないが、気持ちがストンと落ち着くところに落ち着いた。

すると、涙がボロボロと溢れ出てしまう。

アドは急に泣き出した私を見て慌てるが、すぐにハンカチを差し出してくる辺りは紳士だ。


「何かお気にさわることでも?」


違うよと首を振り、つっかえながらも説明する。


「アドが、人もまものもどうぶつも、生きるためならちがいはないって…」


「はい」


「どこかで人の方が上だって思って、だからアドが死なないようにしてほしいって言ったのもとうぜんだと…」


心のどこかで、勝手に優劣をつけていたようだ。

人の命の方が重いと。

冒険者たちにとって、自分が生きるため、依頼をこなすために殺した命はすべてが尊いのだと言う。

それは、自分が死んだときに尊くあるように、奪った命を尊ぶ。

この世界で『死』という価値観が違うからなのか、それとも冒険者たちには必然的に身につくものなのかわからないが、とても大切なことだ。

あの、コボルトたちが傷つき、死んでいく様を見た私なのに、選択を間違ったんだ。

アドが死なないようにって言ったときに、私が言うべき言葉は魔物が増えすぎたときこそ、冒険者の出番だろうと。

魔物たちも命をかけて、生き延びるために戦っているのだから、冒険者も戦ってそれに答えるべきだと。

私は、冒険者と魔物、両方を侮辱していたのだ。

それに気づかなかった自分が恥ずかしいし、悔しい。


「ネフェルティマ様は人の中でお育ちですので、わからなかったのも仕方ないと思います」


アドは私を気遣うように、柔らかい声音で話しかける。


「ただ、どんな命であれ貴賎はない。ネフェルティマ様の仰る通りです。命に価値をつけるのは、人の浅ましさかもしれません。ですが、悪いことではありません」


言っていることが矛盾しているよ。


「どうして?」


「価値観はそれこそ一人一人違うものです。それはとても曖昧なものですから、誰かが善し悪しを決めていいものではありません」


長く生きたアドだからこそ、そう思えるのかもしれない。

しかし、余計に難しくなっているような気がするのはなぜだろう?


「ネフェルティマ、難しく考える必要はないぞ!ようは、どんなふうに死ぬかは自分次第ってことだ」


「でも、悪い人におそわれたりした人は?」


不慮の事故に遭ったり、襲われたりっていうのは、自分次第と言えないと思うのだが。


「そりゃあ、そいつが弱いか、護衛を雇わなかったのが悪い」


なんという理不尽!

……あれ?待てよ。

襲った方が強ければ、襲われた方は負ける。襲われた方が強ければ、襲った方が負ける。

当然だよね。

でもこれって、弱肉強食と同じってこと!?

んんん??

ちょっと考えを整理しようか。


落ちていた棒を拾い、地面に整理したいことを書こうとした。


「葉っぱが…」


邪魔だと思ったら、一瞬で落ち葉や草がなくなり、程よい範囲が土だけとなった。

誰かの魔法だろうかと周りを見渡すと、アドとヴェルの微笑ましそうな視線と合った。

彼らがそんな表情をするってことは、精霊か。

最近、精霊が手伝ってくれることが増えたが、それはそれで不安でもある。

心の中でお礼を言いつつも、少し自重してくれてもいいんだよと付け加えておく。


それはさておき、まず人間、獣人、エルフ、魔族っていう種族があるよね。

で、その下に魔物、さらに下に動物っていう感じで食物連鎖のピラミッドになっていると思ってたんだ。

前世でも、人間は食物連鎖の頂点みたいに言われていたし。

でも、フィリップおじさんやアド、シシリーお姉さんとかの話からすると違うみたいだ。

植物が一番下で生物を支えているとしたら、植物を食べる昆虫、穀物や昆虫を食べる鳥などの生物と草食動物、肉食動物ってなるんだが、この肉食動物のところに人間たちも魔物も存在するってことになる。

