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神様よ、私はこれを求めていた!

うひょぉぉぉ!!ヤバい凄いヤバい!!

えっ、えっ、みんなどうしちゃったの!?めっちゃ可愛いんですけどぉぉぉ!!


『く……苦しいぞ、ネフェルティマ』


興奮しすぎて、手に力が入りすぎたみたい。

ルクス様の苦しむ声で我に返った。


「ごめん、ついこうふんして……」


ルクス様を持ったままでは危ないな。

ということで、ルクス様を女神様の腕にそっと乗せる。


「女神様!なんで聖獣が小さくなっているの!?」


そう、目の前に広がっていたのは、一回りも二回りも小さくなった聖獣たちの姿!

めっちゃ可愛い!!語彙力崩壊するレベルで、可愛い以外の言葉が出てこない!


『どうやら、お主が名付けたときに、聖獣や精霊王たちが持つ、創造神の力を持っていってしまったようだ』


女神様はあの眩しい中でも、力の動きを見ることができていたのだろう。


『ネフェルティマも、自分の体から力が抜けたのを感じたのではないか?お主の体にあった我の力も持っていかれてしまったな』


『私を理から外すのに、愛し子の力だけでは足りなかった。分身の私にはほとんど力がないから、あの子たちから分けてもらったのだよ』


女神様とルクス様がそれぞれ教えてくれたけど、さすが神様と言うべきか?

そんな事態が起きてもサラッと解決するなんて。

そして、ありがとうと言いたい!

あの子たちのあんな可愛い姿が見られるなんて!!


もっと近くで愛でるため、ここから降りたい。

が、下は聖獣たちが小さくなったことに混乱している様子。


「ルクス様、私を下まで降ろせる?」


『構わないよ』


ルクス様は本物のポテのようにタタタッと私の腕を駆け上がり、頭の上に立った。

くそっ!なんで私の目は二つしかないんだ!

私の頭の上で仁王立ちしている姿を心の目で見るしかできないなんて……。

絶対鏡の前でやってもらおうと心に誓ったとき、ふわりと体が浮いた。

スーッと体がゆっくり移動しているのがわかり、またもやテンション上がりまくりだ。

ルクス様がいれば、空中浮遊でも遊び放題なのでは!?

ノックスや海と一緒に空を飛べちゃったりして!


広間に降り立つと、真っ先にお兄ちゃんのもとへ駆け寄った。


「おにい様、ディーを抱っこさせて」


両腕を伸ばし、お兄ちゃんが抱っこしているディーをねだる。


「しっかり抱えてあげるんだよ」


猫を抱っこする要領でディーを抱きかかえたけど、思ったより重たい……。

お兄ちゃんが奇妙な格好で固まっているのも、私がディーを落としてしまった場合に備えてのことだろうが、その奇妙なポーズが気になってしょうがない。


「ディー!かわいいでちゅねー!!」


うっかり赤ちゃん言葉が出てしまった。

ディーは身じろぎしていたのが止まり、お兄ちゃんもしっかり聞いてしまったのか、奇妙なポーズのまま固まっている。

気を取り直して……。


「なんてかわいいの、ディー!」


なんとか私の腕の中で安定するポジションを見つけ落ち着いたディーに、思いっきりスリスリする。

大型の猫、メイクーンやノルウェージャンフォレストキャットくらいの大きさはありそうだが、元の大きさを考えると子猫みたいなものだ。

ただ、外見はそのままなので、小さいながらも(たてがみ)はちゃんとある。

それも、ライオンカットされた長毛種のにゃんこにそっくりなので、超可愛い!


――ぐるるるぅ。


頬でうりうりしながら、お尻をポンポンしてあげると、気持ちいいのか小さく唸り始めた。

さすがに猫のように喉は鳴らせないみたいだけど、可愛いから問題なし!

このままお持ち帰りしたいなぁ。一緒に遊びたいし、一緒に寝たい!

つか、もういろいろ解決したんだし、ガシェ王国の屋敷に帰ってもいいのでは?


「ネマ、腕は疲れてない?そろそろ替わろうか?」


私を心配しているのか、ディーを心配しているのか、はたまた両方か。

まぁ、ここは素直にお兄ちゃんに従っておこう。

ディーは今後、ずっと一緒なんだし。


お兄ちゃんにディーを渡すと、明らかにホッとした表情を見せた。

……ディーもちょっとホッとしてない?気のせい??


「次はサチェ、あなたよ!」


プールの上で座っているサチェのところに向かうと、どうもおかしい。

サイズはやっぱり小さくなっていて、ポニーくらいの大きさだろうか?馬バージョンの海よりは大きいようだ。

座っているものだと思ったのに、サチェの脚が見当たらない。胴体から上が水面に浮かんでいる状態だった。

はっ!これはカイディーテもよくやるやつだ!