図にするならば、三角形ではなく、台形のような四角形になるな。


「何を描かれているのですか?」


「アドやフィリップおじ様、まものたちの話をまとめてみたの。生き物の世界は、弱い生き物が食べられるものが多くて、強い生き物は少ないかなって」


食べ物事情を反映してみると、これまたややこしくなってくる。

人間やゴブリン、コボルトなんかはなんでも食べるが、エルフは基本野菜や果物らしい。

セイレーンや魔族の一部なんかは、生体エネルギーや自然エネルギーとか目に見えないものだし、肉食オンリーな魔物も多い。

能力的強さなら、魔族は魔法が強いし、エルフは精霊術、獣人は身体能力が秀でているし、人間は器用貧乏だが数の暴力がある!

つまり、どの種族も突出していない。

もし、どこかのバランスが崩れたらどうなるのだろう?

例えば、今のように魔物の数が減ったら?

まずは、多くの魔物が食べる、昆虫や動物が増えるよね?

すると、植物が食べられて減る。

ここで、植物を食べる種族に大きな被害が出ると思う。

じゃあ、人間が減ったら?

多少の増減はあったとしても、大きく崩れるかしら?

エルフや獣人でも、人間と同じようにそこまで増減はないように思う。

ってことは、魔物がアレだ!

キーアニマルじゃなくて、キーなんちゃら…。

キーストーン種だ!!

生態系に大きな影響を及ぼす生物のことなんだが、有名なのはイヌワシとか、猛禽類が多かったと思う。


魔物がキーストーン種であると仮定して、大陸の魔物が減ると、大陸全土で飢饉みたいな状況が起こりえるってことで……。


「たいりくでききんなんてありましたっけ?」


「おいおい。歴史に残るくらい大きいのがあっただろう」


フィリップおじさんに言われて、一生懸命記憶を呼び起こす。

凄く昔だったような…。


「ガシェ王国ができる前の乱世の時代だよ。およそ四季(よんき)前、大陸全土で作物が育たなくなり、食糧をめぐって争いが後を絶たなかった。それがきっかけで、大陸全土で戦争が起こり、ガシェ王国も誕生したんだよ」


お兄ちゃんが教えてくれたが、四百年前じゃアドは生まれてないか。


「その前に、動物とかがいっぱい増えたりしなかった?」


「そういった記録はなかったと思うけど」


「その時代に、いくつかの動物が大量繁殖した記録が残っていますよ。去勢魔法を使ったとありましたが、人の争いのために急速に減少したと」


お兄ちゃんは知らなかったようだが、ヴェルが知っていた。


「そのとき、まものはどうだったかわかる?」


ヴェルは少し考え込んでから、魔物大討伐のあとだったので少なかったはずだと言った。


確か、どっかの国がオーグルの群れに襲われて、甚大な被害が出て、魔物を根絶やしにしよう!って、人間や獣人が討伐しまくったってやつだよね。

結局、襲われた国は隣国に吸収されちゃったんだけど。


今は魔物が減っているから、その四百年前みたいに動物が増える可能性がある。

魔物は北に追い詰められているから、南にはもう何かしら起こっていてもおかしくない。

南といえば、何かあったような気がする…。

あっ!!


「誰か、イクゥ国のげんじょうを知っている人はいますか?かんばつってどうなりました!?」


去年になるが、イクゥ国で酷い干ばつがあり、我が国も援助を行っていたはずだ。

国民たちも逃げたし、近くの国に避難している。

面接のときに会った獣人の中には、難民としてガシェ王国に来ている者もいた。


「イクゥ国でしたら、ライナス帝国が水の聖獣様を送ったと聞きましたが?」


商業組合の長さんが教えてくれた。


「私は地虎(ちこ)だと聞きましたな」


今度は薬師組合の長さんだ。

長さんたちは、それぞれが情報を持っているようだが、正しい情報がどれなのかわからなかった。

こういうときにヴィとラース君がいてくれればな。

ヴィは他国の情報もいっぱい持っているし。


「イクゥ国がどうかしたのですか?風の精霊様にお聞きしましょうか?」


アドがいたー!!