サチェの脚は水の中……というか、水と同化させているのだろう。

その心は、飽きたか、動くのが面倒臭いかだと思われる。


「サチェ、平気?疲れちゃった?」


声をかけると、サチェはゆっくりと立ち上がって私の方に来てくれた。

そして、小さくなった鼻先を押しつけられる……と思いきや、頭の上の乗っているルクス様の方へ。

ぐぬぬっ!分身にも負けるのか!!


しかし、いつも頭を下げてもらわないと触れない首元が手を伸ばすだけで触れるの新鮮だな。

サチェの首元をペチペチと触っていく。

力を放出したあとだからか、サチェの体はだいぶ冷たかった。

サチェの首の付け根部分に、顔を押しつけてみる。

顔全体はやりすぎだったか……。

おでこと目元に当たるよう位置を調整する。

うん、いい感じ!

熱があったり、眼精疲労があるわけではないが、おでこや目元って、温めたり冷やしたりすると気持ちいいよね。

青天馬の体が冷たいときは、たいてい氷漬けか雪が積もっていたりしていて極寒だから、こういうふうにできるのは貴重だ。


冷たさで痛くなる前に顔を外すと、頭の上の重みが消えていることに気づいた。

どこにいったのかと思ったら、サチェの頭の上にちょこんって!!

危うくヤバい声が出るとこだったよ。


「めっちゃかわいいよ!大きい子と小さい子が仲良しなのってほんととうとい!!」


馬と猫、大型犬と子猫、子犬とひよこ……違う種類で体の大きさも違うのに仲良く遊んでいる姿は、誰が見ても幸せを感じられる瞬間だと言っても過言ではない!

飼い主側だったら、心配半分、尊さ半分っていった感じだろうけど。

サチェもルクス様を乗せられてご機嫌みたいだし、よきかな、よきかな。


「もう少ししたら先帝様のもとへ帰れるからね」


今思ったんだが……サチェがこのサイズで、先帝様は乗れるのだろうか?

本物の馬やポニーみたいに重さ制限あったらまずくない??


「サチェ、つかぬことを聞くけど、その姿でも先帝様を乗せられるよね?」


――ブルルルッ!


『ちゃんと乗せられるようだ』


ルクス様が通訳してくれたけど、鳴き方ですぐにわかったよ。

小さなサチェに乗る先帝様……想像したらちょっと面白い!

ぜひともその場に居合わせたいね!


「さて、次は……」


残りの聖獣がどこにいるのか辺りを見回したとき、カイディーテと目が合った。


「カイディーテ!」


カイディーテももちろん小さくなっており、ディーより一回りか二回り大きい感じだ。

大型のネコ科動物よりは小さいので……オオヤマネコやボブキャットなどの中型種くらいかな?

ディーでギリギリだったことを考えると、カイディーテを抱っこするのは無理だな。大人の男性だったら、体格的にも体力的にもいけるだろうけど。

子供の体を恨めしく思いながら、カイディーテを撫でまくる。

小さくなっても毛並みに変化なし!と言いたいところだが、いつもより滑らかじゃない?

カイディーテの毛質は(つや)やかでサラサラなのが特徴だが、もっと抵抗がなくなっているというか……。

撫でながらも、感触の違いの原因を探る。

首周りはふわふわ感も残っているが、うーん。

尻尾の毛の密度も申し分なし!お腹はどうかなぁ。

お腹の毛を触ってわかった。いつもより毛が細いからだと!

大きいときのカイディーテのお腹は、表面の毛質とは異なり、もふもふした毛質だった。今はちょっとぺちゃんってなっている。

おそらく、毛が細くなったことで感触にも変化があったのだろう。

あと、相変わらずカイディーテはいい匂いがする。

匂いに釣られて猫吸いをしようとしたら、カイディーテの前脚によって阻止されてしまった。

顔面にポフッと肉球の感触……。

あぁ、お手ても小さくなって!!

元の大きな肉球もいいが、この程よい大きさの肉球もいい!

どうしよう……魔物っ子たちの小さな肉球で満足できなくなったら……。

どんな大きさでも肉球は肉球というだけで素晴らしいものには違いないが、この硬くもなく柔らかくもない、絶妙な肉球の感触を知ってしまったら後戻りはできない。

しかし、肉球にもはぁはぁしているのがバレたのか、カイディーテは地面に潜ってしまった。


「あぁぁ……」


『あの子は恥ずかしかったようだ。帰ってはいないから、安心していい』


カイディーテにフラれたことを、ルクス様に慰められる。

そうだよね。カイディーテもまたもふもふさせてもらえる機会はあるだろう。

どちらかと言えば、カルヴァの方が機会は少ないかもしれない。

ということで、次はカルヴァのところに行こうとしたのだが……いない!?

カルヴァの姿がどこにもない!!さっきまではいたのに……。


「カルヴァがいない!」


『ネフェルティマ、あちらの大きな箱から伸びる影を見てごらん』


ルクス様が私の腕まで下りてきて、ちっちゃなお手てである方向を指す。

大きな箱は信徒たちが運び込んだやつだ。

カルヴァのうねうねが出てきたのもこの箱だったな。


「おーい、カルヴァさん!姿を見せておくれー!」


箱に向かって呼びかけると、影が黒いうねうねになって、文字が形取られていく。


『嫌だ』


「でも、カルヴァも力を持っていかれたんでしょう?この中で契約者がいないのはカルヴァだけだし、何か異変があるかもしれないよ?ルクス様もいるからね」


なんだかんだと理由を告げて、カルヴァの説得を試みる。


『創造主様にお見せできるような姿ではなくなった』


小さくなったことが相当ショックだったようだ。


「神様もルクス様も、どんな姿のカルヴァでも大好きだよ!もちろん私も!」


『カルヴァ。姿を見せて、私とネフェルティマを安心させて欲しい』


なんだかパパンが言うような言葉だが、神様の声が高くなっているせいで、変な感覚に(おちい)るな。

姪っ子が急に哲学的な問いをしてきて、もしかして人生二周目だったりする!?っていうときと同じ感覚。

さすがにカルヴァも神様のお願いには弱いのか、渋々ながら影から出てきてくれた。


「ぐぅかわっ!」


カルヴァもだいぶ小さくなっており、カイディーテと同じくらいかな?

ただ、体毛が黒いため、ライオンというよりクロヒョウっぽさもある。


――グルルルッ!


『おそらく、契約者がいるか、いないかの差だろう』


カルヴァがルクス様に何か訴えたようだが、本当に契約者の有無で異変があったの!?


『ラースの方が大きいことが衝撃だったようだ。こちらに来たのはカルヴァの方が早かったのだけど』


あぁ、契約者が聖獣への負担を軽減していたのかな?

でも、ディーが一番小さくなっているが??


「みんな小さくなる程度が違っているのはなんで?」


『こちらにいる時間の長さも影響しているようだ。こちらにいる間は、世界に漂う私の力を吸収し、蓄えることができるからね』


ルクス様の説明によると、神様が創ったものには神様の力が大なり小なり宿っているらしい。

それが放出されたり、されなかったりしながら、世界中に漂っているのだとか。

人が魔法を使うとき、精霊術を使うとき、生まれたときや死ぬときも。

様々な場面で神様の力は世界へ放たれる。

それを回収して、神様のもとへ届けるのが、精霊であり、聖獣だという。


「回収しなかったらどうなるの?」


ちょっとした好奇心だった。


『原始の世界みたいになるかな?消えない嵐や鳴りやまない(いかずち)、大地が動き、火山は噴火をし続ける』


聞くんじゃなかった……。


『急激な力の消失で、一時的に小さくなっているだけだ。いつものように影で休んでいたら、すぐに戻るよ』


すぐに戻るだと!?

ずっと戻らないのは困るが、すぐに戻られるのも困る。


「すぐってどれくらい?」


『五巡もあれば戻る』


五年はすぐなのか?

あ、大人と子供では時間の長さの感覚が異なるってアレか!

神様ともなると、一年でも一瞬みたいな感覚なのかもしれない。

それはそれで嫌だな。

楽しいことは一瞬でも一秒でも長く味わいたいじゃんね。

そう!もふもふする時間とか!


「よかったね、カルヴァ。すぐ戻るって」


小さくなったカルヴァの頭を撫でる。

カイディーテのように毛並みに変化があるかなぁって期待したが、ある意味カルヴァは期待を裏切らなかった。

摩擦ゼロ感覚!掬っても掬ってもこぼれる毛並み!

カルヴァの毛並みには、毛の細さなんて関係なかった。

頬でうりうりしたら、するんって毛が逃げていくんだよ!凄いよね!!


「ネマ、それくらいにしておけ」


後ろから声をかけられ、問答無用でカルヴァから引き離される。


「ぬあぁぁ」


私のもふもふが遠のいていく……。

ヴィめっ!私からもふもふタイムを奪うとはけしからん!