アドも風の精霊と仲良しだった!


「お願いします。どうしてイクゥ国にかんばつがおこったのか知りたいのです」


アドは頷くと、愛し子の願いを叶えて欲しいと呟いた。

その瞬間、強い風が吹き抜け、一部に被害を及ぼした。

何人かの長さんの目に、砂埃が入ってしまったようだ。


「少し時間がかかるようなので、先に進みませんか?」


そうだな。

イクゥ国の干ばつが、私の推測通りならば事態はまずいことになるが、今は焦ってもしょうがない。


「ネフェルティマはもう大丈夫なのか?」


「うん!フィリップおじ様のおかげだよ!」


本当に、フィリップおじさんのおかげで、凄いことがいっぱいわかった。

まずはこの世界の生態系。

精霊という、神様の力が満ちているおかげか、複雑な仕組みになっているってこと。

神様はだてに神様を名乗っていなかった。

初めて神様を凄いと思ったかもしれない。

あと、ルノハークの真の狙いってやつかな。

私の推測が当たっていれば、ルノハークは戦争を起こそうとしているのかもしれない。

ただ、この世界の仕組みというか、神様のことに詳しい人じゃないと、この方法は思いつかないと思う。

もっと調べてみないことには、なんとも言えないけどさ。


「ラルフ、聞いたか?オレのおかげだってさ」


「よかったですね。ただ、ネマなら小父上の助けがなくても、同じ答えを出したと思いますけどね」


うん?

いや、冒険者のことをもっと知らないと無理だったと思うよ?

なんか楽しそうに言い合いしているから、放っておこうか。


「でも、よかったです。去勢魔法は使わない方がよいですし」


「どうして?」


「それが生き物として、あるべき姿ですから」


ヴェルの言うことはもっともだ。

ただ、去勢魔法が存在しているってことは、神様としてはそれもありなんだと思う。

世界のバランスを守るためにもね。


私が足止めしてしまったのだが、視察の続きをということで、ヒールランが先導し始めた。


(あるじ)


森鬼に呼び止められると、何かをポンッと頭の上に置かれた。


-みゅっ!


この声は!!


(はく)!?」


今日の視察は冒険者もいるから、安全のために白とグラーティアはお部屋でお留守番って言ったじゃん!

白がいるってことは、グラーティアもいるでしょ!どこだ!!


「グラーティア!」


頭の上の白を掴み、グラーティアを呼ぶ。

すると、グラーティアは森鬼の服の中から出てきた。

白も上手いこと森鬼に隠れていたんだな。


「あぶないからダメだって言ったのに」


「主が疲れているようだったからな。こいつらがいると主は癒されるんだろう?」


うっ…。

まぁ、ノックスがいないが、ほぼいつもの布陣なので、安定感はあるが…。

白のふにゅっとした感触を楽しみながらも、この子たちをどうしようかと悩む。


「ぼうけん者たちのそばには、ぜったいに行かないでね!」


誤ってやられちゃったとか、マジでやめてくれよ!!

念押しすると、白はみゅ〜と鳴き、グラーティアは森鬼の肩でいつもの謎ダンスを踊る。

本当にわかってるんだよね?


もふもふが入らず申し訳ないです。

次は入れられるはず…。


ちょっと補足

キーストーン種は本来、個体数が少ないにもかかわらず、生態系に影響を及ぼす生物のことです。

イヌワシのように食物連鎖の頂点にいる生物が多いですが、ヒトデとかもいますよ。

その生息エリアにおいてということになりますので、地球には様々なキーストーン種がいます。

作中では、魔物が食物連鎖のバランスを取るための大切な役割を担っています。

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