ヴィに一言文句を言ってやろうと思って、ふと思い留まる。

家族はもちろんだけど、ヴィも理由がない限りもふもふタイムを邪魔してくることはない。


「何かあったの?」


「別に。闇の聖獣殿が可哀想だと思っただけだ」


怪しい!ヴィがそんな理由で動くとは思えない。すっごく怪しい!


「そんなに触りたいなら、ラースに相手してもらえ」


そう言って、ラース君の目の前に置かれた。

……ラース君、小さくなったのは小さくなったけど、思ったよりも大きいな。

一応、ラース君もだいぶ小さくなってはいるが、なんかこの大きさがしっくりくると言うか、違和感がないと言うか。

動物園で見たトラと同じくらいじゃね??

私ならまだ背中に乗ることはできるだろうけど、ヴィが(また)がったらラース君潰れない?


「ラース君、ヴィが重たかったらちゃんと断るんだよ」


「何を考えているのかわかってしまうのが嫌になるな」


ヴィにボソッと文句を言われたけど、ラース君にきつい思いをさせるのは可哀想でしょ!


「よほど重たい装備でもつけない限り大丈夫だ」


今身につけている装備が標準なのかな?

とりあえず、急所だけは守ってますって感じ。

騎士にも装備の種類があるし、ヴィもそれに倣っているとか?

武器や防具についてはテオさんが詳しそうだけど、ヴィとは対照的にテオさんは武器しか身につけていない。

背中の大きな剣がメイン武器だとして、腰に吊るしている剣と両足につけている短剣はいる?

まぁ、テオさんは放っておいて、ラース君だ!

ラース君の毛並みは変化したのかなぁっと。


「ん?」


首周りの毛並み、もふもふ感が増してる?

大きいときは、長めの柔らかい毛と短めの密集した毛で絶妙なもふもふ感を出していた首周り。

今は、包み込まれるような柔らかさがある。

思い切って抱きついてみると、胸元も毛並みも同じように柔らかい気がする。

そして何より温かい。ラース君の体温をしっかり感じられる!

昔のディーを思い出させる部分もあるけど、これはアレだ。

寒い日にこたつに足を入れたときのような、温かい空気に包み込まれる幸福感!幸せがここにある!!


「ラース君、いっしょに寝よう!」


「却下だ」


「ヴィには聞いてないよ」


「今寝たら起きられないだろうが」


あ、今からお昼寝しようって意味で捉えたのか。

違うよ。私のベッドで一緒に寝るんだよ!って言ったらもっと却下されそうなので黙っておく。

たぶん、チャンスはあるはずだから。


「ヴィもラース君といっしょに寝たらいいよ。この毛並み、絶対癖になるから!すぐ戻るってルクス様が言ってたから、今しか味わえないよ!」


力説したのに、ヴィにははいはいと軽くあしらわれる。


「ラース君、ヴィは冷たいねぇ?契約者なんだから、いっしょに寝るくらいいいのにねぇ?」


ラース君の尻尾をいじりながら、ラース君に問いかける。

カイディーテの尻尾はシュッとスタイリッシュだが、ラース君の尻尾はふわふわしている。

細くなった尻尾をにぎにぎするの、ちょっとあれに似ている。猫じゃらしの先をケムシっぽくするやつ。


――グルゥ。


「ラース、余計なことを言うな」


ヴィのふて腐れたような顔、珍しい……。


「ルクス様、ラース君はなんて言ったの?」


できるだけ小さな声でルクス様に聞く。


『幼な子のときは一緒に寝ていたと』


ルクス様も私に合わせて、小さな声で教えてくれた。

ほほぅ。ヴィもラース君と一緒に寝ていたのか。ヴィにも可愛い時期があったんだねぇ。

お兄ちゃんはそういった場面を見ているかもしれないから、今度聞いてみよーっと。


私がニマニマしていたからか、今回はほっぺたをむにーっと引っ張られた。

ちゃんと加減はされているので、そんなに痛くはないが、変な顔になるのでやめてくれ。


ヴィにちょっかいを出されながらも、ラース君の毛並みを堪能したあとは、お待ちかねのソルの番!


「ソルー!お待たせー!」


『待ってはおらぬが、お主は相変わらずだな。土のや闇のが少し憐れに感じたぞ』


そんなことを言われながらも、少し小さくなったソルをじっくり観察する。

小さくなったとはいえ、元があの巨体だ。今でもワイバーンより大きいし、まだこの建物からはみ出ている。


「ソルさんや、もっと小さくならない?せめて通常の大きさの青天馬くらいに……」


それくらい小さくなってくれれば、日常をともにできる!


『何を言うかと思えば……。これでもかなり取られたのだぞ?』


先ほど聞いたルクス様の説明と照らし合わせると、契約者がいる聖獣は負荷が少ない。言い換えれば、契約していないとがっぽり持っていかれる。

つまり、まだ仮契約のソルも、がっぽりとまではいかないが、そこそこ多く取られた模様。

私がお願いしたときに本契約にしておけば、いっぱい取られることもなかったのにー。


『心配しなくていい。すぐに戻るから』


ルクス様は小さいお手てを伸ばして、ソルに触れようとしていた。

ルクス様を手のひらに移し、ソルの鼻先に持っていく。

両手でちょんっとソルに触れるルクス様。

ぐぅ尊い!


ルクス様は私の手のひらからぴょんっとソルの鼻先に飛び移ると、危なげもなくソルの頭の上へ移動した。

サチェのときも可愛かったけど、この組み合わせもいい!

肉食な見た目のドラゴンの頭に、リスのぬいぐるみが置かれているとか、ギャップがありすぎる!!

まぁ、これがRPGとかだったら、頭のぬいぐるみはボスキャラの弱点になるんだろうけど。


「そういえば、ソルは小さくなって何か異変とかない?」


『特には感じぬな』


ソルの体をチェックしていく。

体の鱗はいつも通り、ひんやりすべすべで気持ちいい。

翼の皮膜の張りも問題なし。この大きさでもまだ包まれるな。

尻尾もよじ登れるし、脚はまだギリ座れる。

ふむ。この大きさなら、我が家の屋敷でも過ごせそう……尻尾が邪魔になるから無理か。

やっぱり、竜舎くらい広い敷地がないと飛竜は難しいね。

あとは、音か?

大きいときは、高い鐘のような音がしたけど、小さくなったら変わっているかも。

何か叩くものはないかなぁ……。


「あ!テオ様、その短剣貸して!」


「構わないが、何に使う?」


「ソルのうろこを叩くのよ」


テオさんは無表情のまま困惑していたが、短剣を渡すのは危ないと判断したのか、ソルのもとまで来てくれた。


「炎竜殿、ネマが貴殿を叩くと言っているが、構わないのか?」


『構わぬ。そのようなものでは傷一つつけられぬからな』


ソルが許しているのならと、テオさんはふくらはぎの部分の短剣を外した。

私は受け取ろうと手を伸ばしたのだが、すげなく却下される。うん、そんな気はしてた!

私の代わりにテオさんが叩いてくれると言うので、お任せすることに。


「鞘つきのままとはいえ、炎竜殿に一撃を入れられるのは光栄だ」


そういうことか。

そりゃあ、炎竜に攻撃しようなんて思う種族はいないだろうしねぇ。人間以外……。

気持ちが高揚しているようで、テオさんの口角がわずかに上がっている。


「では、参ります」


そう告げた次の瞬間――。

チーンという澄んだ音が響き渡った。

これは、聞きなじみのある音だなぁ……。よく仏壇にあって、ふざけて鳴らすと怒られるやつ。

つか、めっちゃ音が変わっているじゃん!鐘もおりんも金属でできているけどさ!

もしかして、鱗の大きさで音が変わるとかあるの?じゃあ、尻尾を叩いたら別の音がする?

凄く気になったので、ソルの了承のもと検証してみることにした。

足元がおりんの音だったので、叩きやすい尻尾から始める。

先っぽはチリーンと甲高い音で、鋳鉄製の風鈴のように感じた。そして、根元に近づくにつれ、どんどん音域が低くなっていく。

次はお腹。

こちらはリーンと余韻が印象的な音だ。お腹だから音が響くのかな?

場所によって若干音が違っていて、ハンドベルの演奏を聞いている気分だった。

検証した結果、部位によって音も音域も違うが、すべて金属的な音が出るということが判明した。

私に絶対音感が備わっていれば、ソルの鱗で演奏をしていただろう!残念ながら、私に音楽の才能はないけど。


もふもふタイムを心ゆくまで満喫していたら、ヘリオス伯爵の声が聞こえてきた。


「ったく、いつまで甘やかされたお嬢ちゃんのわがままに付き合わなきゃならねーんだよ」


ヘリオス伯爵は待ちくたびれたのか、周りの軍人さんたちに悪態をついていた。

段々、このぐちぐちモードにも慣れてきた気がする。さすがに放送禁止用語連発はアウトだけど。


『聖獣たちも大丈夫なようだし、我も戻るとしよう』


楽しい時間はあっという間に過ぎていくものだ。




ネマ視点では描写を入れられなかったけど、ヴィがネマのもふもふタイムを邪魔したのは、カルヴァが影文字で周りに助けを求めていたからです(笑)

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